
『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 村関不三夫さんを迎えて
情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。
この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2024」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。
今回は特別編。株式会社「高齢社」の代表取締役、村関不三夫さんをゲストにお迎えした、2024年12月14日放送のダイジェストをご紹介します!
<村関不三夫さん プロフィール>
・東京大学法学部をご卒業後、東京ガスに入社。ニューヨーク事務所長、リビング企画部長、エネルギーソリューション本部長などを経て、2021年から株式会社 高齢社の代表取締役に就任。モットーは「あ」「た」「ま」で仕事をしよう。「明るく」「楽しく」「前向きに」
「高齢社の村関です」では…
村関 名刺交換をするときに ですね「コウレイシャの村関です」というと、顔を見てどう見ても若者には見えないな、ということになるので必ず「株式会社 高齢社」の村関です、と名乗る方がいいですよ、とアドバイスされたので。必ずそう名乗るようにしています。
鈴木 村関さんは1956年千葉県のお生まれです。東京大学法学部をご卒業後、東京ガスに入社。ニューヨーク事務所長、エネルギーソリューション本部長などを経て、2021年から株式会社 高齢社の代表取締役に就任。モットーは「あ」「た」「ま」で仕事をしよう、「明るく、楽しく、前向きに」だそうです。
残間 いままさに、人手不足で、高齢者の力を頼みにしたい、という動きはあるんだけど、果たしてそれがどんな風になっているのか、ぜひ伺いたいと思います。
鈴木 高齢社はそもそも、どんな会社なんですか?
村関 高齢社は2000年に上田研二という、東京ガスのOBが設立いたしました。上田さんは私と東京ガス時代、一緒の職場にいたことがあります。24年目を迎えますが、その時代(2000年のとき)に、「これから労働者不足の時代が来る」ということを予見した上田さんが、高齢者のための会社を作ろうということでスタートしました。特に家で定年になった後、ブラブラしてると奥さんに迷惑がられる。そういうこともあって、元気に外で働いてほしいという強いニーズに応えようと…。
大垣 ちょうどそのころ、団塊世代の人たちがそろそろ退職で…。たぶんおそらくそこを見てということでしょう。現実に大量に動いてるんですか?
村関 最初は10人ぐらいからスタートして、今は登録者1200人ぐらいおります。少しずつ右肩上がりに成長してきました。
大垣 案外、団塊の方って、そういう動きをしなかった印象があるんですけど。まあまあ動かれたんですね。
村関 定年してしばらく家にいるんですけど、することに困って、図書館に行くとかですね。家庭菜園やるとか…いろんなことをやるんですけど、何かちょっと…違うなと。現役のときと違う、社会とのつながりがなくなって…。
大垣 何歳ぐらいからですか? 70歳ぐらいになってから動く?
村関 いや、65歳ぐらいですね。65歳で定年になって、半年ぐらいブラブラして…中には3年ぐらい何もしない方もいらっしゃいますけど。
大垣 残間さんがよくおっしゃってるのは、団塊の男は動かなかったと。
残間 けっこう習い事とかしたいんだけど、70歳になると、なかなかね。
村関 やっぱり、働くということの喜びですね。働いてるとやっぱり健康になりますし。
合言葉は「は・げ・あ・た・ま」
大垣 「働いて」「元気になろう」「明るく」「楽しく」「前向きに」の頭の文字をとって、「は、げ、あ、た、ま」って。
村関 はげあたまって、ラジオなんで残念なんですけど、私の容姿と非常に…(笑)。
働いてる人と働いてない人とでは、全然イキイキぶりが違いますので。
大垣 団塊の方々もそれなりに。どっちかといえば、マジョリティは続けて働かれたんですか?
残間 やっぱり70歳を境にやめた人多いよね。
大垣 「蕎麦打ち男」が多い?
残間 蕎麦打ちも続かなかったのよ。
大垣 案外、蕎麦を打ったり、図書館に行ったり…。図書館は私、社会学の先生と一緒に追跡調査したことあるんですけど、4月退職の方は だんだん夏で暑くなっていくと奥さんに「エアコン代もったいないから出ていきなさい!」って言われて、図書館に…(笑)。
どっちかっていうと、今の方が切迫感を持ってこういう動きが受け入れられてきた?
