『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 「大人の日帰り登山」のすすめ
情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。
この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2024」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。
今回は特別編。話題の新刊「知っている山からはじめよう! 大人の日帰り登山」の著者、鈴木みきさんをゲストにお迎えした、7月13日放送のダイジェストをご紹介します!
<鈴木みきさん プロフィール>
・1972年、東京のお生まれ。イラストレーター、執筆家、防災士。
24歳で旅したカナダで壮大な景色に感動、山にハマります。
山岳雑誌の読者モデルでさまざまな登山を経験したあとスキー場や山小屋でのアルバイトを経て「山系イラストレーター」に。執筆活動のほか、女性一人でも参加しやすい登山ツアーの主催なども手掛け、幅広くご活躍でいらっしゃいます。
近著「知っている山からはじめよう! 大人の日帰り登山」
登山は「みんなできます」
残間 (登山は)いちばん苦手な領域だったんだけど、「大人の日帰り登山」読んでたら、楽しそうだよね。みんなできそうな気がしてくる。
鈴木みき みんなできますよ!
大垣 高校のとき、山岳部だったんですよ。
三人 えーっ!
大垣 だから、アルプスとかそういうところは。けっこう行きました。
残間 行ったの!?
大垣 八ヶ岳は大好きで、何回か縦走しました。
残間 こんなに長い付き合いなのに、初めて聞いた。
大垣 京都が地元なので。だから自転車で15分くらい行くと、もう山の中で。
鈴木みき そうですよね。京都はいっぱい山がある。
大垣 京都って、山に住んでるみたいな感じなんです。でも就職したあとは、まったく…。
鈴木みき また行きたくならないですか?
大垣 行きたくなったんです。金曜の夜に。それで、ご来光とかいって、登りだすんですけど。それをやってたら…3カ月目ぐらいかな。バテるってあるじゃないですか。山でバテると何にもできなくなっちゃう。
鈴木みき はい。動けなくなっちゃいますね。
大垣 それで、これは「死ぬわ」と思って。怖くなって…。
残間 すごいじゃない。初めて聞いた。
鈴木みき ベテランの話が。
大垣 ベテランじゃないです。ただ勢いで登ってたから。
カナダで山に開眼
残間 24歳で開眼したって書かれてましたが、そこまでは別に…
鈴木みき もう、ぜんっぜん、インドア派というか。絵を描いたり本を読んだりとか、そういう方が全然好きで。
大垣 急にものすごいものを見ちゃったんですね、カナダで。
鈴木みき そうなんですよ。
大垣 スケールが全然違いますよね。
鈴木みき そうですね。初めて見たおっきな山がカナダ。もちろん日本でも見た事はあったと思うんですけど、その時の感受性みたいなものでは、別に感動しなくて。
残間 カナダのどんな山だったんですか。
鈴木みき カナディアンロッキーっていう…バンフとかカルガリー。春から夏ぐらい、いちばんいい時期で。夜行バスで入って、目が覚めたら、でっかい山がどーん! とあって。うわー! ってなってから、今日まで…。
残間 登りたかったわけじゃなくて?
鈴木みき 見ただけです(笑)。東の方からずっと旅をしていて。暗いうちに着いて、そのままユースホステルに泊まって。目が覚めたらすごい山だった。
残間 それはやっぱり、すごいかもしれないね。
鈴木みき はい。それまでがカナダの内陸部。湖と森、平地なんですね。盛り上がったところ一個もなくて、ずっと地平線を眺めてバスに乗ってたのに、起きたらすごいものが生えていた…みたいな感じで。その感動が今まで続いているみたいな。
残間 その山を制覇したわけではない?
鈴木みき ぜんぜんぜんぜん!
大垣 制覇しようと思ったって、大変だよね(笑)
鈴木みき そうですね。なかなか外国は、山頂に登る道ってついていなくって、ロッククライミングみたいなことで山頂にたどり着く山が、北米とかは多いんですね。逆に日本は山頂に行く登山道があるところが多いので、どなたでも、そんなものすごい技術がなくても歩いていけば山頂に着ける山がほとんどなんです。
京都はどこにでも山があるけど
大垣 東京へ来ていちばん不満だったのは、登り口まで行けないじゃないですか。なかなか。
鈴木みき そうなんです。分かりづらいですよね。
大垣 そもそも遠い。
鈴木みき 京都に比べたら…
大垣 だって、ここでビルに上がったって遠いところにある山しか見えないじゃないですか。
鈴木 だいたい電車で1時間くらいですかね。
大垣 そうなんですよ。1時間かかるって、僕らはもうホントに。京都だとちょっと行ったら山なので、そんなに時間かかるとこないじゃないですか。
残間 高尾山とか…
大垣 人ばっかじゃん。そうまでして…。筑波山にしても、クルマで行っても登り口まで行けないし。
残間 登ってる間って口きかなくていいじゃない。だから仲の良くない夫婦は近郊の登山がいいって言うよ。
大垣 仲の良くない夫婦は、登山はしないでしょう(笑)。
残間 でも、どっか行かなきゃいけないときは、しようがないから…。
大垣 行かなきゃいけないときに、登山はしないでしょう(笑)。
今まで一番良かった山は…
残間 今まで一番良かったのはどこですか?
