
「かなりやばい 予算は不透明、石破総理はがけっぷち」
文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)
その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。
文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。
石破総理の10万円商品券問題について14日、政府関係者に状況を聞いたところ、
「かなりやばい」と語り、足早に立ち去った。永田町では、石破総理はいつまで持つのかという話題で持ちきりだ。
12日に参議院の西田昌司氏が党の議員総会で「参院選は今のままでは戦えない。新しいリーダーを選ぶべき」と石破おろしをぶち上げた。この時点では夏に改選を迎える議員や旧安倍派を中心に参議院内で広がっていた危機感だったが、商品券問題発覚により衆議院に飛び火した。衆議院では企業団体献金の扱いについて3月末に結論を出すことになっているが、こちらの審議にも影響を与えるのは必至だ。
石破総理とは鉄道オタク仲間で長年、交流のある日本維新の会の前原誠司共同代表は14日の記者会見で「最もお金の問題に遠い方だと思っていたのに」と驚きを隠せなかった。旧石破派の側近だった議員も、いわゆる「モチ代」「氷代」を一度ももらったことがない。金にはクリーンだったし、それほどお金もなかったと明かした。非主流派時代、党内野党と呼ばれていた時代の懐事情は厳しく、一点、総理総裁になったら私費で約180万円をポンと出せるほど財布が潤ったということなのか。
14日の参議院予算委員会で石破総理は、プライベートな会合と強調した上でお土産のほかに参加者に供した飲食費について「一人あたり1万5000円。なるべく費用が掛からないように選定した」と答弁。物価高に苦しむ国民からは「今やコンビニ弁当でも高くてなかなか手が出ない」「ワンコインで昼飯は食べられない」という声が相次いでいる中、なるべく費用がかからないよう1万5000円という金銭感覚について、連立を組む公明党からも「庶民感覚とずれている」と厳しい声が飛んだ。
金にはクリーンだったはずの石破総理はなぜ、こんなことをしでかしたのか・・・
自民党に所属していたことがある議員は「1年生議員を招いて会合し、その際にお土産を渡すのは歴代総理がやってきたことだ。それを踏襲したんだろう」と述べた。数十年前の話だが、お土産はお仕立券や現金ということもあったという。
非主流派時代が長く永田町の作法にうとい石破総理は、前例にならっただけなのだろうが、世間の風、国民感情にもうとかったと言わざるを得ない。
国会では現在、参議院で2025年度予算案が審議されている。
予算を成立させるには参議院で修正議決した後、衆議院に戻し再議決する必要があり、日程的に年度内成立は極めて厳しい状況になっている。それどころか、予算案が衆議院に戻った時に否決される可能性もある。衆議院通過に際し、日本維新の会の前原共同代表が「賛否について再度検討する」との考えを示したからだ。予算が否決されれば政権が持たない事態に追い込まれるのは確実で、自民党内からは「予算成立と引き換えに、総理退任の事態もありえる」という声も上がっている。
かつて石破総理はテレビ番組に出演した際、裏金事件を受けた岸田総理(当時)の責任の取り方について、「予算が通ったらやめるというのはありだ」と語っていた。
違法性はないとして辞任の考えを否定しているが、いつまでもつか時間の問題だという声も上がっている。
野党側は石破総理への攻勢を強める構えで、立憲民主党の野田代表は16日、内閣不信任決議案について「いつでも可能性がでてきた」と強調した。少数与党の衆議院で野党がまとまれば不信任決議案は可決する。その場合、石破総理は内閣総辞職か解散のどちらかを選ばなければならないが、解散すれば今より議席を減らす可能性があり、総辞職しか選択肢はないのが実情だ。自民党内では早ければ4月総裁選という声も出始めた。
一方、野党としては、総辞職で自民党の顔が変わるよりも石破総理のまま参議院選挙を戦った方が有利という考えも根強く、立憲民主党関係者は「不信任案のカードは当面、温存することになるだろう」と指摘した。永田町の春、政局は視界不良が続きそうだ。