『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    家はいま買う? それとも待つ?

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    家はいま買う? それとも待つ?

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2024」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

★メールまとめ
家の高騰がすごい。いま買うべき? それとも少し待った方が?

★メール本文
結婚して、子供が生まれたので、家を探しています。
一戸建て、出来れば新築、首都圏の徒歩圏でって、考えているのですが、今、本当に高いですよね。不動産屋に聞いたら、金利が上がると少しは落ち着くかもとのこと。でも、それも困る。
調べたら、30年前、バブル崩壊の時には慌てて買った方は大変なことになったようですね。今は、買い時?、待ったほうが良い?どちらでしょう。

(千葉市中央区 ゆういち (32歳))さん

戸建てよりマンションが高い時代
まず、いちばん面白いのは、昔は戸建てを買えない人がマンションを買ってたんですけど、最近はマンションが高くなりすぎて、マンションを買えないから戸建て、という不思議なことが起きてきています。そうはいっても、ゆういちさんがお住まいなのは千葉だから、家は高いと思います。昔、20年前にだいたい住宅ローンの額が、平均で2500万ぐらいだったんですね。いまはもう、倍まではいかないけど、4000万ぐらい借りないと、ごくささやかな家でも、手に入らない時代です。いま分譲だと、建坪が100㎡切るお家が普通になってきています。

バブル時代との違いは
バブルの時は土地が高かった。土地がバカみたいに高くなって買えなかったんです。ところがいまは、土地も上がってはいますけど、バブルの時みたいに倍々になってるわけじゃないですね。何が違うかって、上物(うわもの)です、建物が上がっているんです。だいたい2割とか3割とか。円安になりましたでしょう、資材をほとんど輸入に頼ってますから、それだけでも高くなります。それから労賃も高くなっているということがあります。さらに、金利もこれから、下がるということは基本的に考えにくく、どんどん上がっていくので。
何が言いたいかというと、土地バブルだと下がることがあるんですけど、建物の値段っていうのは下がらない。たぶん5年から10年前ぐらいに比べると500万から1千万ぐらい上がってしまって、もう、ちょっと庶民には手が届かない時代になってきているんです。

「50年ローン」は大丈夫なのか
30歳の方に申し上げたいのは、これ何が起こるかっていうと、返済期間がどんどん伸びていくんです。40年ローンとか、京葉銀行などは50年ローン始めました。30歳で借りたら80歳。でも子どもができて盛り上がってる ゆういちさんはあんまり50年先のことは考えずに買えるので、買ってしまうんですね。そうすると、案外、月の支払額は8万とか、9万で済むので「借りるより安いね」って言って買っちゃうんです。でも50年後は…ゆういちさんは大丈夫だと思いますけど、大丈夫じゃない人もいますよね。それで、あの…残価ローンていうのを考えてます。でも残念ながら使えるところが少ないんですけど。

これからは「残価ローン」の時代
でもおそらく、家の値段が下がるより、残価ローンが普及する方が早いと思います。この9月からは、仙台の北洲ハウジングという中堅の会社でも、できるようになってきました。そしてもう一つは、いま借りなくても、いつでも残価ローンに借り代えられる権利を、付けられるようになったんです。そして、北洲ハウジングは、売る家全部にその権利をつけるやり方を、初めて採用してくれました。

家の値段はもう下がらないので
若くてイケイケのときは安い方がいいや、みたいな感じで借りちゃうんですけど、よく考えてみたら80歳まで返し続けなければならない。そうすると退職のころには返すのがつらくなります。その手前で残価に借り換えちゃえば、ぎゅっと、返済が抑えられます。もう、そういうのをつけないと…とりあえず買えることは買えますが、あとが大変、という感じになってきています。ですから、待つとか待たないということで言えば、もう、あまり下がらないと思います。でも、その分、「残価ローン」を利用することで、買い方が賢くなってくると思うので。そのあたりにも少し、目を向けていただいたらいいのかな、と思います。

今日は「家を買うタイミング」について考えてみました。

メールをお寄せいただき、ありがとうございます。

大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』『生きづらい時代のキャリアデザインの教科書』など。

家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください

お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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