『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    子どものいない夫婦、持ち家をどうする?

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    子どものいない夫婦、持ち家をどうする?

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2024」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

★メールまとめ
子どものいない夫婦です。持ち家の早めの売却もありかなと思いますが、他に選択肢は?

★メール本文
私は平日は某電機メーカーに勤める会社員です。土曜は知的障がい者の外出支援のボランティアをしているのでいつも支度をしながら聞いてます。家は持ち家で40坪ほど築30年。ローンはありません。夫婦二人共働きで子供なし。相続する子供もいないので年と共に身軽にしておくほうがいいかとも思いそれなら早めに売却して賃貸の方がいいのかとも考えています。どんな選択肢があるでしょうか?

(青梅市 スイーツ大好きひろ (57歳女性))さん

売却はお勧めしません
最近、確かにこうやってお二人で家を持っているという方、増えてきていますね。子どもがいない、という方も。だから、こういう話は案外、一般的なことなのかもしれません。でも40坪の持ち家っていうと、なかなかのもの。築30年といえば、実際にはまだまだ住めます。売られることもお考えになっているようですが、あまりお勧めしないです。いま、まとまったお金が必要なご事情があれば別ですけど、そうでないのであれば…。
売却も選択肢ということは、ほかに動かれるのが前提ですよね。それならば売る前に、10年ぐらい貸して、そうしたらJTIでも1千万くらい家賃がとれますし、そこから売っても同じだと思います。10年たってもまだ67歳ですもんね。そこまでに、まずは家賃で…「まだ住める」というところをお金に換えられて、家に稼いでもらって、それから売られるのがいいと思います。そのあと、まだ20年くらいは平気で生きちゃう時代ですから。やっぱり、土地は大事な財産です。60歳ぐらいの日本人の平均的な財産は、株とかそんなもんより、ほぼ半分は自宅なんです。さしあたりの必要がないんだったら、急にはお金に換えず、持っておられたほうがいいかもしれません。それから先週ゲストにお迎えした湯山重行さんの60ハウスじゃないですけど、いい感じの、おしゃれな家に建て替えられてもいいかもしれません。それに、売却しても、そんなびっくりするような金額が手元に残るわけでもありません。たとえば4、5千万あっても、ちょっと使いだすとあっという間になくなっていくんですよね。仮に4千万で売れたとするじゃないですか。その4千万を預けて、月にいくら儲かるだろうと考えてみますよね。3%で回ったって、120万か。20%税金払って100万でしょ。月々で割っても、たいした金額にはなりません。それに、売ったら家はなくなっちゃう。だったら、貸して家賃10万くらい取れる、という方がいいのでは…。案外、家というのはたいしたものではある、ということだと思います。

日本に存在しない「住宅金融政策」
最近、住宅金融政策っていう言葉を作りました。これは誰もやってないんです。国交省は住宅政策はやってます。そして金融庁は金融政策やってるけど、住宅金融の政策ってないんですよ。たとえばですけどね、こういう方が家をスワップして…交換して、次のちゃんと安心した施設に移れてお金はいらないとかね、そういうことをシステムとして確立するといいのではないでしょうか。空き家も作らないし。ものすごくお金がかかるかというと、たいしてかからないわけですよね。元手がある人たちなので。なんか、もう少し知恵を使ってもいいと思うんです。金融庁の人や銀行の人は、住宅ローンって難しいものだと思ってないので、「住宅ローンのことなんですけど」「え? 住宅ローン?」って片付けられちゃって「もっとベンチャーにお金を」みたいなことばっかりやってるじゃないですか。一方、住宅政策の人は、金融が全然わかんないトンカチな人たちだから、この問題は、ポンテヒットのようにハザマに落ちちゃうんです。こういう、ご相談いただいた方にも「こんなのありますよ」「こんなのありますよ」って選択肢を言ってあげたいなと思って、そういうことを言い出してます。まあ、それはいずれにしても先々の話なので、とりあえずはぜひ一度JTIにご相談いただければと思います。

今日は「持ち家の早めの売却」について考えてみました。

メールをお寄せいただき、ありがとうございます。

大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』『生きづらい時代のキャリアデザインの教科書』など。

家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください

お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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土 6:25~6:50

楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…

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