アフガン駐留米軍撤収で、タリバン攻勢…佐藤優氏、大量虐殺を懸念〜8月6日「くにまるジャパン極」
アフガン駐留米軍の撤収が進む中、現地では旧支配勢力タリバンが攻勢を強めている。8月3日に首都カブールの国防相代行の公邸を襲撃し、8月4日には、アフガン政府高官らへの「報復開始」を宣言した。一体、今、アフガニスタンで何が起きているのか?
元外交官で作家の佐藤優氏は8月6日放送の「くにまるジャパン極」(文化放送)で、このニュースを解説した。
佐藤優氏はアフガニスタンの現状をこう解説する。
佐藤氏「アフガニスタンの国境地帯は今、タリバンに抑えられています。アフガニスタンの現政権は兵糧攻めに遭っているんです。それで、近く投げ出すのがタリバンの狙い。投げ出したら、イスラム法による支配をして、アメリカの協力者、それを匿った人間は皆殺しにする。これをやっていくでしょう。」
さらにこう続ける。
佐藤氏「アフガニスタンには、イスラム国(IS)の拠点がある。私の所に入ってきた情報によると、タリバンとイスラム国は取引する。“イスラム国はタリバンの統治機構に入らない。その代わり近隣諸国にテロ攻撃をすることをタリバンは容認する”というもの。実際、タジキスタンで攻撃は始まっています。」
これについて、中国とロシアはどう思っているのか?
佐藤氏「中国はタリバンと手打ちしちゃう。タリバンとの関係を改善しようとしてるんです。ロシアはどうするか悩んでいるところです。」
この原因を作ったアメリカについて、佐藤氏はバイデン政権の外交能力の低さを指摘する。
佐藤氏「権力の空白を作るとこういうことが起こることは、見えていたわけなんですけど、バイデン大統領とその周りのスタッフたちは見えてなかったわけです。アメリカの外交能力はおそまつなんです。」
では、アメリカはもう1度、アフガニスタンに駐留するのか?
佐藤氏「もう1回行かないとならない。しかしそうしたら、撤兵したこと自体が失敗だということになって、バイデン政権の大きな汚点になる。権力基盤が弱体化しちゃうでしょ。だから、なかなかそうはできない。」
<参考ニュース>
【イスラマバード、ワシントン共同】アフガニスタンの首都カブール中心部で3日夜、爆弾を積んだ車が爆発した後、銃撃戦となり、内務省報道官は4日、民間人を含む少なくとも8人が死亡、20人が負傷したと明らかにした。反政府武装勢力タリバンは4日、モハマディ国防相代行の住宅を狙った攻撃と認め「政府指導者に対する報復作戦の始まりだ」とする声明を出した。モハマディ氏は不在で無事だった。現場周辺には政府機関や各国大使館があり、警備が厳重な地域。現地からの報道によると、最初に爆弾を積んだ車がモハマディ氏の住宅近くで爆発した後、武装した4人が周辺に立てこもり銃撃戦になった。
(共同通信ニュースより)
「くにまるジャパン極」は平日朝9~13時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。佐藤優氏は第1・第3・第5金曜日にコメンテーターとして登場。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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