ウッドショックで木材価格が高騰中!? 家の増築、価格が戻るまで待つべき?(おとなライフ・アカデミーWEB)

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今を楽しく生きるおとな世代のための情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」。
残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、暮らしにまつわる様々な事柄を語り合います。

この連載では、人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2021」で話した内容をもとに大垣さんが執筆した、ここだけのエッセイを掲載中。
ラジオと合わせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。

2021年6月12日の放送は、リスナーメールをご紹介。コロナの影響で、木材価格が高騰する「ウッドショック」が起きています。リスナーの「藤井ゾウ太」さんは、この時期に家の増築を行なってもよいのか悩んでいますが・・・。

木材価格が高騰中。家の増築、時期を見るべき? それとも・・・

今回は、新座市のラジオネーム「藤井ゾウ太」さんからメールをいただきました。

家の増築を考えているのですが、最近よく「ウッドショック」という言葉を耳にします。
木材価格高騰で大変なことになっているというのですが、現状どうなんでしょう。
少し値段が落ち着くまで待ったほうがいいのでしょうか。
それとももう、値段は上がったきり下がらないのでしょうか

ウッドショックってそもそも何? なぜ発生した?

まず、ウッドショックが何か、なぜ起こったのかを簡単に説明します。

ウッドショックとは、アメリカや中国などが世界中の木材をたくさん買うことで、日本に木材が入ってこない、入ってきても価格が高騰している現象のことです。

コロナ渦におけるテレワークの推進などの影響から、不動産業界は今、世界中で好景気を記録しているんですね。
特にアメリカでは、コロナ対策で大規模な金融緩和策を打ち出すなどの影響で、歴史的な低金利状態になりました。その結果、多くの人々が家を建てたいと考えるようになったのです。

この結果、アメリカや中国が木材を大量に購入するようになり、それに影響され、日本は木材を買うことが難しくなっています。

今の時点ではまだ、消費者が実感できるほど影響は出ていないけれど・・・

さて、「藤井ゾウ太」さんは家の増築をお考えなのですね。ウッドショックの今、増築をするのは損なのか。悩みますね。

私が見ている感じでは、まだ、消費者の価格のところにまで影響は出ていないと思います。

というのも、日本でもやっぱり、家を購入・増築する人が増えてきているんです。テレワークの推進などの影響なんでしょうね。

工務店としては、この時期、木材の価格が上がっているからといって、素直に家の値段も上げてしまうと、もっと安く建てている工務店にお客さんが移ってしまうかもしれません。

そのため、今はどこも、人件費などを削ることによって、木材の値上がり分を抑えている状態なんだろうなと思います。それが持ちこたえられなくなった時点で、消費者にも影響が出てくるだろうと思います。

増築の場合、工務店から少し渋られるかもしれない

ただ、「藤井ゾウ太」さんは家の増築を考えておられるんですよね。

新築と増築を比較すると、増築のほうが、全体の値段で木の値段が占めている割合が大きいんです。
そのため、人件費を減らして誤魔化すということがしづらくて、今の状況だと工務店さんが赤字になってしまうかもしれない。工務店さんから渋い顔をされることはあるのかもしれません。
待てるなら待つのがベターなのかな、とは思いますね。

ただ、数ヶ月待てば改善するということはなさそうです。

木材そのものが今後も足りなくなっていくとは思えないので、いずれこの状況が改善されるのは確かなのですが、値段の高騰していくペースが緩やかになる気配が今はない状況なので・・・。

この時期に新築で家を建てると、高い金利のローンを支払うことになるかも?!

さて、「藤井ゾウ太」さんのように増築を考えている方だけでなく、新築を考えている方にも、ウッドショックの弊害は出てきています。
ウッドショックのために工期が遅れ出しているところがあるんですね。それによって、新築で家を建てる方のローン返済額が増えてしまうケースが出てきているんです。

家が完成するまでに借りるローン「つなぎ融資」とは?

どういうことか、住宅ローンを借りるときの流れを確認しつつ、順を追ってご説明します。

新築で家を建てる場合、家を建てるための土地を事前に購入している必要があります。そうでなければ、誰かの土地に、家を無許可で建てている状態になってしまいますから。

その際、多くの人は土地代を一括では購入せず、土地のお金も込みでローンを借りています。

ただし、住宅ローンの融資は、建物が完成したあとから始まるというルールがあります。そのため、家を建てはじめてから建て終わるまでは、土地のための代金を、住宅ローンとして借りることができません。

そこで多くの人が借りることになるのが「つなぎ融資」です。要するに、家を建てている期間だけ借りられるローンのことです。

この融資、便利ではあるのですが、住宅ローンよりも金利が高く設定されているんです。場合によってはなんと6倍近い金利がかかることもあります。

ウッドショックで工期が延びると、支払うお金が増える

さて、ウッドショックで住宅の工期が延びると、この「つなぎ融資」の期間も延びてしまうことになります。

金利が高いローンを、自分たち消費者にはどうにもできない理由で、長く返済することになるのは少し問題です。
既にこの問題で悩んでいる人がぼちぼち出てきており、国やメーカーは対策を考える必要が出てきているわけですが・・・。
ウッドショックが始まったのが最近ということもあり、具体的な対処法はこれから考えることになりそうです。

そんなわけで今回は、ウッドショックについて考えてみました。

■お知らせ

「移住・住みかえ支援機構(JTI)」では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった家をJTIが借り上げ、入居者がいない空室時も毎月賃料をお支払い。
また、皆さまの大切な我が家をケアするパートナーとして、入居者トラブルにも責任を持って対応しています。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
カウンセリングやご相談は無料。資格を持ったスタッフが、皆さまの家についてしっかりとお話をうかがいます。
制度についての詳しい情報は、「移住・住みかえ支援機構(JTI)」のサイトをご覧ください。

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