『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 中古住宅のホーム・インスペクション、信頼できる? 調査内容や背景を詳しく解説(おとなライフ・アカデミーWEB)

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 中古住宅のホーム・インスペクション、信頼できる? 調査内容や背景を詳しく解説(おとなライフ・アカデミーWEB)

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今を楽しく生きるおとな世代のための情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」。
残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、暮らしにまつわる様々な事柄を語り合います。

この連載では、人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2021」で話した内容をもとに大垣さんが執筆した、ここだけのエッセイを掲載中。
ラジオと合わせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。

2021年4月10日の放送は、リスナーメールをご紹介。中古住宅の情報を集める中、ホーム・インスペクションに興味が出てきた「海賊オヤジ」さん。中古物件の目視による調査、信頼してもいいの? と疑問ですが・・・。

●インスペクションって、信用できるの?

今回の放送では、「ホーム・インスペクション」についての質問をリスナーの方からいただきました。

中古住宅の情報をチェックしていると、インスペクションとか、ホームインスペクションといった言葉をよく耳にします。主に目視で住宅の状態をチェックすることなんだそうですけど、あてになるのでしょうか。そういうものを信用して買った場合、万一不具合が見つかったら、誰か責任とってくれるんでしょうか。
海賊オヤジさん(浦安市・40代)

●買い手の付きづらい中古住宅市場を活性化させる

近頃、ホーム・インスペクションという言葉をよく耳にするようになってきましたね。住宅の劣化や不具合について調査を行うことをインスペクションと呼ぶのですが、最近特に注目されているのが、中古住宅(既存住宅)のインスペクションです。

中古住宅ってもともと、売り出されても買い手が付きづらいんです。なぜかというと、まさに海賊オヤジさんが心配しているように、不具合のある家なのかどうかが素人には分からないから。

インスペクションを行い、中古住宅を安心して購入できるようにすることで、中古住宅市場を活性化させる狙いがあるわけですね。

●国土交通省が推奨する「安心R住宅」とは

海賊オヤジさんはもしかすると、情報を集める中で「安心R住宅」という言葉を耳にされているかもしれません。

これは、国土交通省が推進している中古住宅の認定制度です。2017年から始まった比較的新しい制度なのですが、認定を受けるためには、家のインスペクションを行う必要があるんです。

インスペクションが注目されているのがよく分かりますね。

●インスペクションはしたほうがいい! 大垣さんがそう考える理由は?

さて、ご質問にあったのはインスペクションは信頼できるのかということでしたが・・・。

結論からいえば、中古住宅を買うなら実施しておいたほうがいい、と私は思っています。

インスペクションで見る項目って、それなりに詳しいんです。例えば安心R住宅認定の際は、以下のような調査を行います。

・耐震性
・既存住宅売買瑕疵保険の検査基準への適合
・リフォーム工事の実施状況
・建築時の情報
・維持保全の状況に関する情報
・保険や保証に関する情報
・省エネルギーに関する情報

私が代表理事を務めている移住・住みかえ支援機構では、一軒家を賃貸に出す前の調査にも携わっているんですね。
そうすると、少なくない頻度で問題が出てきます。たとえば有害な化学物質が出てきたりだとか、耐震に不具合があったりだとかですね。そういうのはやっぱり、素人がパッと見ても分からないことも多いんです。

「気に入ったから」と勢いで買ってしまう前に、一度調査を行って、本当に買っても後悔しないか確認をすることは重要だと思います。今は業者さんも増えてきて、簡単に調査もできますし、費用も10万円を超えることはほとんどありませんからね。

●「既存住宅売買瑕疵保険」って何? 中古住宅をより安心して購入できる保険

しかし、インスペクションを行なったとしても、購入後に不具合が見つかる可能性はゼロにはなりません。

そこで重要になるのが、「既存住宅売買瑕疵保険」
瑕疵は難しい漢字ですが「本来あるべきものが備わっていない」という意味です。つまりこの保険は、インスペクション後に見つかった家の欠点に対応する際に、その費用をまかなうための保険なのです。

●2種類ある! 既存住宅売買瑕疵保険

この保険、大きく分けて2種類あります。

一つ目は、業者さんが利用するケース。もしも業者自身の調査に問題があった場合は、その対応について保険金を利用します。

二つ目は、個人が利用するケースです。これは例えば、個人間で土地を売り買いするような場合に使います。ちなみに、個人間の売買では、購入後に売主と連絡が付かないようなケースもあり、その際も、買主が直接、保険会社まで保険金を請求できます

●インスペクションと瑕疵保険のダブル使いで、安心して家を買う

瑕疵保険は、インスペクションと併せて利用することにより、より安心して中古物件を購入できるようになる優れた保険です。

ですが、いかんせん知られておらず、利用している人が非常に少ないんですよね・・・。認知度がもっと高まっていけば良いのですが。

よく「家と結婚は勢い」なんて言いますが(笑)、家に関しては、勢いだけで買ってしまわずに、事前にインスペクションをして、さらに瑕疵保険にも加入した上で、納得してから購入すれば、その後「こんなはずじゃなかった」と思うことは少なくなりそうです。

■お知らせ

「移住・住みかえ支援機構(JTI)」では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった家をJTIが借り上げ、入居者がいない空室時も毎月賃料をお支払い。
また、皆さまの大切な我が家をケアするパートナーとして、入居者トラブルにも責任を持って対応しています。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
カウンセリングやご相談は無料。資格を持ったスタッフが、皆さまの家についてしっかりとお話をうかがいます。
制度についての詳しい情報は、「移住・住みかえ支援機構(JTI)」のサイトをご覧ください。

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