パレスチナ自治区ガザでの停戦が発効。大変になるのはこれから?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、1月22日の放送に毎日新聞論説委員の小倉孝保が出演。19日にパレスチナ自治区ガザでの停戦が発効したことを受け、ガザの今後について解説した。
長野智子「これまでも『アップデート』で小倉さんにはガザの話を伺ってきました。まず停戦のニュースはどのように聴きました?」
小倉孝保「去年の末ごろからかな、いよいよ近いか、という感じで。早く停戦してくれないかな、と思っていました。結局やはり、トランプさんが登場(大統領就任)する直前になりましたね。トランプさんが自分の就任までには終わらせろよ、と言っていましたから。イスラエルのネタニヤフ首相もハマス側も聞かざるを得なかった。これから大変なことが起きるんですよ」
長野「本当ですね。よかった、と言い切れない。まだまだ不安がありますよね」
小倉「攻撃は止んだかもしれないけど、ガザ地域にある、がれきの量ですね。がれきの量だけでもピラミッド4つ分らしいです」
長野「住宅や道路の7割は空爆によって壊されてしまったと」
小倉「しかもそのがれきの下に遺体もあるんですよ。4万6000人以上が亡くなっている、とパレスチナ側が公式に発表しているけど、それ以上に亡くなっている人の数って多いんです。がれきの下にあるから、行方不明のかたちになっているわけです」
長野「はい」
小倉「そのがれきを重機でどけたらいい、というわけでもない。おそらくいろんな化学物質、アスベストやそういうものもたくさんあるんじゃないか、といわれている。このがれきひとつ処理するだけでも大変なエネルギーがかかる。第二次世界大戦後に欧州復興プラン、マーシャルプラン、というのを国際社会がつくりました。アメリカが中心になって」
長野「はい」
小倉「それぐらいのことをしないとガザはまともに、人間が暮らせる場所にならないんじゃないか、という話があるぐらいですから」
長野「復旧、再建に80年かかる試算も出ているということです。80年というのは誰が、どのように復旧にあたる、ということが前提としてあるんですか?」
小倉「そこが問題なんですよ。いま第一段階、停戦だけはしましたよ。第二段階についての話し合いは、停戦が発効してから19日目までに始める、となっている。いま第一段階の人質の解放、パレスチナ人の囚人の釈放みたいなことをしていますけど、これから都市部にいるイスラエル軍が若干引くとか、そのとき第二段階でどの程度引くのか。いちばん問題になってくるのは、イスラエル軍が引いたあとに治安を誰が維持するのか。それや自治体や政府といった統治機能を誰が持つのか。これまでハマスがやっていたわけです」
長野「はい」
小倉「ハマスを壊滅させると言って、ネタニヤフ首相は戦争を始めている。ハマスが統治するということは絶対に認めないはずなんです」
長野「パレスチナ自治政府はどうなんですか?」
小倉「可能性として残されているとすればそこだと思うんです。でもパレスチナ自治政府はヨルダン川西岸をいまコントロールしています。戻ってくるとすれば、ガザの人からすればおそらく、パレスチナ自治政府に対する不信感もあるし。もうひとついわれているのは、イスラエルの意を汲んで何かやるんじゃないか、と。そうするとパレスチナ自治政府側と、ガザの住民とのパレスチナの中での混乱や衝突、対立などが起きる可能性があるんです」
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長野智子アップデート
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ニュースキャスター長野智子が文化放送に帰ってきます。 女子大生ブームの火付け役となった伝説の番組「ミスDJ リクエストパレード」で放送の世界に飛び込み、フジテ…