『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    先進国債券インデックスって何?

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2024」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

★メールまとめ
先進国債券インデックスってどういうもの?

★メール本文
北区 赤羽の娘 (60歳)

先進国債券インデックスというのが人気だそうです。
アメリカ51.5、フランス8.5、イタリア7.7…とかいろんな国に分けて細かく投資するものらしいですが、この配合はどうやって決めるのでしょう。
適当にサイコロでもふってるのかなあ…

(北区 赤羽の娘(60歳))さん

「インデックス」は数字なので買えない

けっこうメンドクサくて、「先進国債券インデックス」はインデックス、単に数字なんですね。平均値っていうか。これは数字なので買えません。じゃあ何かといえば、先進国が出している「国債」の金額に連動してるんです。それぞれの債券に毎日値段がつきますよね。売ったり買ったりできるんですけど、もともと出したときの金利がついているので、いまそれよりも金利が上がってたら、安くなります。安く買わないと損だから。もともとついてた金利が高かったら、いま金利が低くなってたら、価値があるので値段が上がる。上がったり、下がったり、するわけです。

先進国各国国債の利回り平均値

で、この上がったり下がったりする値段の平均を、出ている金額の比重で作っているものだと思います。残間さんや鈴木さんはあまり聞きたくないかもしれませんが、先進国で出している債券=国債の利回りが、いま全体では平均何%ぐらいだろう…というのが「先進国債券インデックス」だと思ってください。ではアメリカの51.5というのは、どういう意味があるのでしょう。平均を出すときに、5か国の利回りの数字を単に足して5で割ってもいいのですが、アメリカはめちゃくちゃたくさん出しているので、影響が大きいんです。そこでたぶん、その分だけ比重をつけている。これを「加重平均」と言います。対象になる国の国債の金額の合計額のうち、半分ぐらいはアメリカが出している、というのがこの数字の意味です。そうすると、日本も超デカイんですけど、ここでは抜いてあります。なぜかというと、日本人に投資させたいからなんですね。

なぜ「先進国」なのか

これは平均値だから買えませんが、これと同じような感じの利回りになるように、いろんなものを実際に買って作っている「投資信託」があって、その名前が「先進国債券インデックス」なんだと思います。
いろいろな投資信託があって、「俺はがんばるから、買え!」と言っても、誰も買わないですが、「私は先進国債券インデックスと同じ利回りになるようにがんばりますので、買ってください」と言ってるわけです。
アメリカだけを買うと、アメリカに賭けないといけないじゃないですか。だから「先進国がいいっす!」っていう奴がいるわけですよ。それで「先進国」でやると、ちょっと面白いことがあります。買うのは「円」で、半分ちょっとはドルを買います。フランスとイタリアはどっちもユーロだけど、イタリアのほうが国力的にはヤバいので、たぶん金利がちょっと高い。そういうことがあるので、ブレンドするんですね。そうするとドルを買ったり、ユーロを買ったりするので、為替が動きます。そこで利回りが変わらなくても、円安に振れるとたくさん円で返ってきますから、儲かる…というのを、いまみんながやっているわけです。ただ何かあって円高に振れると、成績が悪くなるかもしれない…という話です。

「為替でも金利でも儲けたい」

要するに、「私はドルに賭ける」「ユーロに賭ける」とか言うと、為替しか見ないでしょう。でもそれで3年も持ってたら、金利がつかないともったいない。残間さんがドルやユーロを買ってタンスに入れておいたとします。もちろん為替が動けば儲かったり儲からなかったりするんだけど、その間にさらに国債を買っていれば、リスクゼロで金利もつきます。だから「先進国債券インデックス」を買ってるのは、簡単に言えば「為替が円安にいくだろう」と思ってる人たちなんです。円の将来に対して弱気ではあるけれど、ただドル札持ってるだけじゃもったいないから、金利もほしい…という「がめつさ」もある人たち、みたいな感じです。

今日は「先進国債券インデックスの仕組み」について考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。

大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』『生きづらい時代のキャリアデザインの教科書』など。

家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください

お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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