【1月13日放送分 シネマログ】
上地 上地由真のワンダーユーマン!今週もよろしくお願いします。
今日は月に一度のお楽しみ、映画をフューチャーする回、題して「今月のシネマログ」
私、上地由真と東紗友美さん、そして荒木久文さんの「これはぜひ観てほしい!」と思うおすすめ作品をご紹介していきます。よろしくお願いします。
荒木・東 よろしくお願いします。
上地 おふたりは2024年、特に印象に残っている作品ってありますか?
東 いっぱい観てきたからね。今、特に印象に残ったのでパッと出たのは、やっぱり『侍タイムスリッパ―』この映画はすごかったね。もう池袋のシネマロサっていう映画館で1館で公開する予定だったけど、評判が呼ぶに呼んで、今300館以上に最終的に公開して、いろんな日本の賞レースに話題になったりですとかしましたね。
上地 新語流行語にも入りましたもんね。
東 そうそうそう。舞台挨拶の初日の司会をやったんですけど、スタンディングオベーション、初めて味わいました。私、舞台挨拶で。
上地 すごかったもん。
東 はい。あれ、印象に残った~。荒木さんは?
荒木 ぼくはね、最近公開の、それこそ報知映画賞の作品賞でもあった『正体』かな。
上地・東 ああ~!
荒木 まあ公開日が近いってこともあるので、まだね、ちょっとまとめきれてないのですが。2月には私が所属する「映画ペンクラブ」で“私のベスト3”というのを会員が集めるんですよ。そこでちょっときちんと発表しようと思っているので、まだ途中なんですけど、まとまりが出たらここでもプロの批評家たちはこういうのがいいと思っていますよ、みたいなことをレポートしようかなと思っています。
東 聞きたいですね。
上地 ね!私はなんとさゆみんとかぶっていました『侍タイムスリッパー』!
やっぱりインパクト強い。面白かった。熱量も伝わる作品でしたしね。
2025年もたくさん映画、観ていきたいですね。
上地 ここからは2025年もスタートしたばかりということで、1月公開作品に注目していきましょう!まずは映画ソムリエの東紗友美さんのおすすめ作品です。
東 はい。私がご紹介するのは1月17日から公開の『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』です。これ本当に面白かったです。完璧な世界観、完璧なアクション、何度も息が止まりそうになった没入エンタメでした。
香港では広東語映画として歴代ナンバー1を記録し社会現象にもなった作品です。
まずはあらすじからご紹介します。
舞台はかつて無数の黒社会が野望を燃やし覇権を争っていた1980年代の九龍城城砦。香港へ密入国したチャン・ロッグワンという、これ主人公ですね、彼が黒社会の掟に逆らったことで組織に追われます。そして運命に導かれるように九龍城砦に逃げ込みます
。そこで住民たちに受け入れられ絆を深めながら仲間と出会い、友情を育んでいきますが、やがて九龍城砦を巻き込んだ争いが激化する中、チャン・ロッグワンとその仲間たちは、それぞれの信念を胸に命を懸けた最後の戦いに挑むことになります・・・というお話なんですけども。
もうね、久々の熱い香港映画観たな~、っていう感じで。もう本当に体温が上がるような作品でした。でね、私、よくわからないんですけど、この映画の熱さに最後、エンディングでどこの要素に泣いているのかわかんないんですけど、最後 唯々泣いているみたいな感じになりましたね。アクションのすごさだけじゃなく、香港の歴史なしには語れない点でも、そのあたりの映画を思い出すような体感の作品。全然違うんですけど、情熱的な映画の体感といいますか、制作にトータル8年かかっているらしんですけど。
上地 えーっ!
東 すごいですよね(笑)そんな感じで非常に面白かったです。で、ここ!私がね、ぜひ観てほしいなと思ったんですけど、「九龍城砦」これ聞いたことあったんですけど、ここのセットがすごいんですよ。日本円で約10億円かけて作ったセット。製作費の6分の1をセットに充てたっていう作品。
上地 すごかったもん。
東 すごいよね!この映画の後に写真をいろいろ検索して見たら、全くそのまんま。もう残った場所で撮影したんじゃないかなっていうぐらいすごい再現度だなあと思ったんですけど。荒木さん、九龍城砦ってどんな場所だったんですか?
荒木 はい。九龍城砦というのは、「九つの龍」と書いて「城の砦」。
九龍というと、ちょっと年齢高い人は知っているかもしれませんけども、かつて香港に存在した映画が描いている、そのまんまの地域ですね。無計画な増築建築ばかりで一回出ると入れないと言われるような無国籍スラム街です。
東 え~!一回出ると入れない?
