最低賃金、28円大幅引き上げ決定 「なぜ今なのか?」事業者困惑 ~7月16日「おはよう寺ちゃん」
7月16日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーと、金曜コメンテーターのエコノミスト・会田卓司氏が、最低賃金引き上げのニュースに対して議論を展開する場面があった。
会田卓司氏「最低賃金引き上げには反対。民間はまだ戦いの最中」
今年度の最低賃金について、労使代表者らが議論する厚生労働相の諮問機関・中央最低賃金審議会の小委員会は、引き上げ額の目安を28円と決めた。目安通りに改定されれば、最低賃金の全国平均は930円となり、上昇率は3.1%。新型コロナウイルスの影響を考慮して目安を決めなかった昨年度から一転し、今年度はコロナ禍前の大幅な引き上げ水準に戻ることになった。
「コロナ禍で傷ついた雇用環境の改善につながる、と期待される一方で、人件費の上昇はコロナ禍で打撃を受けた企業を直撃し、逆に失業や設備投資の抑制といった副作用も産む『諸刃の剣』となりかねない、という指摘もあります。最低賃金引き上げの決定に中小企業からは、『なぜ今なのか?』『パートの勤務を減らすしかない』という不満の声も噴出しているということですが、会田さんいかがでしょうか?」と寺島アナが話をふった。
対して会田氏は「こういった局面の中での最低賃金の引き上げには反対です。中小企業は生存をかけた戦いの中で、(最低賃金の引き上げにより)追加のコストが増えれば、生き残れた企業も廃業に追い込まれてしまうと思います。政府、日銀のこれまでの政策と、民間の努力で中小企業の資金繰りが綱渡りながらも維持できたことが失業率の上昇を抑制し、なんとか経済活動が維持できている理由となっています。(最低賃金の引き上げは)リスクは大きいと思います」と危機感を露わにした。
「この新たな最低賃金は、10月頃から適用される見通しです。政府は、年度後半に日本経済をコロナ前の水準に回復させるためのブースターと位置づけています。菅総理は官房長官時代から年3%程度の大幅な引き上げを主導してきた経緯もあり、国民の所得向上が消費回復に結びつき、経済を回復させるという考えに立っています」(寺島アナ)
問題はタイミングだ。感染が拡大する中での最低賃金引き上げは、雇用回復を妨げる恐れがある。これについて会田氏も「民間はまだ生き残りをかけた戦いの最中。雇用の拡大よりも雇用の維持が重要。最低賃金を引き上げることで、消費回復を促進する局面ではまだありません」と指摘した。重ねて「生活者への支援は民間に負担を求めることではなく、給付金などの公的な負担でなされるべき」とした。
<参考ニュース>
中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は14日、21年度の地域別最低賃金の改定について都道府県の時給を一律28円引き上げ、930円とする目安をまとめた。02年度に時給で示す現在の方式となって以降で最大。都道府県の地方審議会が目安通り引き上げれば全都道府県で800円を上回る。 中央審議会は16年度から4年連続で3%以上、24~27円の目安を示してきたが、コロナ禍の昨年度は足踏み。菅政権は秋までに行われる衆院選をにらみ大幅引き上げに意欲を示していた。政権の意向が強く反映された形だ。 最高額は東京都の1041円で、最低額は秋田など7県の820円。
(共同通信ニュースより)
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2021/07/16/金 05:00-06:00 | おはよう寺ちゃん 5時~6時 | 文化放送 | radiko
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