「通常国会召集 違和感だらけの施政方針演説」
文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)
その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。
文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。
第217通常国会が幕を開け、天皇陛下を迎えての開会式に続いて、衆参両院では、石破総理大臣の施政方針演説が行われた。
石破総理の演説は、時間にして約41分間。最も時間を割いたのが看板政策である「地方創生2.0」だ。
地方創生への思いを14分程度の時間を割いて丁寧に説明したものの、石破総理が目指す「楽しい日本」の姿は全く思い浮かばず、「令和の日本列島改造」で、
一人一人の多様な幸福が実現できるとの主張も、総理自身が力を入れる防災についても、熱い言葉とはうらはらに、並べた政策は具体性にかける内容ばかり。
また演説の中で居心地の悪さを感じる言葉もあった。
「サステナブルでインディペンデントであること。すなわち持続可能で自立することを重視しなければなりません」や
「魅力ある職場づくりを進めるためにアンコンシャス・バイアス、すなわち無意識の思い込みの解消を図る・・・」という部分だ。
あえてカタカナ言葉を使う狙いがわからない。サステナブルはともかく、日本語の方がより、ストレートに思いが伝わるのではないだろうか。
違和感は演説内容だけではない。
演説の最中、野党席からはおなじみのヤジはいつもに比べてはるかに少なく、石破総理に対して送られた拍手は演説の最初と最後だけという始末。
通常国会初日にもかかわらず覇気のない国会の姿に先行きの不安さえ覚える。
野党は石破総理の演説をどのように評価したのか・・・野党各党の代表らはそろって「伝わらない楽しい日本」を酷評した。
立憲民主党の野田代表は、「言葉自体が空回り。メッセージが伝わらない。熱伝導がない」とした上で、石破総理の『楽しい日本』については
「楽しい日本と言って、暗い顔して語られても伝わらない」と批判。
日本維新の会の前原共同代表も、「『楽しい日本』と言われても、今の国民は不安を抱え、いくら総理が楽しい日本と言っても国民はそうはなれない」と述べたほか、
石破総理が力を込めた地方創生についても「これで本当に結果が出るのかという浮つき感が払しょくできない」。
共産党の田村智子委員長に至っては、石破総理の『楽しい日本』にかけて「なんの楽しみも、わくわく感も、面白みもない演説で、これはもう、自民党政治の行き詰まりの象徴だ」と断じた。
政府の演説に対する各党代表質問は月曜日から衆議院で始まり、一問一答の丁々発止のやり取りが行われる予算委員会は早ければ今月末からスタートする見通しだ。
石破政権が少数与党として迎えた初の通常国会。これから始まる本格審議は、国民に違和感ではなく、納得と共感をもたらすような熟議を求めたい。