荒木 そうです。迷宮のようなどこの国にも属さない治外法権の地域ですね。
もう何でもありなんですね。警察も入れないし超ヤバいスラム街なんですよ。魔窟とも呼ばれていましたね。一説には東京ドームの半分ぐらいの大きさなんだけど、ここに5万人が暮らしていた、と。
上地 うわ、すごいなぁ・・・
荒木 すごい密集度ですね。私たちがまだ若い頃はまだ存在していて・・。たぶん日本人だとわかるのは、劇場用のアニメーションの『攻殻機動隊』、『ゴースト・イン・ザ・シェル』あの舞台モデルですよね。
東 えっ!そうなんですか?へえ~。
荒木 うん。ゲームでも『クーロンズゲート』という有名なゲームがありまして、もっと有名なのが『ブレードランナー』の舞台になったと言えば、だいたい雰囲気わかりますかね。
上地 あ~。
荒木 あのシトシト、シトシトそぼ降る雨の中にバラック建ての、ものすごいお店だとか住宅が何重にも重なって描いているというね。今回だから映画でもCGだったでしょうけども、10億もかけたということなので、上手く再現されていましたね。
東 そうですよね、すごかった。そういう無法地帯で犯罪もたくさん巻き起こった場所であると同時に、人間もさっきお話されていたようにたくさん住んでいたので、人と人の絆の話としてもこの映画はね、すごいんですよね。住人たちが団結したりですとか一緒に乗り越えようとしたりですとか、今のなかなか、そういう住居空間、普通のマンションとかタワマンとかじゃ起きないような・・
荒木 そうですよね。密度の濃い・・・
東 そう、密度の濃い人間関係の中でアクション、そして友情いろんなものが起きて、ドラマになっていて。アクションも『るろうに剣心』シリーズの谷垣健治さんが担当されているということで、そのへん日本人としても、おっ!と熱くなるみたいなところもあったり。
荒木 音楽もね、川井憲次さんがね。
東 あっ!そっか、そっか~!嬉しいな。
荒木 だから日本のね、田原俊彦さんだとかいろんなちょっと日本の単語がところどころ出ていましたね。
上地 あっ、出てきましたね。日本の音楽流れていましたしね。
荒木 東さんはなんでこの・・・香港カンフーアクションって全然イメージが違うんですけど、今までの傾向と。これ好きなんですか、カンフー?
東 やっぱりこういうジャンルいいですよね。ザ・映画というか。香港映画、わりと女性でも好きな人多いイメージがあるんですけど。
上地 うんうん。
荒木 そうですかね?へえ~。僕もね、香港カンフーアクション、久しぶりに観ました。昔はたくさんありましたよね、カンフー映画。久々にこんなキレのあるカンフーアクション見ました。もうほとんどね、私、年取ったせいか目で追えないよね早くて。
上地 早かったですよね。だから目が離せなかった、本当に。追いかけるのに必死で。
東 早かった(笑)わかる~。竹垣さんがすごいのはわざとらしさが一切ないというかね。
東 すごかった(笑)
荒木 それから出演者も、ルイス・クーとかサモ・ハンとかレジェンドと言われる人ですよ、この人たちは。
上地 かっこよかった~。
東 サモ・ハンって、サモ・ハン・キンポーですよね?
荒木 サモ・ハン・キンポーです、昔の。今、サモ・ハンになっちゃっているんですけども。ラジオ聞いている方の中にはわかんない方もいるかもしれないですけど、あの初めはもう有名なブルース・リーの弟子で彼の映画を、きっかけに『燃えよデブゴン』シリーズで一世を風靡した人です。大スターです。新しいカンフー・アクション映画を作った一人ですよね。そういう意味では伝説の人が出てきて久しぶりで、びっくりして。嬉しかったですね。励みになりました。はい。
東 たしかに~(笑)活力湧いてくる映画でしたよね。いや~、面白かったなあ。この熱い映画を楽しんでいただきたいです。
私がご紹介したのは、1月17日から公開の『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』でした。
上地 続いて、荒木さんのおすすめ作品をお願いいたします。
荒木 はい。私がご紹介するのは1月17日からの公開『アプンレンティス ドナルド・トランプの創り方』という変わったタイトルですね。
1月20日に第47代アメリカ大統領に就任するドナルド・トランプさん。
いろいろテレビとか新聞とかで見ていらっしゃると思うんですけども、お二人のドナルド・トランプに対する印象とかどうですか?由真さん。
上地 ちょっとなんか暴君的なイメージあります(笑)
荒木 そうだよね。ちょっと無茶苦茶な人っていう感じ(笑)
上地 あははは・・・はい(笑)
荒木 東さん、どうですか?
