トランプ政権の「相互関税」 トランプ的不確実性が経済に与える影響

トランプ政権の「相互関税」 トランプ的不確実性が経済に与える影響

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4月1日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、トランプ政権が4月2日に詳細を公表する相互関税について意見を交わした。

トランプ政権の不確実性に対応しなきゃいけないのは政府と日銀

トランプ米政権が4月2日に「相互関税」の詳細を公表する。貿易相手国と同水準まで関税を引き上げる措置とみられるものの、仕組みは現時点で不明な点が多い。発動されれば、世界の経済に打撃を与えるのは確実で、各国が警戒している。米国から見て貿易赤字の関係にある日本も対象となりうる。

トランプ大統領は発表を予定している相互関税について、「すべての国について話をしている」と述べ、全世界が対象になり得るとの考えを示した。

さらに「アジアとの貿易を見れば、米国が公平に、良い扱いをされているとは誰も言わない」と話し、アジア諸国への不満を表明した。

(寺島アナ)「アメリカから観て貿易赤字の関係にある日本も対象となりうるわけですが、田中さん、改めてこの“相互関税”いかがでしょうか?」

(田中氏)「“相互関税”の行方が、前日の現時点になってもはっきりしないことが世界経済に与える影響としてすごく深刻です。これは“トランプ的不確実性”と名付けています。トランプさんの相互関税の話は、どの国が対象で、その国のどんな部門に対して関税をかけるのか、その関税の率がどれくらいになるのか。現時点で全く分かってないわけです。トランプさんは“対象になるすべての国と話している”と言っていますが、報道では具体的な話がほとんど流れてこないですよね。だから4月2日になってみないと分からない。多くの人は具体的なイメージを持てないんじゃないかな? 今までのカナダやメキシコなどへの対応を見ても分かるわけで、電話一本で話がコロッと変わってしまうわけです」

“相互関税”の詳細が発表されていないことが早くも影響している、という。

(田中氏)「企業の設備投資、将来の投資計画なんかにも悪影響を及ぼします。投資家にとってもリスクが非常に大きい。判断材料に迷うわけですから。それを反映して、きのう日経平均株価がすごく暴落しましたよね? 今日は多少戻ると思いますが、完全にリカバリーしない。トランプさんの発言を消化しきれず、ずるずるとトランプ的不確実性に今後も振り回される可能性が高いと思います」

(寺島アナ)「いま日経の先物を見ても300円台くらいですから。“相互関税”が発動されると世界の経済に打撃を与えるのは確実、という思いで各国が警戒しています」

トランプ大統領は「多くの国が、歴史上経験していない程、アメリカからぼったくってきた」と主張。一方で相互関税は「各国がしてきたことよりも、はるかに寛大なものになるだろう」と話し、相互関税の関税率を低く抑える可能性に言及。

(寺島アナ)「この発言をどう受け止めたらいいのか……」

(田中氏)「まさにこの発言がすごく抽象的ですよね。トランプさんは“寛大な措置をするであろう”と言っていますが、それはどの国のどの部門でどれくらいの関税なのか? 例えば、インドであれば対応として“アメリカが問題視している関税を下げます”と、“ある国は、報復関税をします”と。日本側はまだ態度が不明ですよね? その方が良いと思いますよ。相手の出方が分からないのに、態度を表明する必要はないと思います。そういったことも含めて、世界中がそれぞれ対応に困っているのが実情です。率直に言って、安全保障的には同盟国に完全に牙をむいているので、それは安全保障の点であまり得策じゃない。しかもコロナ渦をきっかけに中国からサプライチェーンの再編成をやる波に乗って成長を高めていった国が最も被害を受けます」

日本の企業に大きな影響を及ぼす可能性もある。

(田中氏)「日本も、デジタル化の波で北海道に最先端の半導体工場、あるいは九州に台湾から半導体企業を呼んで、そういったものでやっていますが、ひょっとしたら今後見直しを迫られる可能性があって、それは日本経済に大きなダメージ。さらにリーディング産業であるような自動車産業、特にマツダや日産などは、いま噂されている“自動車に25%の追加関税”なんかやられたら、大きな衝撃を受けると思うんです。そういった意味で日本企業にも少なからずショックを与えることは間違いないんですが、今後どうなるのかな?」

田中氏は、今後の日本政府、日本銀行の対応が重要だと指摘

(田中氏)「日本銀行は、景気が悪化してもせいぜい金利は現状維持。下げることはしません。普通だと経済の悪化が見込まれるときは、先手を打って金融緩和をすることが望ましいのですが、今の日銀にはそういった発想はありません。金利上げスタンスは維持です。石破政権はなんちゃって減税をします。予算を再修正して、経済に与える減税効果はまったくしてないわけじゃないので、大体数千億円。ひょっとしたら岸田政権の定額減税よりも効果は低い……」

(寺島アナ)「じゃあ5千億~6千億くらい?」

(田中氏)「そんなものです。正直、岸田政権の定額減税はもらった段階では嬉しい人もいたでしょうけど、結局去年の経済成長率はマイナス。賃金は上がったけれど、みんな先行きの負担が怖くて消費には回らなかった。つまりそれだけ経済の勢いはなかった。それにも劣る政策しか打てない石破政権。自分の政権の維持だけをはかっていますから。最近も妙なことを言っていますよね? “食品に限って消費減税をするかも”と。これについては明らかに選挙対策ですよね。そういった消費税の問題も全般的にやればいいじゃないですか」

(寺島アナ)「8%の部分だけじゃなくてね?」

(田中氏)「ガソリンも暫定と言いながら恒久化している。あれだって事実上減税の対象になりますから。というような画期的な減税政策が出ないのは、画期的な嘘を言っている疑いの方がますます高まっちゃうんですよね。それと似たような、選挙になると“消費減税”と言っている政党ありますよね? 立憲民主党っていうんですけど。反論もあるかもしれないですけど、僕が素朴に見るとそんな感じですよ。だから国民の心情を弄ぶな、と。やるんだったら今やれ!」

(寺島アナ)「そうですよね! 今、ですよね?」

(田中氏)「補正予算も今やれ! 別に会期延長してもいいから、今からそれを入れろ! と思いませんか? “選挙勝たせてくれたらやります”って、これオレオレ詐欺じゃない?」

(寺島アナ)「どのくらい有権者を喜ばせて、失望させるのか。ってことになりますからね」

(田中氏)「しかも維新を取り込んで、なんちゃって三党連立で乗り越えようとしていますよね? 国民はそんなに甘くないですよ?」

(寺島アナ)「しかも今、不確実性の時代に入ってしまっているわけですからね」

(田中氏)「不確実性の時代なのに、石破さんは自分の政権の確実性だけを目指している」

(寺島アナ)「結果として我々国民が良い生活になる方向に向かえばいいですけど、口だけっていうのはやめていただきたいですね」

(田中氏)「予算の再々修正で、今やるべきだったんじゃないですか? でもそれができなかったわけですからね。胡散くさ! それが最もトランプ政権の不確実性に対応して我々がやらなきゃいけないことですね。政府と日銀、ちゃんとやれ! っていうことですよ」

 

〈出典〉
米「相互関税」、消費税も関税と同一視か 4月2日発表 | 日本経済新聞(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2922L0Z20C25A3000000/)

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