『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    リバース・モーゲージ、亡くなった後はどうなる?

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    リバース・モーゲージ、亡くなった後はどうなる?

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2024」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

★メールまとめ
リバース・モーゲージを使って、自分が亡くなった後、何が起こるのでしょう。

★メール本文
リバースモーゲージの利用を考えています。
ただ調べてもよくわからないのでお聞きしたいのですが、私と妻が亡くなったあと、何が起きるのでしょう。
すぐに回収業者が来て遺体や家財道具などを運び出し、解体業者が来て3日後ぐらいには更地になるのでしょうか。葬儀費用や廃品回収作業の代金などはどうなるのでしょう。子どもはいませんが、姪がひとりいます。
(町田市 オボちゃん 68歳)

リバース・モーゲージにも種類がある

そもそも「リバース・モーゲージ」って言っても、何種類かあるんです。まず「ノンリコース」って呼んでるものと、そうでないものがあります。どっちの場合も、たとえば1千万円借りて、家で返すんですけど。仮にこの家が2千万円で売れたとすれば、当然、余った部分は相続人の方がもらえる、という部分は同じです。問題は、1千万を借りたのに、800万円でしか売れなかったとき。その200万円をどうするの、っていうことなんです。これは原則、相続人の方が払わないといけない。ただ、そんな状態になったときは「放棄」って言って、「モノもいらないけど債務も引き受けません」って言っちゃえば、それで終わりということになります。ノンリコースの場合は800万でしか売れなかったらそこで終わり、残りの200万は面倒みなくていいんです。どっちにするかということなんですけど。

亡くなってすぐに回収業者は来ない

で、ご質問についてですが。基本的には相続人の方がいらっしゃれば、残っているお金を返済すれば、家を受け取ることができます。でも、「そんな家はいりません」という話になったらどうなるでしょう。抵当権を実行して「競売(けいばい)」というのはあまり高く売れないので、金融機関はその時点で所有権のある相続人に「普通に不動産屋さんで売りますけど、協力してもらえますか」と言います。そして売り主が申し出を受けて協力して売って処分ということになると、高く売れれば差額が売り主のものになります。でも相続人が「そんなの知らないから勝手にやって」ということになると、競売にかかって売られていく、ということになります。さすがにすぐ回収業者が乗り込んでくる、ということはありません。

ポイントは「連帯債務」にしておくこと

そもそも「リバース・モーゲージ」で、いくら借りられるのでしょうか。
住んだまま担保にして死ぬとき返す、という話なので、家の価値はあまり見てもらえません。基本的には土地の額。それもだいたい、半額ぐらいしか借りられません。
ここで注意しておきたいのは、二人で借りておくこと。連帯債務になっていないと、借りている方が亡くなった時点で出ていかなければなりません。連帯債務になっていれば、お二人が亡くなるまで住み続けることができます。いずれにしても、家の価値をもっと活用できるような仕組みになっていかなければいけない、と考えて「減価償却型」のローンなどの仕組みを作っているわけです。

今日は「リバース・モーゲージを借りて、亡くなった後に起きること」について考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。

大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』『生きづらい時代のキャリアデザインの教科書』など。

家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください

お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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