東 なんか難しいんですけど、成り上がっていた男というか。強い男のイメージがありますね。
荒木 ああ、そうそう。強引でね。まあね、ちょっと私たちの周りにはいないタイプですよね。常識とはちょっとかけ離れた方法論とかね。はじめこんな非常識な男が、って思っていたんですけど、最近 私も彼がガラッと世の中変えるんじゃないか、って変な期待を持ったりするんですね。
ドナルド・トランプ。すごい人です。必ず「ある意味」という頭がつくんですけどね。
「ある意味すごい。」
今日ご紹介する『アプンレンティス ドナルド・トランプの創り方』というのは、1980年代にで、彼が青年で小さな不動産屋の息子だったのが、不動産キングと呼ばれるようになった、その時代を描いた伝記映画なんですね。
ドキュメンタリーじゃないです。「アプレンティス」というのはね、「お弟子さん」ということです。
上地 ああ、そうだったんですね!
荒木 大工や植木屋さんなんかのね。アプレンティス」はお弟子さんなので、つまり「先生=お師匠さん」がいるということですよね。これはおいおいどういうことなのか見えてきます。まあストーリーから・・・。
ドナルド・トランプは、大学を卒業してニューヨークで不動産経営の父親の手伝いをしていますね。まああんまり高級ではない父親の持っているアパート。比較的貧しい人が住んでいるんですけども、そこで家賃を取り立てているんですね。
すんなり払ってくれない人もいて、コインを投げつけられたりしているんですよね。
そんな中でこの人、やっぱり頭がいいんでしょうね。いつまでこんなことやっていてもしょうがないと思って事業を拡大できないかと考えるんですね。して廃墟になっているホテルを買収してそこをリニューアルさせてオープンさせる。
もちろんお金は親から出させるんですが、これが大成功するんですね。
これに味をしめた彼は同じような方法で、次々同じようなホテルを買収して多くの資産を持つ不動産王と呼ばれるようになったんですね。この時代に彼は一人の重要な人物と会うんですね。ロイ・コーンという弁護士のおじさんです。この人が後のトランプのお師匠さん的な立場になっていく人なんですよ。つまりドナルド・トランプはこの人の「アプレンティス」、お弟子さんなんですね。このロイ・コーンという人は、とっても優秀な弁護士です。頭に「悪徳」というタイトルが付くんですけども、まあひどいと言うか、金のためには何でも平気で引き受けて、汚い手で勝つという、全米の札付きクラスの、まあ“三百代言”と昔の言葉で言うんですけど、悪徳弁護士なんですね。
この人の口癖は「口喧嘩は言ったもん勝ち」「最後に勝つのは正義じゃなくて、噓でもハッタリでも声が大きくて、口数が少ない方より注目を集めた者が勝つんだ」と常にいうわけです。そんな処世術でこの世の中を渡ってきているわけですよ。
だから頭から敵を中傷、攻撃、脅し文句、そして告訴されれば真っ向から受けて立ち、たとえ相手が降参しようとも叩きのめすというような人なんですね。
東 怖い・・・(笑)
荒木 こういう人がトランプさんを見込むんですね。なかなかやるね~、と。そして見込んでお弟子さんにするんですよ。このロイ・コーンって人のやり方、今のトランプに似てませんか?
東 やり方、そう!すごい似ているんですよね。
荒木 ロイ・コーンがドナルド・トランプに教えたことが3つあります。
言ったように、攻撃は最大の防御なんだ、と。常に攻撃しろ、間違いと言われても反論、議論するな、と。自分のスローガンを貫け、というのが1点目。
2点目、自分の弱点は無視しろ。つまり批判は無視して否定し続けろ、何を言われても正しくても間違いと言うな。
3番目、いくら負けても勝利を主張しろ、負けを認めちゃダメだ。まあ弁護士の場合はね、負けると仕事が来なくなるし合点いきますよね。つまり今、トランプのやっていることはロイ・コーンがやっていることそのまんまやっているの。
東 トレースしている感じがしましたよね。
荒木 そうですね。トランプはロイ・コーンのこういう脅迫だとか裏切りを含めて全部を守って忠実に守っていくことで、今のトランプが出来上がっているんですね。
東 なるほど~。
荒木 タイトルわかるよね、そうなるとね。まあね、トランプね、こんな恩人とも言われる先生に対して最後はひどい仕打ちをするんですよね。そのあたりは映画をご覧になっていただきたいんですけども。
東 ちょっと観たくなった、今!
