【箱根駅伝】國學院・中川雄太「優勝したら箱根ラップを歌いたいですね」 幾多の故障を乗り越え箱根路へ

【箱根駅伝】國學院・中川雄太「優勝したら箱根ラップを歌いたいですね」 幾多の故障を乗り越え箱根路へ

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「4年生になったときに箱根で総合優勝しよう」

これは國學院大學の前田康弘監督が、今の4年生世代をスカウトするときから言い続けてきた言葉だ。チームはその通りの成長を見せ、今シーズンはここまで出雲駅伝、全日本大学駅伝を制し二冠を手にしている。箱根で総合優勝となれば、史上初の箱根初制覇で三冠達成となる。

チームの歴史を変えてきた平林清澄を中心とした4年生世代のなかで、入学時には平林と同じように期待をされながら、まったく違う歩みでこの箱根駅伝をつかんだ選手がいる。中川雄太(4年、秋田工業)だ。

秋田工業時代はキャプテンもつとめ、都大路には1年生から3年連続出場。5000mは14分04秒93と、「当時の國學院には鳴り物入りで」(山口祥太コーチ)入ってきたという。

しかし、中川はここまで学生三大駅伝の出走はない。メンバーエントリーも2年生の全日本のみだ。入学後は相次ぐ故障に見舞われていた。
「大学入ってから疲労骨折は6回くらいしていて、大腿骨の神経にも影響が出てまったく力が入らない時期もあったし……走れない期間が長かったです。1、2年目はずっと疲労骨折で、1年のうち走れているのが2、3ヶ月あるかないかという感じでした」

焦りから完治しないままに練習を再開し、再び故障をすることを繰り返した。2年目の終わりには競技から離れることも頭をよぎったが、チームメイトや、高校の恩師に声をかけられ、励まされ、ここまで競技を続けてきた。

3年生になる頃から、毎回の練習を8割くらいに抑え、故障せずに継続することにフォーカスしてきた。そしてこの秋、10月のレガシーハーフマラソンでは1時間02分45秒、自己ベストをマークし学生トップでフィニッシュすると、11月には上尾ハーフで1時間02分46秒。62分台で見事2本そろえ、メンバー入りをつかみ取った。
「10区を走って、区間記録を出して優勝に貢献したい」と最初で最後の箱根への意気込みを語る。

そんな中川の好きなものは「ラップ」だそうだ。ABEMAのラップオーディション番組『ラップスタア』に自作のラップで動画を撮って送ったこともあるらしい。吉田蔵之介選手(2年)の父・大蔵さん(ケツメイシ)からは「フリースタイルラップは言葉を詰まらせて歌う人が多いから、もっと余裕を持って歌を歌うといいよと。余裕を持って、言葉をリズムに合わせていくのがいいよっていう、専門的なアドバイスをしてもらいました」と嬉しそうに話した。

これまで書いてきた曲の題材は仲間や家族ばかり。駅伝のものはないそうだ。
「でも箱根で優勝したら、箱根ラップを作って歌いたいですね」

古代紫が頂点に立ち歴史を変えるとき、苦難を乗り越えてきた中川の歓喜のラップが聴けるかもしれない。

悲願の箱根駅伝初優勝なるか。『歴史を変える挑戦~EP.3~』はいよいよ最終章だ。
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