石破政権 『地方創生2.0』の危うさと『2025年の賃上げ』の実現性
1月7日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、石破政権が掲げる「令和の日本列島改造」について意見を交わした。
最近の物価の動きを見ると明らかにデフレ寄り!
石破首相が年頭記者会見に臨み、「令和の日本列島改造」に取り組み地方創生を推進する決意を示した。
「第一の柱として私は令和の日本列島改造と位置づけ、『地方創生2.0』を強力に推し進めていく。一極集中を見直し、多様性を未来への力としていく」と表明し、田中角栄元首相の日本列島改造論や大平元首相、竹下元首相らの取り組みを礎に地方創生を進める考えを示した。
(寺島アナ)「地方創生を推進する石破首相の決意ですけど、田中さん、どうご覧になりますか?」
(田中氏)「要するに“石破政権がこないだの選挙で負けた構図を、資金のばら撒きで維持しよう”という政治的には自虐的な方策ですよね。“地方創生で地方経済に重きを置く”、あとは“高齢層も大切にします”といって安倍政権が作ってきた“都市部重視”、“若年層への支持”をカットして旧来型の先の展開があまり無い支持層に戻りますよ、と。そういうところに大きくエールを送る、ということを『地方創生2.0』として言っているだけだと思います」
田中氏は『地方創生2.0』と銘打っている裏の意図を不安視する。
(田中氏)「具体的な中身がまったく無くて、竹下元首相の名前をあげているところを見ると、各自治体にまた1億円くらい配るんじゃないですか? “黄金のトイレを作る”とか昔懐かしい世代はよく知っていますけど」
(寺島アナ)「ありましたね!」
(田中氏)「石破首相は“一極集中を見直す”とか言っていますけど、むしろ一極集中の弊害を、一極集中を強めるなかで解消した方がいいと思うんですよ。地方でも都市部がありますよね?例えば群馬県であれば県庁所在地の前橋市と近接している高崎市。これを一つの都市圏として地方経済を盛り上げる、というのはありますけど、それとはどうもニュアンスが違いますよね?むしろ竹下さんっぽい、地方自治体にばら撒くだけでビジョンが無い。“地方創生”とか言うと “地方を大切にしている!”みたいにウケるんですよ。でもそれによって経済の活力が失われてしまって、結局は地方経済も中央に依存しているわけです。都市部の経済が衰退することによって、地方の経済もダメになったら元も子もないわけです」
田中氏は地方経済を盛り上げるために有効な具体例をあげる。
(田中氏)「地方経済を盛り上げるために最近で一番有効だったのは“円安政策”です。円安によって輸出には向いていませんが、地方の農業や漁業、貿易関連の中小企業や観光などが円安によってかなり有利性を取り戻して収益を取り戻しています。そういったことをやるなら手堅いのですが、ただお金をばら撒いて自治体に考えさせるのは……。まあ成功事例もありますけどね?イカのモニュメント作って観光名所になって、ああいうの個人的には好きですけど。」
石破首相は会見で、経済全体の活力を取り戻すことも重要だと指摘し、「賃上げと投資がけん引する成長型経済を実現していく」とし、最低賃金を2020年代に全国平均1500円に引き上げる目標の実現に向け、国としても最大限の対応策を講じると表明した。
一方、国民民主党・玉木代表はSNSで『今年注目の数字』として「春闘で5%超の賃上げが実現するか(特に中小企業)」をあげている。
(寺島アナ)「田中さん、現時点で今年の春闘はどうご覧になりますか?」
(田中氏)「今年の春闘もある程度の賃上げの動きはあると思います。ただそれが物価に乗っかって、賃金と物価の好循環になるかというと、その可能性はひょっとしたら低いんじゃないかと思います。財やサービスの最近の物価の動きを見ると明らかにデフレ寄りになっているんです。つまり賃金や様々なコストを物価に上乗せすることをストップしちゃうんです。なぜなら価格を上げると売れないから。それは消費が弱いままだから」
田中氏は賃金が上がっても消費が弱い原因を指摘する。
(田中氏)「賃金が上がってもお金を使うのを遠慮して、当面お金を使わずに貯蓄したり資産運用したりするんです。だから消費には回ってこない。日本は相変わらずそういった経済が強い。内閣府が去年の終わりに経済財政諮問会議で“2025年は総需要不足が解消される”という推計を出していますが、注意しなきゃいけないのはその推計の基準ですよね」
田中氏は過去の日本経済の実力を基準にすることの危うさを指摘。
(田中氏)「人手不足で労働力を集めるために待遇を改善して賃金をあげる、これが賃上げの良い動きなんですけど、政府はお金不足を計算する際に過去の平均値を基準にしているんです。過去は政策をミスしてずっと平均以下だったのに、それを平均だと思っちゃいけないわけです。政策や日本銀行の失敗によって不合格点が続いた過去を、未だに政府は日本経済の実力だと推し量っていますから。つまり過小評価しちゃっているわけです。だからこの程度で日本経済は成長を終える、という態度をしているのが石破政権と日銀ですよ」
(寺島アナ)「“それは違う、もっともっといけるぞ!”っていうことですよね?」
(田中氏)「具体的には、少なくとも20兆円くらいの規模で経済を拡大しないといけない思います」
〈出典〉【速報】石破首相が年頭会見で「令和の列島改造」を提唱 田中角栄氏の名も出し政府機関の地方移転などに意欲 | FNNプライムオンライン (https://www.fnn.jp/articles/-/810190)
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