荒木 ほかにもトランプさんが起こした、例えば女性に対する問題、彼自身の体の問題。まあ特に見てくれですね、自分の容貌に対するコンプレックスからいろんなことをやっているんですね。あの例の髪型の秘密までばらしているんですね。かつらじゃないんだよね。なぜああいう髪型になっちゃったのか、ということも映画の中でばらしているんですよね。
東 へえ~(笑)
荒木 主人公はを演じるのは、セバスチャン・スタンというイケメンくんですよね。あとで由真さん、観てもらうとわかる。なかなかのハンサムっていうか・・・
東 『ゴシップガール』に出ていた人なのね。だからあの世界観に馴染むようなイケメンですよ。
上地 へえ~。
荒木 あんまりね、正直似ていないですよドナルド・トランプに。だけど似てくるんだよ、段々だんだん・・。ちょっとね、口を尖らせるポーズを下から撮るとそっくりだよね。
東 トランプさんに見えてくるんですね。
荒木 はい。というですね、いろいろ話題が満載の映画なので怪物はね
、決して生まれた時から怪物ではないんだ、と。怪物は作られるんだ、という・・
世界で最もヤバい大統領と言われるトランプなんですけれども、よくも悪しくも今のアメリカを象徴している人物だということが言えるでしょうね。
でね、びっくりしたのが、この映画 アメリカでは昨年の選挙期間中から公開されているのですが、選挙中にいわゆる特定の候補を批判するという映画が、嫌なところも出している映画を公開するのはびっくりすることですよね。
日本とはちょっと違います。そういう意味でアメリカのね、この奥深さというかね、同時にヤバさも感じた映画ですよね。
東 たしかに。
荒木 はい。ということで私が紹介したのは、『アプンレンティス ドナルド・トランプの創り方』という1月17日から公開の作品でした。
上地 続いて紹介するのは私のイチオシ作品。1月17日から公開される韓国映画『満ち足りた家族』です。
あらすじです。
韓国に住む中年の兄弟。兄ジェワン、彼は弁護士として利益を最優先するやり手。
再婚した若い妻と連れ子の娘と共に高級マンションで優雅な暮らしを送り、何不自由ない満ち足りた生活を送っていました。
弟ジェギュ、こちらは道徳を重んじる小児科のお医者さんです。ジェギュは長年連れ添った妻と息子、母の介護に心を配りながら、こちらも日々不足ない暮らしを続けていました。全く異なる価値観を持つふたりなのですが、それぞれ美しい妻と子供たちに囲まれ、それなりに穏やかな日々を過ごしていました。兄弟が妻を伴って会うのは月に一度の食事会。ぎこちないながらも一家そして家族としての繋がりを保とうと努力していたふたり。
しかしある日、それぞれの子供たちに関する恐ろしい秘密が明らかになり家族の平穏は一変します。隠されていた真実が兄弟の間に深刻な亀裂を生み、彼らの運命を大きく狂わせていきます。
ホ・ジノ監督による人間の深層心理と家族の絆の脆さを描いた緊迫の心理スリラー作品です。
私、この作品、めちゃくちゃ好きでした。面白かった!あの兄をソル・ギョングさんが演じていて、弟をチャン・ドンゴンさんが演じているんですけど、どちらの俳優も私、大好きなので。
東 芝居対決っぽい良さもあったよね。おふたりが上手すぎてね。
上地 ね~!チャン・ドンゴン、ちょっとね、歳を重ねたチャン・ドンゴンもさらに素敵だなと思って。
東 あれだよね、昔の韓国四天王みたいな感じだよね。
上地 そうだよね。「あなたが好きだから~」の人だよね(笑)
東 あはは!そうだよね~(笑)久々にこのふたりを堪能できた感じするよね。
上地 本当に。いや、心理戦も本当に見応えがありましたし、衝撃のラストもね・・・もう面白かった。さゆみん、どうでした?
