『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    泉麻人さんを迎えて

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    泉麻人さんを迎えて

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2024」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

今回は特別編。コラムニスト、泉麻人さんをゲストにお迎えした、2024年10月5日放送のダイジェストをご紹介します!

<泉麻人さん プロフィール>
1956(昭和31)年、東京生れ。慶応義塾大学商学部卒業後、東京ニュース通信社で「週刊TVガイド」「ビデオコレクション」の編集者を経てフリーに。東京や昭和、サブカルチャー、街歩き、バス旅などをテーマにしたエッセイを発表する一方、気象予報士の資格も取得。著書に『大東京23区散歩』『カラー版 東京いい道、しぶい道』『東京いつもの喫茶店』『大東京のらりくらいバス遊覧』など多数。

地図好きから始まった
鈴木 サブカルチャーから天気予報まで、気象予報士でもいらっしゃる、守備範囲の広い泉麻人さんですが、きょうは散歩のオーソリティとしてお迎えいたしました。散歩関連の著書もいろいろあって、「大東京23区…」すごいですねえ。

泉 東京ってついてる本がけっこう多いんで。

大垣 ご自身で散歩されるんですか。

泉 そうです。けっこうちっちゃい頃から散歩が趣味っていうのも…なんか老成してる(笑)。地図が好きだったんで、地図で知ったところを歩いてみたい、というところかな。

残間 泉さんを見てると、ホントの東京の人って感じがする。昔っからいる東京の人ってこういうの人感じだよね。あんまりはしゃいだりしないし。

大垣 確かに。田舎者がはしゃぐ(笑)。

残間 私たち田舎者だからね(笑)。上京組がはしゃぐのよ。

大垣 そう、そう、そう(笑)。ハイな感じ、あるよね。

鈴木 散歩していて楽しいのは、どんなことですか?

泉 やっぱり古い建物が割と好きなので。うれしいのはね、やっぱり昔の町名表示板みたいのを見つけたときとか。

残間 いまみんな「何丁目」になったけど、昔は「何々町」。西麻布だって笄町(こうがいちょう)とかいろいろあって。

泉 昔の、和服の時代の「笄」。

残間 坂道も面白いけどね。

泉 坂道も。あと、意外と古い町名は電信柱にあって。東電の配電盤が細かく分けなきゃいけなくて、昔の町名が採用されてたりするんです。

残間 今も?

泉 今もそうです。

残間 京都は古いけどね。もともと…

大垣 でも面白くないですよ、タテとヨコだから。

残間 そうか。

泉 でも京都は…僕は再来週ぐらいに仕事で行くんですけど。あすこはさっきの町名表示板で言うと、仁丹のマークが入った戦前の町名表示板が。横道とか入ると残ってますよね。軍人のマークを入れた。

大垣 オロナミンか仁丹か。

ドイツ人は散歩好き
大垣 ドイツ人もよく散歩しますよね。むちゃくちゃします。彼らはたぶん…なんだろう。散歩することが一日の中に…。日常に散歩が入ってる気がする。

泉 フランス人は嫌いなんですか?

大垣 フランス人はしないと思う(笑)。

泉 それは興味深い(笑)。なぜドイツ人なのかって(笑)。

大垣 ドイツ人は森を歩くのが好き。歩きながら考えるんですよね。

残間 泉さんは考えるの?

泉 考えるかなあ。わかんないですねえ。でも散歩っていうと一人ですよね。大人数でいくとただダベってるだけ(笑)。

大垣 私はほとんど散歩と同じスピードで走るじゃないですか。そうすると思いつくことがけっこうある。ずーっと考えてる。

泉 むしろ…僕もたまにジムに行きますけど、ウォーキングのベルト、あっちのときのほうが思考する、考えるかもしれない。散歩のときより。

大垣 刺激がないから、ほかのこと考えたくなるのかなあ。

残間 外はいろんなものが見えるからねえ。

クラスメートの石破くん
大垣 目的をもって歩かれるんですか?

泉 目的はねえ…取材でエッセイ書くときは。ただ行く場所から横道にずれてって、関係ないところに行く感じのほうが楽しいですね。

残間 でも何時までに終わらせようとか、そういうのはないの?

泉 こういう仕事の合間に(笑)ちょっと横を歩いてみよう、みたいな時もありますね。

残間 そうすると天気も関係あるから気象予報士?

