村尾信尚が解説 1人あたりGDPとは?
2023年の日本の1人あたりの国民総生産(GDP)が経済協力機構(OECD)加盟38か国中、22位となった。これは先進7か国(G7)中、最下位。21位となった韓国よりも下回る結果となった。12月24日の「くにまる食堂(文化放送)」では、関西学院大学教授の村尾信尚が、なぜGDPが重要視されているのか、わかりやすく解説した。
邦丸「そもそもGDPって何ですか?」
村尾「GDPのGは英語でグロス(総)、Dはドメスティック(国内)、Pはプロダクト(生産)、日本語では国内総生産って言ってますけど、何のことかわかりませんよね?大雑把に言うと、例えば1軒のパン屋さんを想像して下さい。パン屋さんがパンを作るために小麦粉を40円で買ってきて、そのパンが100円で売れたとします。売り上げは100円、原材料費の購入が40円、差額の60円が粗利益となります。日本全国の色んな会社の粗利益を1年分積み上げたものがGDPとほぼイコールなんです。言い換えると日本全体の会社の売り上げから原材料費を差っ引いた額をGDPというんです。では、なぜこれが重要なのか?この粗利益の中からパン屋さんは従業員に給料を払い、新しいパンの製造機も購入します。役所に税金も納めます。それから将来のために貯金もします。私たちの給料も設備投資費も税金も全て粗利益が基本となって、そこから様々な経済活動が開始するんです。だからニュースで伝えられるGDPが上がった、下がったにみんな一喜一憂するんです。GDPっていうのは国単位でやるんですけど、『1人あたり』っていうのが付くと日本の人口は約1億2000万人ですので日本が生み出したGDPの総量を1億2000で割ったものになるわけです。その順位が昔、日本はトップクラスだったんです」
邦丸「アメリカに次いで2位だった時もありますよね」
村尾「それが今は38か国中22位。アイルランドは1人あたりの順位が2位、スイスは3位になってますよね。これらの国は国全体で見るとGDPの大きさはたいしたことないんですが、人口が少ないので1人あたりに換算すると大きくなる。一方、今、中国はアメリカに次いで2位のGDP大国なんですが、人口が14億人くらいいますので1人あたりのGDPは日本よりずっと下になってしまう。でも1人あたりのGDPっていうのは国の豊かさを象徴するものなので38か国中22位っていうのは、日本どうしたんだ!頑張らなくちゃいけないと思ってもいいと思います」
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