
ゼレンスキー大統領アメリカ訪問、安田菜津紀「現地の人はアイデンティティの間で揺れている」
アメリカのトランプ大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領が28日にアメリカを訪問し、ウクライナの鉱物資源を巡って、アメリカとの共同開発に関する合意文書に署名する見通しであると記者団に述べた。
野村邦丸アナウンサーがパーソナリティを務めるラジオ番組『くにまる食堂』(文化放送・月曜日~金曜日9〜13時)2月26日の放送は、このニュースを取り上げ、メディアNPO Dialogue for People副代表、フォトジャーナリストの安田菜津紀氏が解説した。
野村邦丸(パーソナリティ)「安田さん、このニュースいかがですか?」
安田菜津紀「私は危機感を持って、この動きを見てます。2022年2月に、国際法に反した軍事侵攻が始まって、私は5月と6月の2度に渡りウクライナを訪れています。その時に取材でつながった人たちとは頻繁に連絡を取り合っています。彼らには色々な葛藤があります。例えば、男性であれば一定の年齢に人たちは徴兵されるかもしれないので、国外に出られないという制限があります。戦況が厳しくなればなるほど、中には本人の意志に反して戦争に駆り出される人もいる。それを避けるために、国外に脱出される人もいます。現地の人たちは、身近な人たちが戦争に送られるのは嫌だ、ただ領土をロシアに一定程度持っていかれてしまうと自分たちのアイデンティティが削がれてしまうし、またいつロシアが進行してくるかも分からない。そうした気持ちを抱いている人がいると思います」
邦丸「トランプ大統領については、どう思われますか?」
安田「トランプ大統領は、ロシアのプーチン大統領に対して、譲歩的、賛同的な姿勢を見せています。どちらかというと、アメリカとロシアとの間で話をつけて、それをウクライナに吞ませているという構図が出来つつあると思います。もちろんどこかで戦争は終結させなければいけない。着地点を見出していかなければいけないのは確かなのですが、戦争を止めたいという思いと、アイデンティティの間で揺れている現地で生きる人たちの葛藤のようなものが、意思決定する人間たちに届いているのか?ということはこの間考えてきたことです」
また、このコーナーの最後に、国際法に背を向ける国々に対して安田氏はこうコメントした。
安田「色々な利害関係の中で国際社会は成り立っていますし、決してきれいごとではないと思うのですが、人間の知恵を絞ってこれを指標にしていきましょうねということで国際法が紡がれてきたわけで、それは絶対に忘れてはいけない、各国が恣意的に背を向けて、“俺が俺が”となっていくと、結局誰が傷つくのかと考えた時に、最も脆弱な立場にある市民が命を奪われ、生活を奪われ、尊厳を奪われていく。それは絶対に忘れてはいけないことだと思います」
「くにまる食堂」は平日朝9~13時、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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