鈴木みき やはりカナダで出会ったというのもあって、カナダの山は忘れられないし…。そして帰国後に初めて、山を探し始めて、どこに高い山があるんだろうと思ったら、長野県にたくさんあることがわかって。向かったのが白馬だったんです。それも夜行バスに乗って(笑)、目が覚めたらわーっって山脈が見えて感動したので…。やっぱり一番好きというか、ずーっと根っこにあるのはカナダの山とか白馬とか。やはり初心者のときに出会った山ですね。
残間 それって純粋に景色に感動するんですか?
鈴木みき そうなんです。若い時に鬱屈してたので、それが晴れ晴れするという感覚はあったと思うんです。単純にやっぱり、すごい風景。
残間 そこまではわかるんだけど、やっぱり登ろうっていう気には…。
鈴木みき そうですね。私も最初は「登ろう」とは思ってなくて。
東京近郊で初心者にお勧めは
大垣 東京だと、夫婦で登ろうと思ったら、どこがお勧めですか?
鈴木みき 今回の本にもあるんですけど、一つのテーマとして「低い山」というのがあります。「知っている山から始めよう」ということもあって。先ほども言ってましたが、登山口がなかなか見つからなかったり、町に近い山ほど、登山口が住宅地の奥にあったりとか。大きな看板があったりとかするわけではないので、見つかりにくいというのがあるんです。初心者の方は、最初はそういうのを見つけるコツがわからないから、迷ってしまうんですよね。なので、近くて、ある程度、隣の市だから、あそこにありそうだな、とか。ちょっと土地勘があるようなところだと、いいなと思いますね。
大垣 小田原にも住んだことがあります。あそこにも山はいっぱいあるんだけど、京都との最大の違いは、道がないんですよね。
鈴木みき なるほど。
大垣 京都って、道がない山ってなくて。必ず人間が歩いてるっていうか、何かいわれがあったりするんです。
残間 修験道みたいになってる。
鈴木みき そうですね。
大垣 山に行けば絶対、歩くところがあるんですけど。
残間 神奈川にはみんなが登る山はないの? 丹沢とか。
大垣 丹沢は難しいよ。
残間 途中まで行った気がする。
大垣 へえー!
行きやすい山のバロメーターは
鈴木みき 高い山、低い山に限らず、行きやすい、行きにくいのバロメーターはやっぱりアクセスですね。
大垣 駐車場のある山とか。
鈴木みき マイカーお持ちであれば、ですけど。東京近郊だと、あまりクルマを持ってらっしゃる方がいないというのもあって、その代わり住宅地に登山口が近かったり、駅からバスに乗れたりとかするので、地方より登山口に行く公共交通機関は多いんです。
残間 大垣夫妻が行くとしたら、どこがいいですか?
鈴木純子 仲良しですよ(笑)。
大垣 どこがきれい?
鈴木みき 夏場は暑いのでお勧めできないですけど、箱根まで行って、ケーブルカーとかロープウエイで高いところまで行って、涼しいところで遊歩道を歩いたりとかっていうのはお勧めですね。八ヶ岳もゴンドラがあるので、中腹まで行って、そこから1時間程度の山歩きとかすれば、初心者の方でも。
残間 親しい夫婦で、百名山やった人いるよ。
鈴木 多いです、多いです。それがモチベーションになるというか。
大垣 百名山というのは、普通の装備で登れる山ばっかりなんですか?
鈴木みき そんなことはないです。だいぶ高い山が多いので、ちょっとした登山装備を揃えて行く山の方が多いです。
大垣 でも普通の山のカッコしていけば…。
鈴木みき 必ず道がある山です。百名山になると、人気があって。やっぱり皆さん登りに行くので、そのためにアクセスも開かれていたりとか、わかりやすい情報が得やすいというところもありますので、意外とお勧めです。
体力のある同行者に頼っても
残間 「大人の日帰り登山」の本を読むと、準備の段階からホントに楽しそうなんだけど。でも登ってるとけっこう、汚らしくなるよね。トイレも大変だし。荷物も大変だし。
鈴木みき でも荷物も昔と変わっていて、だいぶ軽くて小さいものが多くなっています。
残間 でも自分で持つんでしょう?
