2030年、環境とエネルギーの未来を考える#2『浜松町Innovation Culture Cafe』

2030年、環境とエネルギーの未来を考える#2『浜松町Innovation Culture Cafe』

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今から約50年前の1969年11月、東京ガスと東京電力が共同で当時未知のエネルギーであった液化天然ガス(LNG)の輸入を初めて成功させました。アラスカからLNGを積載したLNG専用タンカー「ポーラアラスカ号」が根岸の東京ガス工場専用埠頭に到着したこの時から、新たな巨大ビジネスが日本に誕生します。

 

LNGとは、天然ガスを-162℃まで冷却し、液化させたものです。液化することで、体積が約600分の1になるため、タンクローリーや鉄道での輸送や、タンクでの大量貯蔵が可能になります。LNGは石油や石炭に比べ、環境負荷の低いエネルギーと言われています。地球温暖化の原因である二酸化炭素、酸性雨や大気汚染の原因物質である窒素化合物の発生量が少なく、硫黄酸化物が発生しないためです。今では日本の一次エネルギー供給源として欠かせないものとなっています。国内では新潟県や千葉県、北海道でも生産されていますが、国内資源の乏しい日本のエネルギー自給率はとても低く、日本で消費されるLNGのほとんどが海外からの輸入でまかなわれています。そのため日本は世界最大のLNG輸入国となっています。

 

冒頭でも触れましたが、このLNGの可能性にいち早く気付き、導入に動いたのは東京ガスでした。そこから50年、新しい商品やソリューションの提案、エネルギーの安定供給を通じ、日本だけではなく世界でLNG時代を切り拓いてきました。その先見の明と弛まぬ努力のおかげで、日本はLNGというエネルギーで成功を納めています。ただその道のりは決して平坦なものではありませんでした。そして今我々が抱える深刻な環境問題の解決、脱炭素社会への移行、「未来のエネルギー」とも呼ばれる再生可能エネルギーの実用化、これらもまた決して平坦な道のりではないでしょう。かつて東京ガスが突飛な行為と評されながら、「東京に青い空を」とLNG導入に尽力したように、50年後も100年後も青い空、豊かな自然、そして地球の未来のために挑戦し続ける新しい力に期待したいです。

 

様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが様々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」7月5日の放送では、‪ 株式会社イノカCEOの高倉葉太さんと、東京ガス専務執行役員の岸野寛さんにご参加いただき「未来に向けてできること」から「世界的に見た課題」について熱いトークが繰り広げられました。

未来に向けてできること

高倉 「2030年までに二酸化炭素排出量を2013年度比46%減にする」という政府が掲げる現在の目標は実現不可ではないかという声もありますが、日本にもグリーンエネルギー関連のベンチャーも増えています。色々なプレイヤーが色々な取り組みをしています。海外の気候変動を止めようとするコミュニティも入ってきています。ビハインドはありますが、高い技術力で、我々が手を組んでいけば、実現可能だと思います。

 

岸野 できないと否定せずに、可能性を追求し取り組んで行くことが大切だと思います。我々もベンチャー企業と手を組んで、環境系でも取り組みを進めています。具体的には、二酸化炭素を吸収する技術を研究する企業と、一緒に仕事をしています。

世界的に見た課題

高倉 SDGsもそうですが、本質が理解できず「やらされている感」が強い点ですね。具体的に自分たちがどのような自然の恩恵を受けていて、気候変動によってどのようなリスクがあるのかを理解し、将来もっともっとサステナブルな社会を作るために取り組む必要があるというところまで視座を上げていく必要があります。

また、日本は宝の持ち腐れになってしまっている「海」をもっと活用していくべきだと思います。

 

岸野 エネルギーコストが国の競争力になっている中で、エネルギーを豊富に持たない日本が脱炭素を実現するには、ある程度お金がかかると思います。テクノロジーを、過度に高いものにならないように実現していくというのは大きな課題だと思います。コストが高いと普及しないので、ビジネスにのせる必要があります。

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