村関 いろんな方がいるんですけども、現役の時のような働き方はしないほうがいいですよ、とお勧めしてるんです。週に2日、3日ぐらいでもいいから、ゼロにはしない。ゼロにすると、働かないとやっぱりおかしくなってしまうので。かといってフルタイムで、月金9時5時みたいな働き方は良くないですよ、と言ってます。3日ぐらいの方が多いですね。
大垣 当時は、年金が出なくなるんで困るという方が多かったですね。
村関 ただ、いま私どもの会社は派遣会社で。派遣社員の方を見てますと、だいたい65歳過ぎて年金もらって30万あると、なんとかギリギリ生活できる、というくらいなんですね。ですから65歳過ぎてそんなにお金をたくさんもらう必要もありませんので。まあ、週2日、3日働いてるとそのレベルが保てるかな、という感じなんですね。
残間 いま働き控えをやめようというので、週50万を61万にするとか72万にするとか、いろんな話が出てますもんね。
世代に合った働き方を提案
残間 村関さんは東京ガスで上の方にいらしたわけで、東京大学法学部という、大垣さんと一緒の学校を出て。ご自分は60歳くらいのときに、その先ってどうなるだろうって、言う風に思ってらっしゃったんですか。
村関 まったく考えたことありませんでしたね。実は私の父が68歳まで働いてたんです。それは私が大学を卒業するまで働いてくれてたわけなんですけど。父が68歳で会社を辞めたとたんに、すごく元気がなくなったのを覚えているんです。
私がいま、ちょうど68歳なんですけど、あのころの68歳と比べて今の私はずいぶん元気だなと自分でも思うんです。だから60歳のときにその先どうしようかということは、あまり考えなかったですね。
大垣 まさに、バリバリやられてらっしゃいますので。でも65歳でお辞めになって来られる方には週2,3日の方がいいと。その分かれ目は何なんでしょう?
村関 実は私どもの会社でフルタイムで働いてるのは私だけなんです。あとはみんな、3日か4日。しかも…夕方は終わるのを早くしまして、4時半ごろに終わるようにしてるんです。その世代に合った働き方をしたほうがいい、ということで。
大垣 私はいま65歳ですけど、60代って世代に合った働き方をしないといけないぐらい、スローダウンするものなんですか?
村関 スローダウンという意味ではないですね。働き方の長さとか、そういうことで、毎日現役と同じようにということでは。その違いです。
残間 大垣さんだって合唱をやったりする余白があるじゃない。
大垣 まあ…。本を書くのをそれに代えてるぐらいのことで。仕事以外のことはそんなに違ってる感じはしないですけど。だって残間さんだってほとんど寝ないじゃん。なんか70歳までそんなにペースダウンしない感じ…。
村関 私どもの会社はいま、働いてる方の平均年齢が71歳で最高は84歳がいらっしゃいます。65歳から75歳というのがボリュームゾーンなんですね。75歳までは元気です。
大垣 確かに大きなところに就職しても残業はさせられるわ、時間の管理がむちゃくちゃ…という働き方はさすがにやめたいというのはわかるんですけど。それはどっちかっていうと、会社の側がおかしいような話で。若い人だってそうあるべきですよね。
村関 当たり前なんですけど、65歳過ぎた後の働き方と、現役のときの働き方で、大きく違うのは、出世レースもないわけです。住宅ローンも子供の教育費もかからない。だから肩に乗ってるものがものすごく軽い。そういう感じの中で最適な働き方を選ぶということです。幸せ感というのは、65歳から70歳ぐらいの働いてる人がいちばん高いんですね。一番低いのは55歳から60歳の人。この方たちは本当に幸せ感が少なくて…。
大垣 それはそうでしょうね。デカいところですとね。
村関 自分もいま、私自身がすごく幸せで。妻といつも「我々は幸せだね」って二人で…(笑)。
残間 加山雄三の世界ね(笑)。
転職当たり前、の時代に
大垣 若い人はどうなるんでしょう。僕らはある意味「65歳まで一つの会社だぞ」みたいな世界に生きてきました。そこでいったん区切りができて、後はどうしますか、とわかりやすいといえばわかりやすかった。今後、私の教え子なんかみんな一生でおそらく2回ぐらいは転職するだろうという中で、定年もおそらく、年金の問題もあるからどんどん70歳に近づいていきますよね。そうなってくるとかえって自分でどっかで…40歳とか50歳で区切り付けて、そこからゆっくりになってもいいとか。発想を変えていかなきゃいけないような気がするんですが。
村関 そういう意味で言うと、さっき50代半ば以降、60歳ぐらいまでがいちばん幸せ感が低いというお話をしましたが、結局…40代の方はまだ転職できるんですが、50歳ぐらいになると転職のしようがない。
大垣 先は見えてるけど、クリンチするしかない世代になるわけですね。
村関 そうです。ですから、彼らが一番定年後どうなるんだろうかっていうのを、実は心配してるんじゃないかと思うんです。