大垣 そりゃそうです。
鈴木みき いい方がいらっしゃれば、持ってもらっても…(笑)。
残間 「荷物持ち男」。
大垣 この年になると二人分は無理よね。
鈴木みき エマージェンシー的なものはご自分で持っていただいて、それ以外の、使うか使わないかわからない防寒着であるとか、そういうものはどなたか、体力のある人とか、一緒に行く人に持っていただくというのも一つの手ですね。
残間 いま富士登山なんか、すごいもんね。
大垣 何が楽しいんだろうね。何もないのに。
鈴木みき 楽しいです(笑)富士登山も。やっぱり日本一高い所に登るという楽しみ、イベントですね。お祭りというか。
残間 でも弾丸登山とか。
鈴木みき 今年からだいぶ規制されているので、減るのではないかなと思います。標高が高いので、危険ですから。
大垣 舐めると大変なことになりますよね。
残間 この本読んでたらね。みんな「あ、それ! 終わったら貸して」って言うから、「ダメ、買いなさい」って言っといた(笑)。
鈴木みき ありがとうございます!
コロナを経て増えた登山者
残間 やっぱり、興味がある人は増えてるみたいね。
鈴木みき うれしいです。コロナもあって、おうちを出られなかったときにも、アウトドアの活動だったらいい、みたいな雰囲気になっていたので、そこで始められた方もとても多いみたいです。
残間 この本でも得意じゃない人が一緒に行ってるもんね。
鈴木みき そうなんです。私も最初はそういう感じで、体力もないし、運動神経も鈍かったので、登れるなんてホントに思ってなかったんですけど。
残間 本にも書いてあったけど、階段を登ったり、ちょっとは準備しないといけないでしょう。エレベーターを使わないようにとか…。
大垣 それはそうですって。後はね、降りるときが大変。ヒザがどんどんダメになっていって。登るほうが楽。
鈴木みき 若い時は体力の平均値っていうのが、やっぱり上の方にあったと思うんですよね。私も50代になって…。いくらできなかったと言っても、若い時は今よりはやっぱりあるなって思うし。瞬発力や判断力みたいなものも、やっぱり落ちてるのを自分でも感じるんですよね。なので、山の中で何かあるとやっぱりリスクが高い。ケガしたり、もしかしたら亡くなる事故になってしまうこともあるので、少し自分で「こういうのが苦手なんだ」「体力がないんだ」「階段下るの、ちょっと苦手だな」とかっていうのを、自分にわからせる期間としての2,3か月というか。それで体力が着くかといったら、わからないですけど。
残間 80代まで…。
鈴木みき いらっしゃいますよ。やっぱりどっかでやめちゃったりすると、体力とか、落ちてしまったりするんですけど。続けてらっしゃる高齢の方っていうのも、月に一回とか、自分に課したりしながら、トレーニングを重ねながらやってらっしゃいますね。
大垣 年取ってくると、階段を登れなくなってくるんですよね。あれが登れてるうちは若いんだよな。
残間 お医者さんに階段を登るなって言われた。ヒザに悪いから。だから平地を歩く。
鈴木みき それも継続みたいなところはありますよね。坂道とかでもいいし、少し負荷をかけてあげると。
山の上で飲むビールは最高!
残間 健康になったりとか、そういう良さってあります?
鈴木みき そうですね、やっぱりやらないより…。でもあんまり筋肉とかつくタイプじゃなくって、運動したことないからたぶん着け方がわからない。だからいまだに華奢なほうなんですけど。でもメンタル的に「次はどこ行こう」とか考えたりとか、行ったら気持ちが晴れたりして、そこでもらったエネルギーみたいなものとかを、何週間とか何カ月とかは維持できるので。山登りの効能みたいなものでは、自分とちょっと向き合える時間っていうのが、必ず訪れるんですね。ちょっと苦しいので。ほかの煩わしいことがパッと消える瞬間みたいなのがあって。
残間 なるほど。
鈴木みき そういうところで、たぶん、気持ちが変わったり、メンタルのほうとかでスイッチが切り替わったりとかして休まるんじゃないかなあ。
残間 ドイツに行ったときに、4,000mを越える山なのに、そこまで全部ケーブルカーで行けたんですよ。でも上に行ったら空気が薄いから、そこで飲んだビールっていうのが凄かったんだけど(笑)。
鈴木みき 外国はそういうところが…。たとえばスイスとかイタリアとか、アルプスがあるところですね。
残間 電車で行って…。
鈴木みき そうです、そうです。上にはビールやワインが待ってるっていうところが、外国にはけっこう多いですね。日本の山小屋でも、いま生ビール飲めたりとか。
大垣 上まで行って、山小屋でビール飲むのがいちばんおいしい(笑)。
★鈴木みきさんの著書「知っている山からはじめよう 大人の日帰り登山」ぜひご一読ください!
大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。
第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。
東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』『生きづらい時代のキャリアデザインの教科書』など。
家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。
※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください
お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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土 6:25~6:50
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