
東日本大震災発生からもうすぐ14年。避難者を福島に帰還させるための政策は本当に行われているのか?
3月7日(金)、ニュースキャスター・長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・15時30分~17時)が放送。午後4時台「ニュースアップデート」のコーナーでは、発生から14年が経とうとしている東日本大震災・福島第一原発事故について、「国は本当に福島に帰還をさせるための政策を行っているのか?」というテーマで、調査報道記者・日野行介氏に話を伺った。
日野行介「福島原発事故の避難者政策。よく“福島復興”っていう言葉は聞くと思うんですけど、『福島復興なんだから、福島にどんどん人を集める、人を戻す』っていう政策だとみんな思いがちで。特に原発に批判的な人からは『帰還政策』っていう形で批判的に言われてきたんですね」
長野智子「はい」
日野「私も最初は『国は避難者を福島に帰還させたいのではないか』という趣旨で記事を1、2年書いたことがあるんですけども、いまはこれは『間違ったことを書いたな』って、ちょっと反省しているんですよね」
長野「どういうことですか?」
日野「政府は福島復興を叫んで、巨額の予算を投じて、2022年8月末で双葉町の特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されて、全町避難の自治体がなくなったんですけど。それまでずっと避難指示に対して避難者の人たちから『解除しないでくれ』っていう声が実はずっとあったわけです。汚染した地域にべつに帰りたくないから。で、(政府は)それに対して『帰りたい人はいるんだから』っていう決まり文句で、ずっと反対を押し切って避難指示の解除を続けてきたんですよね」
長野「はい」
日野「さらに自主避難者、避難指示の外の人には東京とか関東とかを中心に、みなし仮設住宅・借り上げ住宅を提供してきたんですけど、これも2017年3月で打ち切り。『避難者を帰らせようとしている』って考えても不思議じゃないんですけど、でもよく見てみると実は違う側面が浮かび上がってくるんですよね」
長野「おぉ〜、そうですか」
日野「きっかけは2013年末のことなんですよね。政府は、原子力災害から福島復興の加速のための復興加速化支援を閣議決定して、このあと帰還困難区域、要は(事故から)5年経っても(放射線の年間積算線量が)20ミリシーベルトを下回らない地域、もう帰れないとされている地域から避難している人たちが避難先で住宅を購入した場合の賠償金が上乗せされることになるんです」
長野「なるほど」
日野「『帰還困難区域なんだからしょうがないだろう』と。むしろ『政治の責任でよく決めた』って当時は評価する向きもあったんですよ。ところが1年ぐらいしてから賠償を数多く手がけている弁護士さんからこんな話を聞いたんですよ。『帰還困難区域だけじゃなくて避難指示解除準備区域とか居住制限区域、要は避難指示の解除が予定されているところからの避難者が、住宅を購入して上乗せがほとんど認められている』と。『フリーパスだ』と」
長野「えっ、これはどうして?」
日野「おかしな話なんですよね。高齢者が避難先で家を買えば次の住処ですよね。帰還しないですよね。避難指示の解除が予定されている地域の人々に対して避難先の移住を勧めているようなものなので『これは本当に(福島に)帰そうとしているのかな?』って思いますよね」
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長野智子アップデート
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