ロシア首相の択捉島訪問…佐藤優氏”2島返還早まる“と分析〜7月30日「くにまるジャパン極」
ロシアのミシュスチン首相は7月26日に北方領土の択捉島を訪れた。プーチン大統領に次ぐ政権序列2位の首相の北方領土訪問は、菅政権下では初となる。このニュースを受けて、元外交官で作家の佐藤優氏は7月30日放送の「くにまるジャパン極」(文化放送)で「これはロシアの強硬論に見えるんですけどそうではありません。」と解説。また佐藤氏は、「今後、歯舞群島と色丹島の2島返還の速度は早まる」と話す。果たして、ロシアと日本の関係は今後どうなっていくのか?
ロシアのミシュスチン首相の北方領土訪問のニュースを佐藤氏はわかりやすく解説する。
佐藤氏「日本全体でロシアの情報があまり報道されてないから、ロシアの強硬論のようにも見えるんですけど、そうではありません。7月23日にプーチン大統領は、安全保障会議でミシュスチン首相に極東訪問する時に、特に北方領土に気を遣ってね。そこのところで共同経済活動、今までにない新しい画期的な提案を用意している。こう言ってるわけですよ。」
さらにこう続ける
佐藤氏「これは何かと言うと、プーチン大統領は2018年の11月に当時、首相だった安倍氏にシンガポールで会って1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉活動をすると。要するに歯舞群島と色丹島は日本領、国後島と択捉島はロシア領という形で基本的に領土問題を解決する。こういう方向で話しているわけです。」
では、ミシュスチン首相が択捉島を訪れた理由は何なのか?
佐藤氏「ロシアの場合、大統領は政治・外交をやるんですけど、首相は経済だけなんですよ。今、中国との関係でロシアの海産物市場に支障が生じているんです。中国がコロナの関係で中国がロシアに海産物の輸入を止めちゃったんです。」
そして、佐藤優氏は北方領土問題の解決策について、独自の見解を述べる。
佐藤氏「双方の法的立場を害さないということじゃなく、早く国境線を引いちゃえばいいんです。その交渉をやってしまって、国後島と択捉島はロシアの法律に服せばいいと思うんですよ。それでロシアが特別に日本を優遇する法律を作り、法人税や関税は免除してもらう。日本人はパスポート持たずに国内旅行に限りなく近い形で行けるようにする。2島返還+αが一番良い方法だと思います。」
最後にロシアと日本の今後の関係をこう予測した。
佐藤氏「菅政権も2島返還の方向で進むと思います。ロシア側は今後、何らかの提案をしてくるでしょう。表には出さないですが。2島返還の速度は早まる。私はそうゆう方向だと思います。それができなければ領土問題の解決はできないですから。」
<参考ニュース>
北方領土を事実上管轄するロシア極東サハリン州などの複数の当局者は25日、ミシュスチン首相が26日か27日に北方領土の択捉島を訪問する予定だと明らかにした。実現すれば、領土割譲禁止条項を盛り込んだロシア改正憲法が昨年7月に発効して以降、初の首相訪問。実効支配を誇示するとみられる。プーチン大統領に次ぐ政権序列2位の首相の北方領土訪問は、2019年8月のメドベージェフ氏以来2年ぶりとなる。日本政府関係者によると、ロシア側には訪問しないよう申し入れている。プーチン氏は昨年9月に菅義偉首相との初の電話会談で平和条約交渉を進める方針を確認した。
(共同通信ニュースより)
「くにまるジャパン極」は平日朝9~13時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。佐藤優氏は第1・第3・第5金曜日にコメンテーターとして登場。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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