
日本に成長産業をつくるためにイノベーターを育てよう
大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日13時~15時30分)、3月12日の放送に思想家の内田樹が出演。戦史・研究家の山崎雅弘との対談本『動乱期を生きる』(現在販売中)について語った。
大竹まこと「御本(『動乱期を生きる』)で気になるところがあります。“地に落ちた日本の民主主義”というところ。ここで内田さんは“もう日本には成長産業がないんですよ。兵器産業は資本主義の最後の砦なんです。市場が興亜することがないから”とおっしゃっています。どういうことですか?」
内田樹「兵器ってほかの商品と全然質が違う。兵器の主務はほかの兵器を壊すことなんです。兵器市場って投入すればするほど兵器が壊れていく。どんどん需要が増していく。普通は供給過剰で終わるはずなんですけど、供給過剰になると世界中で戦争が起きてどんどん兵器が破壊されていく。自動車は投入してある程度までいったら『もういらないよ』となるけど、兵器の場合はどんどん消耗していって……」
大竹「どこかの国がほしがる、やられた国が、という」
内田「そうです。資本主義的にいうと兵器って理想のマーケットなんです。飛行機だって1台何百億とするのがドーンといったらヒュー、と落っこちて」
大竹「日本がいま軍拡、というか」
内田「そちらに行きたがっています。軍拡といわないまでも軍事産業にシフトしているのは間違いない」
大竹「この章の冒頭でおっしゃっているとおり日本にはほかの成長産業がないと。AIは……?」
内田「AIはもう中国やアメリカの遥か後塵を拝しています。背中も見えない。EVだって日本の自動車メーカーは本当にすごく能力が高いわけで、やろうと思えばやれたはずです。どこで間違えたんでしょう」
大竹「GAFAは日本には……」
内田「ひとつもない。できかけたんですけどね。全部つぶしていってしまった」
大竹「どうしてそっちのほうにいけなかったんですか。コンピューターが発達して、iPhone、スマホがこれだけできて」
内田「iPhoneができたときからがんばったんじゃ、もう手遅れ。iPhoneで勝負が決まってしまった。あれでAppleが市場をほぼ独占したわけですから」
大竹「成長産業がないというのも、この国がずっと、この何十年間の中で、古い企業を守ってきた、ということもありますね」
内田「雇用を守るという点があるし、それによって周りの産業がくっついている。これをゾンビ、といって切り捨てたら何百人もが失業する。古い産業を守るのは社会福祉政策として仕方ないんですけど、問題はやはりイノベーターを育てなかった、ということです」
大竹「変わっていく、新しいものをつくりだしていく」
内田「一定のパーセンテージで天才っているわけです。どの国でも変わらない。日本にだってイノベーターになるような人が絶対にいる。早く発見して『金はどんどん出すから好きにやれ』と。こういうのって千三つなんですよ。ほとんどがスカ。でも千に三つ当たったら、それが一気に成長産業になる。そういう育て方をしていないんですね」
「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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