「ミャンマー大地震」「南海トラフ巨大地震・新たな被害想定」とは…平田直東京大学名誉教授にきく

「ミャンマー大地震」「南海トラフ巨大地震・新たな被害想定」とは…平田直東京大学名誉教授にきく

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毎週日曜朝5時5分からお送りしている「防災アワー」
防災をもっと身近にもっとわかりやすく生活目線でお送りしている番組です。
(現地写真は「日本ミャンマー・カルチャーセンター」マヘーマー氏提供)

3月28日に発生したミャンマー中部、マンダレー近郊を震源とするマグニチュード7.7の大地震から1週間以上たちました。
国軍の発表によりますと、死者は3455人、行方不明者は214人にのぼり、今後さらに増えるおそれがあります。

この地震について東京大学名誉教授・平田直(ひらた・なおし)先生に電話インタビューしたところ
「インドプレートとユーラシアプレートの境界付近で発生した地震で、インドプレートというのはその周辺で複数の地震を起こすような断層がたくさんある。その一つが今回の地震を起こした『ザガイン断層』。この地域ではこれまでも度々大きな地震が発生している、例えば1990年にもマグニチュード7の地震、その他7.9の地震も発生している。今後も大地震が発生する可能性はある。」

ザガイン断層はミャンマーを南北に縦断しているおよそ1000キロもある断層で、そのうちの200キロが活動したとみられています。
地盤が弱く、日本ミャンマー・カルチャーセンター マヘーマー氏によると、レンガを積んだだけの建物もあり、耐震化も進んでいないということです。
また、1000キロ以上離れたタイのバンコクでは、建設中の高層ビルが倒壊しました。
ここにきて施工した中国企業の不正疑惑も報道されていますが、「長周期地震動」の影響が指摘されています。「長周期地震動」とは、揺れが1往復するのにかかる時間が長く、遠くまで伝わりやすい大きな揺れのことです。
平田先生は日本でも「長周期地震動」の影響を受けたことがあり、今後も注意が必要と話します。
「遠い所で揺れる長い周期の地震『長周期地震動』だが、例えば東日本大震災の時は、震源から遠く離れた関東首都圏や大阪でも高層ビルが被害を受けた。今回のタイでの被害は長周期地震動が影響したとみられる。南海トラフ地震が起きたときの被害を考えると、震源から遠い首都圏でも同様に都市部の高層ビルは大きな揺れとなる可能性がある。日本の高層ビルは長周期地震動があっても倒れることはないと思うが、エレベーターが止まるとか停電になって水が使えないなどの影響は容易に想像できる。地震への備え、具体的には家具の転倒防止などをすることが必要」

一方、31日に政府は南海トラフ巨大地震の新たな被害想定を発表しました。
東日本大震災と同じマグニチュード9クラスの地震が発生すると、最悪のケースで死者がおよそ29万8000人、被害総額は292兆円と想定しています。
南海トラフ地震評価検討会・会長でもある平田先生は
「南海トラフで大きな地震が起きるというのは、2011年東北地方で起きた巨大地震(東日本大震災)が今度は関西でも起きる、というふうに考えていただく必要がある。非常に広い範囲で強い揺れと高い津波が来るというのが南海トラフ巨大地震の特徴。神奈川県から宮崎県にかけて広い範囲で強い揺れ、津波は例えば千葉や茨城、東北の海岸までも伝わってくると予想されている。日頃から備えを。強い揺れには耐震化や家具の固定を。津波については、気象庁から津波警報が出されるので安全なところに直ちに避難。その為にはどこに避難したらいいか避難場所・避難経路を予め確認しておくことが大事」
また13年前に比べて今回想定された死者数はやや減りましたが、この理由について平田先生は
「13年前は32万人、今回29.8万人。ほとんど変わっていない。これは津波によって浸水する面積が13年前想定していたより広がったということが一つある。
耐震化が進み、津波避難タワーや海岸の堤防などが整備されることによって地震に対する備えは少し良くなった。揺れによって倒壊する建物の数は減っている。しかし津波によって亡くなる人の数は減っていないのは、津波によって浸水する面積が増えたから。なぜ増えたかというと10年前に比べて海外の地形などのデータの精度が上がったので、実際に浸水するところが少し広くなったから。それぞれの地域でどこまで浸水するかを国全体で評価したのが今回の公表。
1人1人が自分の地域でどこまで浸水するのかを改めて確認していただき、どこに逃げる必要があるのか考えていただきたい」


今日4月6日放送の「防災アワー」
聞き逃した方はradikoでぜひお聞きください。

新年度が始まりましたが、基本的な備え、家具の固定や非常持出し袋の確認を。
また、入学・入社・転勤などで新しい場所に引っ越してきた方はその土地がどういう所なのか、ハザードマップなどで調べておきましょう。

「日本ミャンマー・カルチャーセンター」は緊急支援を呼びかけています。詳しくはこちら

気象予報士 防災士 都庁・気象庁担当記者 伊藤佳子








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