泉 気象予報士をとったのは、物理系じゃなく、地図系からの興味なんです。天気図を見るのが好きだった。とったのはもう20年くらい前なんだけど。あの試験は物理が出来ないと駄目なんです。だから単語カードでボイル・シャルルの法則とか…(笑)。

残間 数学とか関係ありそうだもんね。

泉 うちの父親が、高校の数学の教師だから(笑)。

残間 だから石破総理が、同級生は泉麻人さんで、泉さんのお父さんが数学を教えてたって、自伝に書いてあったもんね。

泉 石破さんは、高校2年のときおんなじクラスで。

大垣 あの当時から、アンパンマンみたいだったんですか?

泉 いやいや(笑)。昔のアルバムなんか見ると、今の顔の感じをすごく細くした…。

残間 やせてたよね。鳥取の人も、昔は美男子だったって言ってたよ。

泉 詩人みたいな。松本隆さんのような感じ…。ムード的には。

残間 キャンディーズ大好きだからね。キャンディーズの歌は全部3番までそらんじてるって言ってたからね。

鈴木 ミキちゃんが好きだって。

泉 奥様もミキちゃんタイプでしたね。

大垣 きれいな方ですよね。

残間 泉さんと同じ年に見えないよね。

泉 でも政界に入るとそうなってかなくちゃダメなんじゃないですか。

大垣 アゴが細いとね、人がついてこないって言う。

残間 女の人も政界に入ると、急に変わるけどね。独特の風情にね。でも泉さんて面白いなと思って、散歩好きかと思うと、総理の同級生でしたとか…(笑)。

「散歩の第一人者」って…!?
鈴木 引き続き、街歩きの達人、散歩の第一人者、泉麻人さんにお話を伺います。

残間 散歩の第一人者って…。

泉 誰が決めたんだ(笑)。

大垣 だんだん年取ってくると、こういう散歩もありますけど、ただ体力維持の散歩っていうのも…言われますよね、ウォーキングって言うんでしたっけ。

残間 でも、ただ憮然として歩いててもダメなんだってよ。脳の活性化には…。楽しそうに歩いてる人がいいんだって。

大垣 そうかもしれないねえ。なんか楽しくないとね。楽しさって、東京だとやっぱり何があるって言うのが刺激になるんですかね。

泉 東京は、やっぱり地形の起伏がね…割とあるので。だから下町と山の手のいわゆる間、一番都心部のところだと谷中のあたりとか…。

大垣 あのへんはいいですよね。

残間 東京都内はほとんど歩いた?

泉 どうかな…どこまでが東京かわかんないけど、各「町」レベルでは歩いてる。

大垣 七福神って意外とたくさんあるんですよね。東京の中に。あれ最近、ぐるっと回ると何かくれるんですよね。

泉 そうなんですか。最近回ってないんだけど。朱印をずーっと集めてる人がいますね。ただまあ。江戸から由緒あるのは向島とあと二つ、三つぐらいのはずです。その後、この2,30年ぐらいで一種の町おこしで、無理やり七福神コース作ったようなところもありますからね。

東京はすぐ電車に乗れる
残間 いちばん長くてどれくらい歩くんですか? 朝から晩まで?

泉 いや、朝から晩までは歩かない(笑)。それは…そんなには歩きません。

残間 だって、東海道とか歩く人って、ずっと歩いてるじゃない。

大垣 それはそうだけど、それが日常だったら変じゃん。

泉 東京だと、なんだかんだですぐ電車に乗れちゃうんでね。地方に行って…路線バスが好きなんですけど、バスが来なくて次の中継地まで行くと、これは10㎞近く歩いちゃうこともあります。

残間 なんで聞いたかっていうと、途中でご飯食べたりね。おいしいお店に入ったりするのかなって。

泉 それはけっこう楽しみの一つにしてます。古い個人喫茶ね。昔からやってるような。

残間 昭和のナポリタンがあるようなね。

泉 その手の所で一休みする。

大垣 ああ、いいなあ…。

残間 泉さんの家族は、散歩好きじゃないんですか?

泉 あんまり…(笑)。一人でそういう風に歩く人はいないかなあ。

大垣 東京でそんなに歩いてる人います? 走ってる人はよくいるけど。

残間 体を鍛えるために歩いてる人は見かけるけどね。お堀の回りとかね。

大垣 そうそう。なんて言うんでしょうね、散歩する人のこと。サンポイヤー? サンポイスト…?

