「フェムテック」は何をもたらすのか#2『浜松町Innovation Culture Cafe』
女性特有の課題の一つに更年期障害があります。言葉は聞いたことがあっても、実際にいつ、どのような症状があるのか、なぜ起きてしまうのか、治療法はあるのかなど、詳しく理解している人は多くないかもしれません。
女性は一生の間に月経を迎える思春期、月経があり妊娠出産が可能な性成熟期、月経が終わる更年期、閉経後の高齢期という4つのライフステージがあります。その中で、個人差はありますが、閉経の時期をはさんだ前後数年ずつの約10年間、一般的には45〜55歳頃を「更年期」と呼びます。
更年期になると卵巣の機能が低下し、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンの分泌が急激に減少していきます。そうなると、今までエストロゲンによって調節されていた身体のいろいろな機能がうまく働かなくなります。エストロゲンが低下すると脳は卵巣に対して、もっとエストロゲンを出すように指令を送ります。しかし脳が一生懸命指令を出しても、卵巣からエストロゲンが分泌されなくなり、脳は混乱します。その結果、自律神経の調節がうまくいかなくなり、心身の不調が起こりやすくなる状態になるのです。この更年期に起こるさまざまな不調を更年期症状といい、中でも日常生活に支障が出るほど重い症状が続くケースを更年期障害と呼びます。
代表的な症状として、ホットフラッシュと呼ばれるのぼせやほてり、頭痛やめまい、肩こりや腰痛、疲れやすさや不眠、動悸息切れ、イライラやうつ状態などがあります。ただしこれらの症状は他の原因で現れることもあり、中には重篤な病気に発展する恐れのある症状もあります。自分自身で更年期障害と判断せず、まずは病院で正しい診断をしてもらうことが大切となってきます。
昔は平均寿命が短く更年期を迎えることはありませんでした。しかし、科学が発達し、人の平均寿命はどんどん長くなり、女性の平均寿命が90歳に近づきつつあるわが国においては、閉経後さらに数十年女性として生き抜く必要が生じました。つまり更年期は人生の折り返し地点なのです。まずはこの時期に起きる様々な問題を理解し、しっかり向き合うことが大切になってきます。「老女優症候群」という言葉がありますが、美人な女優さんほど老いるという自然現象を受け入れることができず、うつ状態になってしまうというものです。若い頃の自分にこだわらず、今の自分を受け入れ、新たな美しさや魅力を見つけていくことが大切なのかもしれません。
様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが様々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」8月2日の放送では、株式会社ジェイ・キャスト取締役の蜷川聡子さんと、MEDERI株式会社代表坂梨亜里咲さんにご参加いただき、「つくりたい世界」から「男性に向けて」について熱いトークが繰り広げられました。
つくりたい世界
坂梨 現状はフェムテック=フェミニズムのキーワードというイメージですが、今後はもっと男性を巻き込んでいきたいです。また男性もですが、企業側にも理解していって欲しいですね。フェムテックという言葉で取り上げられていますが、この言葉がなくなることが真の女性にとって良い社会だと思います。
多くの女性が通る道にも関わらず、更年期障害にフォーカスしたものが少ないので、この分野の製品やサービスを出していきたいですね。自宅でおしゃれに楽しめるものが良いです。キュンとなる要素が大切です。
蜷川 最近は企業の福利厚生にも取り入れられてきています。企業側の理解が高まることで、企業にもメリットが生まれます。弊社は経営層に一定数の女性を入れています。世の中の半分は女性なので、女性が決定権を持つ立場にいることで、新たなものを取り入れられると思います。多様な視点は経営に良い影響を与えます。
女性特有の健康課題を恥ずかしいとか辛いものではなくし、楽しく過ごせたら良いですし、使っていて辛くないものがあれば良いと思います。精神的ケアも必要です。
男性に向けて
坂梨 今までは実体験からまずは女性を幸せにという考えでしたが、最近は中長期で考え、男性も幸せにしていきたいと考えています。男性特有の課題にも向き合って、「オムテック」に寄り添っていきたいです。
蜷川 今はまだ言っていかなければ広がりませんが、フェムテックと言わなくても分かり合えて、ケアできる世の中になれば良いと思っています。
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この記事の番組情報
浜松町Innovation Culture Cafe
月 19:00~19:30
浜松町の路地裏にひっそりと佇むカフェ「浜松町Innovation Culture Cafe」 経営学に詳しいマスターが営むこのお店には、様々なジャンルのクリエ…