【箱根駅伝】「走れない期間の方が長かった」不屈の男、中央学院大学・太田翔が走り続ける理由

【箱根駅伝】「走れない期間の方が長かった」不屈の男、中央学院大学・太田翔が走り続ける理由

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大学初の公式戦は4年の箱根予選会。その後、箱根出走を勝ち取り——などということは現実的にはなかなか起きることではない。それが、今、起きようとしている。物語の主人公は中央学院大学・太田翔(4年、県立明石清水)だ。

中央学院大学に入学してからの日々は故障と体調不良の連発だった。1年生のときは足底の筋膜炎で1年間走れず、結局練習には1度も参加することができなかった。2年、3年のときは腸脛靭帯を痛め、走れない期間が長く続いた。その間、コロナに罹患すること4回。3年生の終わりには、コロナの後遺症が治らず、3か月余り実家に帰省していた。

その太田が、4年生にして初めて公式戦に出ることになる。箱根駅伝予選会、失敗の許されない大舞台だ。「緊張ももちろんしましたし、慣れていなかったので正直怖かったです。走る前にメンバーで円陣を組んだんですけど、その時に泣きそうになってしまって……」。それでもレース直前に円陣を組み、吉田礼志キャプテンの力強い声を聞き我に返った太田は、究極のプレッシャーに打ち勝った。予選会をチーム7位で走り切り、本戦出場に貢献した。

3年間の走れない期間を支えたもの、頑張れた理由は2つある。1つは「ハーフマラソンを1回は走りたい」ということ。そして、もう1つ、箱根駅伝を走って想いを届けたい人たちがいること。「家族の存在」だ。
「自分は3人兄弟なんですけど、自分が大学に入ってから、3つ上の姉がⅠ型の糖尿病になってしまった。さらに、僕の双子の兄が汗をかくと激痛が走るような皮膚の難病になってしまって。箱根駅伝に出て、ちょっとでも勇気づける走りをしたいなと思って頑張れています」

故障も苦しかった。体調不良もつらかった。でも、もっと頑張っている家族がいた。「きっと兄弟も僕が箱根を走るなんて思っていなかったと思う」と笑う太田に悲壮感はない。あるのは「勇気づける走りをしたい」という強い想いのみだ。

両親に対しては「3年生までは1度もいい報告ができなかったので、箱根駅伝で総合5位を目指していい走りをできるように。もしいい走りができたらいい報告をしたいですし、もし思った走りができなかったとしても4年間ありがとうということを伝えたいです」とかみしめるように話す。誰かのために頑張れる人は強い。家族への想いが太田の脚を先へ先へと進めていく。

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