『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    老後の生きがい、「毒親」、高齢女性の恋愛・・・。それ、全て古典に書いてあります! 古典エッセイストの大塚ひかりさんが考える「古典の魅力」(おとなライフ・アカデミーWEB)

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 老後の生きがい、「毒親」、高齢女性の恋愛・・・。それ、全て古典に書いてあります! 古典エッセイストの大塚ひかりさんが考える「古典の魅力」(おとなライフ・アカデミーWEB)

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今を楽しく生きるオトナ世代のための情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」。2021年7月3日は、ゲストに大塚ひかりさんをお招きしました。ラジオの内容を前・後編の記事にまとめてお送りします。

後編となる今回の記事では、大塚さんの考える古典の魅力についてうかがいました。老いてからの「生きがい」、可愛いはずの子供を可愛く思えない親、高齢女性の恋愛・・・。これ、現代的なテーマのように思えますが、実は全て古典に書かれてあることなんだとか。

前編はこちら:古典エッセイストの大塚ひかりさんが提案する「くそじじい」「くそばばあ」の魅力とは(おとなライフ・アカデミーWEB)

〇大塚ひかりさんプロフィール
1961年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部日本史学専攻卒業。出版社勤務を経て古典エッセイストに。
著書に『ブス論』『源氏の男はみんなサイテー』『昔話はなぜおじいさんとおばあさんが主役なのか』『源氏物語の教え』『エロスで読み解く万葉集 えろまん』など。源氏物語の現代語訳も手掛ける。

400年前の日本人は、案外長生きの「人生75年時代」!?

残間 ご著書を読んで驚いたのですが、江戸時代(1603年〜1868年)でも長寿な人はかなり多いんですね。

大塚 そうなんです。乳幼児の死亡率が高かったので、全体での平均寿命は下がっているんですが、20歳以上の成人で見ると平均余命は40年近く、つまり60歳近くまで生きるんですよね。さらに60歳以上まで生きると、70代半ばくらいまで生きることもまれではなかったようです。

大垣 今だと、60歳以上の平均余命は男性で20年程度ですから、あまり変わりませんね。そこまで大幅に増えているわけではないんですね。

大塚 長生きな人はものすごく長生きというのは昔も同じで、たとえば、江戸時代の「天海和尚」という方は、政界デビューをしたのが81歳で、その後108歳で亡くなるまでほぼ現役だったんですよね。

大垣 すごいですね。医療が発達した現在でも、そんなパワフルな人はなかなかいないかも・・・。

一寸法師のおじいさん・おばあさんは、一寸法師を厄介に思っていた

残間 『くそじじいとくそばばあの日本史』では、歴史的にも著名な方の「意外な裏面」に驚きました。一休さんは、77歳で20代後半の女の子と「年の差恋愛」を楽しんでいたとか。

大塚 そうですね。しかも古典に登場するおじいさんとおばあさんって、「いい人」ばかりでは全然ないんです。

本の中で紹介したのは、一寸法師のおじいさんとおばあさんなのですが。
原話では、この夫婦、ずっと子供ができなかったんですね。それで神様に祈ってようやく得た子供だったのですが、だんだん育てるのが嫌になってきてしまって。

ついには一寸法師のことを「化物風情」とか、「どこへなりとも、やってしまいたい」と口に出していうんですね。で、いたたまれなくなった一寸法師が家を出て行くと。

大垣 うわあ。

源氏物語で一番自由に生きている女性は・・・?!

大塚 負の感情もそうですし、それから、セックスについても、真正面から見据えて書かれた作品は多いんですよ。
たとえば、源氏物語は、源典侍(げんのないしのすけ)など、高齢女性の性について描いていますよね。

残間 源典侍というと、50代後半で、若い源氏やその親友と関係してしまう女性ですよね。それで笑いものにされていたと思うのですが・・・。

大塚 そうなんです。でも、実は彼女の設定って、バリバリのキャリアウーマンなんです。帝(みかど)の信任も厚く、琵琶の腕前は並ぶ人がいないっていう。

源氏物語に登場する女君って、早死にすることが多いんですね。そんな中、彼女は70歳過ぎまで物語に出てきていて、出家したあとも、割と色っぽい雰囲気を醸しているという。

なので、私は、源氏物語の中で一番楽しく生きている感じがするのは源典侍と思うんですよね。

大垣 そう言われると、かなりイメージが変わりますね。

当たり外れなく面白い。古典の普遍性に癒されて

大垣 古典に挑戦してみたいと思われる「大人世代」の方に、大塚さんが考える古典の魅力を伝えるとしたら、どんなことですか。

大塚 そうですね。やっぱり前編でも言ったように、マイナスのことに、プラスの価値を見出だす力に癒されることですかね。

私は子供時代から、どこにいても居心地が悪くて、古典や歴史にのめりこまざるを得なかったんですよね。でも、だからこそ今こうして、好きなことを続けられている。

大垣 それはやっぱり、マイナスをプラスに変える「古典の力」ですよね。

大塚 はい。

あとは、古典文学は何百年と多くの人に読み継がれてきただけあって、面白さに当たり外れがないんですよね。とくに私の好きな古代・中古の文学では、性や下ネタ的なことを真正面から扱い、大事なこととして目を背けない。

それから、古典文学はジャンル等の幅が広いので、自分の価値観にあった古典文学を見つけることができるのも魅力かなと思います。

大塚さん待望の新作は、うんこで日本文化の深淵に迫る・・・!?

残間 今年の4月に出た新作も、かなり攻めた内容といいますか・・・(笑)。

鈴木 『うん古典: うんこで読み解く日本の歴史』(新潮社)ですね。

大塚 はい。そもそも古典文学にはうんこの記述がとても多くて。うんこについては何十年もファイリングしていまして、ずっと研究したいと思っていたんですよね。
1300年も前から「うんこから神様が産まれた」というような記述があったりして。うんこを通じて、日本文化の深淵に迫るっていう本なんです。

残間 この単語も、大塚さんの爽やかな声で聞くと、ずいぶん印象が違いますが・・・(笑)。
今後も、鮮やかな切り口での古典研究、楽しみにしております。

大垣 今日はありがとうございました。

大塚 ありがとうございました。

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