大垣 で、急にジョブ型に変わってね…。私も言われたんですよ。先輩はみんな、「お前、42歳だぞ。そこまでは給料以上に働くけど、そっからは俺を見てみろ。給料は働きより多くなる。」なんて、ニンジンぶら下げられてがんばってたら。そんなもん何にもなくなりました。で急に「働きなりに払うぞ」とか言われて。ちょっとこう…ずいぶん裏切られた感じを持ってらっしゃるでしょう。でも若い方は騙されないでしょうから…もう少し、いまみたいな区切った働き方、就職口をあっせんしますよじゃなくて、もっと前から…。
村関 40代の方はそういうことをやる必要があると思いますね。で、我々がメッセージを発したいのは、55歳ぐらいの方で、これからどうなるのかあんまりよくわからない。なんとなくボンヤリとした…そういう方には「いやいや、65歳過ぎても楽しいんだよ、人生は。定年後ってすごく楽しいんだよ」ということを。これはあちこちで言ってることなんですけど、心配する必要はないんですよ、と。
大垣 妙にクリンチに入っちゃう場合…言葉は悪いんですけど。そこに入っちゃうと。先に高齢社にお願いして、早めに動いちゃって。その方が幸せっていうこともないでしょうか。
村関 それもあると思いますね。あとは結局、60歳ぐらいの方に、あるいはいろんな取材のときに「定年後に有利な資格」をよく聞かれるんですけど、私の答えは「ない」っていうんです。あんまり前の資格にこだわってると仕事が見つからないし。ですから、何でもやる気があれば、仕事はいま人手不足なんで。何でもありますよ、という言い方をずっとしています。
鈴木 高齢社で働かれる方も、今までと違う仕事を選ばれる方が多いんですか?
残間 村関さんずっとおっしゃってますもんね。前歴とか、前に何をやってたとか、そういうのは捨てなさいと。
村関 たとえば、私どもの会社は東京ガスのOBが多いですが、レンタカーの営業所の受付をやっていたり…。レンタカーっていうのは高齢者に向いている仕事なんです。朝早くから開くんですね。高齢者は朝早いの得意ですから。で、朝行って、昼までの仕事で終わる、そういう働き方を選べるんです。高齢者に合った働き方を提供してあげることで、幸せな老後をみんな過ごしている、そういうイメージなんですね。
年齢だけで判断しないで
残間 でも、いま働いてる60代、70代って、いわゆる世の中で言う高齢者と違いますよね。
村関 昔のヨボヨボのオジイサンという感じはないですからね。どう見ても。
残間 男性が多いんですか?
村関 8割ぐらいは男性ですね。
残間 男性でそれだけ意気に感じてやってるって、素敵だよね。
大垣 受け入れる側の発想として、何か気を付けることはありますか?
村関 受け入れる側より、一番気を付けなくちゃいけないのは働く側なんです。昔こういうことをやってたから、とか、昔部長だったから…みたいな態度を出しちゃうと、もうやっぱりその…派遣会社なので、派遣先様から「こんな人使えない」と戻されちゃうことになるんです。
大垣 そうやって戻ってくる方も多いですか?
村関 入社してこれから働く方には必ず強く言いますので、そういう意味では戻ってくる人はいませんが…。後は、派遣で受け入れる側のほうは、年齢だけ見て「ああ、この人使えない」と思わないでもらいたい、それはお願いをするところです。先日も70歳過ぎた女性の方なんですけど、一級建築士を持ってらして、ずっとリフォームをある会社でやっていた。ところが70歳過ぎるとどこでも雇ってくれないと。それで私どもの会社に来たんですけど、そしたらやっぱり彼女のノウハウ、スキル、素晴らしい。いま76歳ですが、元気に働いていらっしゃいます。
大垣 ある意味 派遣さんの場合、3年雇ってしまうとそこでどうするっていうのやらないといけないんだけど、60歳以上は、それがないし、あってもあまり気にしないっていうか、そういうことになりますよね。
残間 これから高齢の人たちはどんな風になっていくんでしょう。
村関 ますますアクティブになるんじゃないですかね。そうならないと、日本も回っていかないでしょうし。人手不足ですから、60歳以上の方が働かない社会というのは、ちょっといま、考えられないですよね。
鈴木 高齢社に興味を持たれた方はどうすればいいですか?
村関 ホームページからお問い合わせいただければ、対応させていただきます。
大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。
第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。
東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』『生きづらい時代のキャリアデザインの教科書』など。
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宛先は、otona@joqr.netまで。
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お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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