菅内閣が打ち出した今年の骨太方針「経済安保」から吉崎達彦氏が今後を予測~6月22日「くにまるジャパン極」
6月22日放送の「くにまるジャパン極」(文化放送)で双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦氏は、6月18日に菅内閣が打ち出した新たな骨太指針「経済安全保障(経済安保)」について現場が戸惑うといった話があちこちで起こっていると語りました。
吉崎達彦氏「これからは反グローバル的になる」と予測
吉崎氏は6月18日に菅内閣が打ち出した新たな骨太指針「経済安全保障(経済安保)」について今、日本の企業の中で経済安保の担当セクションが立ち上がり、急遽担当者となった社員が「え、何をすればいいんですか?」と戸惑いの声があちこちで起こっていると紹介。
そもそも経済安保とは?一体何のためにそんなことをするのだろうか?
吉崎氏は2019年の7月に日本の半導体材料を韓国向けに輸出規制を行ったという問題があったが、それが典型で、国益のために経済を使って相手に言うことを聞かせるという「エコノミック・ステイツクラフト(ES)」が今でいう経済安保を意味しているという。
この動きがどこから始まっているかというと、2018年の夏にアメリカが法律改正をして、ペンタゴンの年間予算の法案に「中国を念頭に置いた投資規制」や「輸出規制」などを盛り込んだものだという。
さらにその発端となったのは中国の「軍民融合政策」に根源があると吉崎氏は言う。
中国の軍需産業は国有企業なので生産性が高くはない。そこで民間と国の垣根を低くした。その結果、ファーウェイやアップルなどの様々なデータが中国に流出している問題が、今回の流れの要因になっているということと考えている。
吉崎氏は「経済安保のために大事なことは2つあり、1つは「戦略的自立性の確保」。
エネルギーや通信や金融などは他の国に依存出来ないから国内で自立させましょうという考え。
もうひとつは「不可欠性の強化・もしくは獲得」。
半導体製造装置や電子材料のような、他国が欲しがるハイテク技術を強化して持っておく、維持する、あるいはもっと作っていくというもの。
だが、同時にその実現は容易ではなく、例えば政府が民間を助けているうちに民間の競争力が落ちるのではないか、など問題は山積みであるようだ。
かつてはグローバル化万歳!という風潮が一般的だったが、これからの時代は「貴重な物は外には出さない」「何とかして自国で他国と同じ物を作れ」といった反グローバル的な動きが強くなっていくのでは?と吉崎氏は予測している。
「くにまるジャパン極」は平日朝9~13時、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。吉崎達彦氏はコメンテーターとして毎週火曜に登場。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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