泉 昔、文学でそういうのを書いた人の最初が、永井荷風だって言われてるけどね。趣味で歩いて、それを文章にしたっていう。街歩きして、それ自体が文学になった最初。

「散歩着」が流行るかも!?
残間 作家も男の人は、散歩、いい感じするよね。和服着て、鎌倉とか歩いてると風情あるけど。でも女の散歩人っていないね。

泉 女の方は…最近は違うかもしれないけど、しばらく危なっかしいっていうのあったんじゃないですかね、一人では。

残間 それと女の人は、目的的じゃないと歩かないよね、買い物に行くとか。ただ歩くっていうのはあまりしないと思う。何かのためになることじゃないと。

大垣 走るときはウエアがあるけど、散歩のときは着流しとか…。

残間 泉さんは普段着で行くの?

泉 だいたい普段着だし…何かやっぱり仕事の合間みたいな感じが多いので。わざわざ散歩の恰好っていうのはないけども。

残間 「散歩着(さんぽぎ)」っていうのはないの?

泉 まあ、スニーカー…永井荷風なんか随筆のタイトルも「日和下駄」。でも今は下駄は疲れるから、向いてない。スニーカーですよね。

大垣 意外と、まだ見つかってない流行りなのかも。「散歩着」とか。そのうちコーナーができたり…

残間 みんな普段着で行くんじゃない? 寝間着とよそ行きしかない昔は、わかんないけど。カジュアルウエアが出てきたら、みんな散歩はそっちで行くでしょう。作家は着物で行くみたいな…

大垣 カテゴリーとして「散歩」は確立されていない感じがする。

泉 最近の散歩着っていうと、パーカーが。いますごくね、数も増えましたよね。昔はヨットパーカーしかないけどさ(笑)。最近はあまり…パーカー。

大垣 最近はパーカーして、ちょっとうつむいて顔見えないようにして、ちょっと傾いて歩くって感じですよね。

残間 悪い人みたい(笑)。

大垣 だんだん走れなくなるとどっかで散歩に移行してしまいそうな気がします。単に何もしないか、ジムでぐるぐる回るかにならずに。それが一つのスタイルになれば。

お勧めの散歩スポットは
残間 知ってる人のお父さん、100歳近かったけど、散歩好きで。でもやっぱりね。散歩じゃなくて徘徊と間違えられて、何度も連れてこられたって怒ってたけど。あんまり年取って茫然と歩いてると、そういう風に思われるんじゃない? 年間何万人も行方不明になってるんだから。男の人一人だと難しいよね。

泉 ぼくなんかは表札とか、昔の住所とか…キョロキョロしてるから、そういう(笑)。私道みたいなところに入り込んでたり、しますからね。

大垣 東京はまだまだ、ものすごく細い路地がありますよね。

泉 大森なんかはけっこう、昔のがけ地のお屋敷の裏に、そういうところがある。

残間 お勧めのところはありますか? またみんな来週行ったりして…。

泉 そうですね、人気はありますけど、根津、谷中のあたりはお寺がいっぱいあって、坂と谷の起伏がある。古い町並みと自然の両方が楽しめるので。

残間 お墓巡りが趣味という女の人の噺を聴いたら、谷中あたり、いろんな有名な人のお墓に行って、こういうところに葬られてるんだなと、拝んで帰ってくるんだって。お墓ばっかりいってる人も、けっこう不審だよね。

泉 永井荷風なんかも、尊敬する文人の墓巡りをしてる。最近はスマホのマップで有名人のお墓がすぐ出てきます。墓地が出してるじゃない、だれだれの墓はここ、って。そういう情報まで入れ込んでるんで、すぐわかるんです。(「東京都35区区分地図帳」を取り出して)これは80年代半ばに復刻で出た地図なんですけど。終戦直後に出た35区、空襲で焼けた地帯が赤く表示されている。これをよりどころに…古い建物が消失区域じゃなければ「これは残ってる」「戦前だ」。その裏付けみたいなことで。

残間 そういうの、持って歩いてたら泉さん、カッコイイよね。

大垣 こんど京都に行かれるんですか?

泉 京都の府立医大の図書館で、バス旅と散歩みたいなテーマのお話をします。京都は地名が面白いし。バス停も…左京区の上の方とか、好きなんです。杓子屋(しゃくしや
)のとか「トジャク」と書いて杜若(かきつばた)とか。

大垣 僕の親友が杜若くんっていって。家がそのあたり、京都の北の方で、バスで3時間ぐらいかかる。ホントに杜若が咲いてるんです。もともとは山賊の一族で…。お父さんも山賊みたいな怖い顔だけど名前が「カオル」っていうんです(笑)。

泉 杜若って苗字も割とあるんですか?

大垣 そこの出身の方だけが「杜若」なんですけど。

残間 京都ってそういうのがあるんだね。

泉 けっこうね、調べ甲斐がありますよね。

大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』『生きづらい時代のキャリアデザインの教科書』など。

家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください

お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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