
『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 最大の問題は「団塊ジュニア世代」
情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。
この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2025」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。
★メール本文
団塊世代の大きな塊が減っていくと、日本はどうなるのでしょう。
(横浜市青葉区 ヒザの痛みとおさらばしたい源ちゃん)さん
団塊よりジュニア世代のほうが…
最後のメールはシンプルな疑問ですね。
まず、ヒザが痛いのは薬では無理ですから(笑)。歩いて走って直してください。筋肉が戻らないと痛いです。私も痛かったんだけど、走ったら直りました。
さて、団塊世代。悪口言ってますけど、そんなに悪事を働いてる世代ではありません。お荷物なのかっていうと、それも 数が多いからその分お金がかかるかどうかはわかりませんが、ことさらに問題がある人々でもないと思います。うっとうしかったのは間違いないですが(笑)。
僕らの人口分布って、団塊が「槍ヶ岳」、その下にジュニア世代が「穂高」、もう一回ボコッと上がっていたんですが、それがもういま、逆になっている。ジュニアが1千万、団塊の世代はもう800万までになりました。これから実は、日本はもっとめんどくさい時代になるのが、この1千万のジュニア世代の皆さんが年を取っていきます。就職氷河期の時代の方々だし、子どもの数もずっと少ない。特にいま、僕の仕事の関連でいうと、持ち家の比率が同じころの上の世代より10%以上低いんです。もう40代後半から50代で、今からそんなに家を買えるお年ではないので、このままいくと100万人単位で家がない人が増えるんです。その割に余命はそんなに短くならない、というかむしろ長くなります。
この人たちをどう支えていくか。団塊はそれを支えるジュニアが、そうはいってもいるわけですが、ジュニアの下は減る一方です。そういう意味では、人数が多いといろんなことが良かったり悪かったりする中で、上の世代に比べると難しい要因が多くなっています。
自分で考えなければいけない時代
実際、ジュニア世代の方々は、団塊の人たちのように「会社とかに長くいて悪いようにならなかった世代」ではない、ということは認識されていると思います。ただ50代って、まだ感覚的に…もっと下の世代は割り切れてるんですけど、この世代の方々は「なんとかなるんじゃないか」と思われてる可能性があって。ここでもう、最終回なので言っときますけど、絶対になんとかはなりません。セルフ・ヘルプ、自分で考えるということをすごく考えておかれることが必要です。もう一つ、この世代の方が書かれてるものを見ると、どうも横と比較されている感じがすごくあります。「自分はあの人に割り負けてる」とか、「なんとかは損」とか。でも、これから組織を離れていくときに一番大事なのは「自分しか基準にしない」ということです。昨日の私より私はマシか、とか、今日の私は明日の私よりマシか…という風に考えていれば、あまり心が重たくならないでちょっとずつ良くなっていくんです。これ10年ぐらいやっていると案外差がつきます。50歳に差し掛かった人たちは、そういう考え方に変えていかないと、いまの組織はすごく不幸になりがちです。50歳になったら、回りと比較しないようにしてください。それで自分でできることを増やしておかれると、急に状況が変わったときにそんなにびっくりしなくなります。次の世代は、もう そもそも会社や組織を信用してないから大丈夫だと思うんだけど。そこが憂き目に遭いやすい世代なので気を付けられるといいな。ここが上手に過ごしていければ、案外日本てイイ感じになっていくと思います。50歳の10年間ってすごくいろんなことができますよね、全然若いもんね。だからここでがんばっておくと、60歳がだいぶ楽になります。
今日は「団塊ジュニア世代」について考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。
大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。
第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。
東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』『生きづらい時代のキャリアデザインの教科書』など。
家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。
※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください
お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
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楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…