東 これもう本当にね、あり得ないぐらい脚本がすごく面白い。
最後、私も唸ってしまったんですけど。正義とか悪とかそういう単純な話じゃなくて、なんかそれぞれのね、兄も弟も正義があって、なんか改めて正義VS正義だからこそ人間ってどこまでもややこしいし、こういうのってこの世の中のそういう争いとかすべてのおかしさって、こういう正義VS正義から始まるんだなって改めて思いますし。なんかもう、とんでもない映画を観てしまったなと思って。1月17日、今日はね、紹介しているトランプさんの映画も『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』も全部1月17日公開なんですよ。
上地 おお~!すごいね。
東 もう1月17日が激戦過ぎて・・。なんだろう、他にもね『室町無頼』ですとかいろいろあるんですけど、17日。もうどこを取っても映画的な評価も高い。
どうすんの、17日。映画館に一日中居られて、はしごできるんじゃないかっていうぐらい、もう唸ってしまいましたね。
荒木 原作がですね、あるんですよ、この映画。
東 えーっ!そうなんだ?!
荒木 オランダの作家のヘルマン・コッホという人のね、世界的ベストセラーなんですよね。『ザ・ディナー』という、夕食、まあ宴というかね。映画化はね、なんと今回4回目なんですって。
上地・東 えーっ?!
東 『満ち足りた家族』?
荒木 一番最近なのがですね、2018年のアメリカ映画『冷たい晩餐』という映画なんですよ。これね、日本ではシネマカリテコレクションという、ちょっとね、まあね・・・
東 映画ファンが好きな、カリコレと呼ばれている・・・
荒木 そう ちょっと変わった映画集めたところでやっただけなので、大きな公開していないんですよ。私、観ていますけどね。
この『冷たい晩餐』の方ではですね、兄が知事を目指す上院議員なんですよ。リチャード・ギアがやっていました。
上地 えっ!!そうだったんだ。
荒木 弟は元高校教師の・・・スティーヴ・クーガンがやっています。ふたりは格差のある家庭ということで今回の『満ち足りた家族』とはちょっと違うね。
東 なるほど。両方とも満ち足りていますからね。
荒木 うん。観ていて同じ原作だと思わなかったですね。どっかで観たなあ、というぐらいでした。こちらの方が原作に忠実だったような気がします。アメリカ版の方がね。
東 なるほど。じゃあアレンジを加えた韓国版みたいな。
荒木 そうそう。だからこれはもう、ホ・ジノ監督が原作の設定に韓国独特の社会設定がありますでしょ、子供の問題、進学の問題とかそういうのを巧みに取り入れて上手くアレンジして、まあ暴力を含む差し迫った社会のそういったドリフトっていうのかな?そういうものに関して上手く作っていますよね。
東 たしかに。これこそ私、今、荒木さんの話聞いてびっくりしたんですけど、ザ・韓国映画っぽいじゃないですか?
荒木 そうですね、まさに。特に冒頭シーンとかね、最後の暴力シーン。冒頭と最後は上手く対応しているんですよ。まあネタバレになっちゃうけど、最初は車でひかれるシーンですよね。最後も車でひかれるシーンで終わるのですが、その間の展開がものすごいということで韓国映画っぽいですよね。
東 なんか久しぶりに、昨年話題になった『地面師たち』と同じようなドライブ感、という意味では、乗ったら降りられない映画というか、そのくらいのドライブ感ありましたよね。
荒木 そうですよね。今言ったようにね、チャン・ドンゴンもね。昔はホ・ジノ監督のチャン・ドンゴンの映画と言えば・・・ありましたよね、『危険な関係』って。これもリメイクでしたよね、フランスの。あのチャン・ツィイーというね、綺麗な女優さんとチャン・ドンゴンがものすごいベッドシーンをやっていましたけども。これもね、本当言うとリメイクなんですね。まあ非常にそのホ・ジノ監督とチャン・ドンゴンは相性がいいんですね。でもそういう意味ではね、このホ・ジノ監督、有名な監督ですけども、この映画も非常に傑作の、代表作ひとつになるんじゃないですかね。本当に韓国らしい濃厚なサスペンスだなという気がしますよね。
上地 私、上地由真がご紹介したのは、1月17日から公開の『満ち足りた家族』でした。今回は3人それぞれのイチオシ作品ををご紹介しました。今年も注目作が続々と公開予定ですので、ぜひお楽しみにしていてください。
映画評論家の荒木久文さん、映画ソムリエの東紗友美さん、ありがとうございました。
荒木・東 ありがとうございました。
この記事の番組情報
上地由真のワンダーユーマン
月 21:30~22:00
上地由真がメインパーソナリティを務め、アシスタントとして文化放送・山田弥希寿アナウンサーが進行役を務めます。 番組では毎週テーマを設け、“由真的”テイストで進…