発足からおよそ半年経過したバイデン政権を分析 吉崎達彦氏~7月13日「くにまるジャパン極」
バイデン政権発足から7月20日でちょうど半年が経過することになる。エコノミストの吉崎達彦氏は、この半年間で感じたバイデン政権や政治手腕について語った。
吉崎氏「半年前に発足した当時、1月20日のアメリカと、今のアメリカで最も変わった点は何だと思いますか?それはコロナウイルスの1日の感染者数なんです。1月20日時点のアメリカの1日の感染者数は19万2000件で、今は1万5000件ぐらいで激減しているんです。一番感染者数が多かったのは1月6日の議会乱入事件の時で、あの日が28万9000件。大統領がバイデンさんになった瞬間にグラフがストーン!と見事に落ちたわけです。」
さらに吉崎氏は、アメリカのワクチン接種状況についてもこう述べた。
吉崎氏『それだけじゃなくて、ちょうど1月ぐらいから、アメリカはワクチン接種が始まっているわけですよね。こないだ7月4日はアメリカ独立記念日でしたが、この日までに成人人口のうちの7割の人に最低1回は接種させましょうという目標があった。これが結局蓋を開けてみると67%でちょっと足りない。バイデンさんは「まだまだコロナとの戦いは終わってない。もっとワクチンを接種してください」と言ってはいるんですけども。』
しかし、アメリカにもワクチン接種に抵抗する勢力が根強いと吉崎氏は指摘する。
「これがアメリカの難しいところで、絶対打ちたくない!という人が若年層を中心にやっぱり3割ぐらいいるんですね。しかもこれ地域が偏っていて、共和党支持者の多いレッドステイツでアンチワクチンの人が多い。今後一部地域の感染拡大がちょっと心配」
一方、この半年でコロナ感染者が大きく減った理由について吉崎氏は別の角度からの分析結果を示した。
吉崎氏「元々はトランプ政権が1月に始めたオペレーション・ワープ・スピードによるところが大きくて、これは凄い作戦ですよ。まさか本当に1年でワクチンが3種類も4種類も出来て、それをみんながバンバン打ってて、何と日本に居る我々まで打てるっていうのは、もうトランプさんありがとう!と言ってもいいんじゃないですかね?」と、トランプ前大統領の貢献度にも敬意を示した。
また、吉崎氏はバイデン大統領が打ち出している施策についてこう述べた。
吉崎氏「バイデンさんの施策は非常に大胆ですよね。予算の打ち出し方もドーンと出してるし、結構意外感が持たれているのは中国に対する姿勢で、一時期はトランプさんは対中強硬だからいいけど、バイデンさんになったら中国に弱腰になるからマズいんじゃないかとも言われてたんですが、その外交をこの半年見ていると、極めて真っ当。むしろ中東からはどんどん引いていくという感じですし、来月末にはアフガニスタンからも米軍は完全撤退するようです。そんな風にやっているのも時代の流れで、中国と向き合うために力の制約を作っているという、極めてアメリカの力の限界を自覚している大統領なんだなと思いますね。」
最後に吉崎氏は、この半年で感じたバイデン大統領の印象についてこう語った。
吉崎氏「歴代のアメリカ大統領も最初の半年か1年で大きな成果を挙げてきたけど、特に今年の10月から始まる2022年財政年度の予算の編成。これが難しい。でもバイデンさんというのは元々国対族で、予算に関する立ち回りは嫌いじゃないんですよね。今、わりと世の中なんでもデジタルになってきて、細かな政策でも勝ち負けをうるさくいう人が多くなっていますが、この人は昭和な感覚というかアナログで人を見るみたいな、今の時代にはかえって新鮮な大統領じゃないかな?と思います。」
「くにまるジャパン極」は平日朝9~13時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。吉崎達彦氏はコメンテーターとして毎週火曜に登場。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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