『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 グレーゾーンな銀行からの電話営業。何が問題で、どうやって対応するべき?(おとなライフ・アカデミーWEB)

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今を楽しく生きるおとな世代のための情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」。
残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、暮らしにまつわる様々な事柄を語り合います。

この連載では、人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2021」で話した内容をもとに大垣さんが執筆した、ここだけのエッセイを掲載中。
ラジオと合わせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。

2021年4月24日の放送は、リスナーメールをご紹介。最近、銀行から何度も「 資産運用についてアドバイスをしたい」と電話がかかってくるようになった「白いお山の住人」さん。実はこういった営業電話は、法律的にはグレーゾーンかもしれない、と考える大垣さん。電話の背景や問題点、対応方法について考えました。

自称フィナンシャルプランナーから再三かかってくる電話にうんざり!

今回はリスナーメールにお答えしました。

最近、銀行のフィナンシャルプランナーを自称する方から、銀行口座の内容を把握して「アドバイスをしたい」と電話がかかってくるようになりました。
電話番号は近所の銀行のものなので、アポ電強盗とは違う、本当のフィナンシャルプランナーのような感じですが、正直なところうんざりしています・・・。

横浜市緑区「白いお山の住人」さん

とのことなのですが。

最近の銀行って、こんな営業をするんですね。メールを読んで驚きました。

場合によっては、 グレーな営業なのかも・・・

この電話って要するに、銀行の従業員が「白いお山の 住人」さんの預金残高を確認して、「こんなにお金を持っているなら、ちょっと株でも買わせてやれ」と考えたわけですよね。

もしも銀行が主導して行っているとすれば、 グレーな手法だと思います。

まずは口座開設時の約款を確認。個人情報の扱いはどうなっている?

皆さんが現在、銀行口座を開設されるときは、必ず、「個人情報を利用する許諾」といった書類にハンコを押されたはずです。

そこには「個人情報を銀行が使うのは、原則として、預金に関することのみです」といった内容が書かれていたはずなんですね。この書類に反して、営業に関することで顧客の個人情報を使ったとしたら、非常に問題だと思います。

もしも口座開設時に、「営業のために私の個人情報を使っていいですよ」と書いてあれば、今回のような営業も問題はありませんが・・・。考えづらいかなと。

ただし、個人情報保護法が成立したのは今から約20年前の2003年なのですね。そのため、それ以前から持っている銀行口座の場合は、約款がどうなっているのかを一度確認したほうが良いのかもしれません。利用者のことわりなく約款を変えていることは往々にしてあるので。

銀行員が独断で営業をかけている可能性も

それから、銀行が主導してやっているわけではなくて、銀行員が成績を上げたいがために、個人の独断で踏み込んだことをしてしまっている可能性も あります。

景気が悪いこともあり、近年は銀行のお金を貸す相手が少なくなってきています。
そのため、むしろ銀行内の預金が増えてしまい、銀行は利益を上げられず困っているのです。

当然、多くの銀行は預金を投資信託に変えさせることで手数料を発生させたいと考えています。行員にはっぱをかけて、投資信託の契約を取らせようと考える銀行は多いはずです。

それをプレッシャーに感じた銀行員が、「白いお山の住人」さんの預金情報を見て電話をかけてしまうことは、大いにありうると思います。

本来なら、営業をさせるにしても、どこまでは法律にかなっていて、どこからがグレーゾーンかは事前に教育をするべきだと思うのですが、最近は行 員に対してきちんと教育を施さない銀行も増えてきているのかもしれません。

どこに相談すれば対応してもらえる?

銀行が主導しているにしても、行員が個人で動いているとしても、「白いお 山の住人」さんが迷惑していることには変わりありませんよね。

というわけで、次に電話がかかってきたときに、その人の名前と、所属している支店を聞いてみてください。

その上で、「全国銀行協会」の相談窓口に電話しましょう。

全国銀行協会は、日本国内の銀行をまとめている組織です。この組織に流れた情報の多くが全国の銀行間で共有されるので、協会から「こういった電話を控えるように」と銀行宛に注意をしてくれるかもしれません。

「かもしれません」と書いたのは、そうならない可能性もあるからなのですが・・・(笑)。

私も何度か電話をかけたことがあるのですが、残念ながら全国銀行協会は、そこまで消費者を保護してくれる団体ではないんです。

ただ、先ほども申し上げた通り、電話をかけた場合は銀行側に情報が流れるようになっている ので、銀行側が、個別の対応として「白いお山の住人」さんへの電話を控えるといったことは十分に起こりうると思います。

全国銀行協会でもダメなら、金融庁にも窓口があります

全国銀行協会に電話をかけても、変わらず電話がかかってくる場合は、金融庁にも相談窓口がありますので、そちらに連絡をしてみてください。

諦めずに「これは問題ではないか」と訴えることで、「この人は投資信託の契約をして くれそうにないぞ」と銀行側が諦めることは、意外とあるかもしれないので。

もちろん、銀行側が最初からグレーな 営業 などしなければいいだけの話ではありますが・・・。

信頼されている銀行だからこそ・・・

銀行のこういった営業方法の何が問題か。それは、私たちが銀行に持っている「信頼感」を悪用していることなんですよね。たとえば皆さんも、証券会社の人が家まで飛び込み営業をしてきて、「この投資信託を買ってみてください」と言われるのと、
銀行の窓口で、行員から「この投資信託がおすすめです」と言われるのとでは、同じ商品を勧めていたとしても、銀行の人から言われたほうが信頼できると思うんです。

銀行は信頼度がもともと非常に高く、だからこそ、 皆さんを信頼させて商品を買わせやすい立場にあるともいえますよね。
投資信託は多かれ少なかれリスクのある商品です。本来なら銀行側は、リスクの高い商品を売りつけているわけですから、節度のある売り方をしてほしいなと思っています。

預金とは「元本を崩さないで」という意思表示でもある

それから、私たちがなぜ預金をするのかについても銀行には考えてほしいです。

預金ってつまり、「金利はいらないから、元本が減らないようにしてください」というお願いなわけですよね。

それを「最近は銀行が儲からないから」と、銀行の都合で、株などの元本が減るようなものに変えさせたがるというのは、やはり顧客を第一に考えているとは言い難いなと思うんです。株を買わせるのは、子会社の証券会社が頑張ればいい話で。そんなわけで今回は、銀行の営業方法について考えてみました。
「白いお山の住人」さん、ありがとうございました。

■お知らせ

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住まなくなった家をJTIが借り上げ、入居者がいない空室時も毎月賃料をお支払い。
また、皆さまの大切な我が家をケアするパートナーとして、入居者トラブルにも責任を持って対応しています。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
カウンセリングやご相談は無料。資格を持ったスタッフが、皆さまの家についてしっかりとお話をうかがいます。
制度についての詳しい情報は、「移住・住みかえ支援機構(JTI)」のサイトをご覧ください。

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