「新年度予算成立~石破氏らしさ封印 毎日ががけっぷちの楽しくない予算審議~」

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 文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)

 その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。

 文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。

 



 

2025年度予算が年度内成立した3月31日、石破総理は満面の笑みを浮かべていた。一時は、採決が年度をまたぐ可能性もあっただけに、ギリギリ駆け込みでの成立に安堵したようだ。
1月の施政方針演説で「楽しい日本」を掲げた石破総理は、立憲民主党の小沼巧参議院議員から「予算委員会は楽しかったか」と問われ「答え、難しいですね」と言いつつ、
与野党議員と話していて示唆を受けることが多く「非常に充実した思いがあった」と苦い表情で答弁した。批判するのは野党だけじゃない。身内の自民党内から石破おろし発言が飛ぶなど、楽しいどころか、毎日が針の筵状態だったことがうかがえる。

衆議院を少数与党で迎えた初の通常国会。低姿勢で臨んだ予算審議は野党ペースで進められ、審議時間は異例の92時間に積みあがった。
日本維新の会や、国民民主党と自民公明による3党協議も難航し、予算案の衆議院通過には常に黄色信号がともった状態が続き、石破総理はひと時も気が休まらない日々を送っていた。
そんな中、維新の会が求める高校の教育無償化や社会保険料引き下げに関して自民公明維新の3党が合意。予算案への賛同も取り付けた。そして迎えた衆議院予算委員会での採決の瞬間、石破総理は椅子から身を乗り出し、瞬きもせずに与党席と維新の席をキョロキョロと激しく目線を動かしていた。安住予算委員長の「賛成の諸君の起立を求める」という声に、与党議員に加え維新の議員が一斉に立ち上がると、こわばっていた顔つきが一瞬のうちに緩み、立ち上がって維新の議員に向かい頭を下げた。

ほっとしたのもつかの間。予算案が参議院に送られて間もなく石破総理の表情が凍り付く事態となった。
自身が開いた自民党1回生議員との会合で、事前にお土産として10万円の商品券を配布していたことが発覚。さらに予算審議の大詰めを迎える中、石破総理との会談後、
公明党の斎藤代表が記者団に「予算成立後に『強力な物価高対策』を打ち出そうという話があった」と明かしたことが大きな波紋を呼んだ。
国民民主党の玉木代表は「今の予算案は不十分と白状しているようなものだ」と猛烈に批判したほか、他の野党からも「参議院への冒涜だ」などと激しい追及を受け、
連日、国会で謝罪を繰り返す事態となった。批判は野党だけじゃない。自民党の若手議員からはちょうど1年前、能登半島地震の被災地を訪れた帰りに、石破総理とゴーゴーカレーを列に並んで一緒に食べたことを紹介しながら、その当時と比べて「世間との金銭感覚にずれがある」と指摘され、肩を落とした石破総理。答弁する声も心なしか震えていた。

耐えて忍んで迎えた予算審議の最終盤も、採決日程をめぐり与野党でなかなか折り合えず気をもむ日々が続き、焦燥感にさいなまれた石破総理だが、年度内成立ギリギリの3月31日、衆議院で再び議決されたことが議長から告げられると、居並ぶ大臣の中で誰よりも先に立ち上がり、誰よりも長く頭を下げ続けていた。

ようやく石破総理らしい笑顔が久しぶりに戻ったものの、再び顔がこわばる事態はすぐに訪れるのは間違いない。
3月末に一定の結論を得ると与野党で申し合わせた企業団体献金は、3月31日の期限の日にもかかわらず、結論どころか委員会自体開かれなかった。
もとはと言えば自民党の度重なる政治とカネの不祥事から始まった議論にどのように決着をつけるのか。また、年金制度改革法案は未だ、国会に提出されていない。
選択的夫婦別姓に至っては、自民党内協議は平行線のままだ。

4月1日、総理就任から半年を向かる石破総理。この先も薄氷を踏む日々を送ることになるのは間違いない。

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