【お天気気象転結】松田道生さんを偲ぶ会
文化放送メールマガジン(毎週金曜日配信)にて連載中の「佳子・純子のお天気気象転結」。気象予報士の伊藤佳子記者・鈴木純子アナウンサーが、毎日にちょっと役立つお天気情報をお届けしています! この記事では全文をご紹介。
▼12月6日配信号 担当
鈴木純子
12月3日(火)東京でいろはかえでの紅葉といちょうの黄葉が発表されました。
いろはかえでは平年(11月28日)より5日遅く、昨年(11月29日)よりも4日遅い観測、いちょうは平年(11月23日)より10日遅く、昨年(12月1日)よりも2日遅い観測です。
気象庁では、大部分が紅色(いちょうは黄色)に変わり、緑色がほとんど認められなくなった最初の日を紅葉(黄葉)日としています。いずれも今年は例年より遅かったのですね。12月1日の上野公園のいちょうは見事に黄葉していました。
▲見事に黄葉したいちょう
実は私は土日、ともに上野におりました。
土曜日は国立科学博物館の鳥展と東京都美術館の田中一村展を見に行くため。そして日曜日は、文化放送「朝の小鳥」の収録、構成を長年つとめてくださった松田道生さんの一周忌を前に開かれた「松田道生さんを偲ぶ会」に出席するためです。
▲科博、初の「鳥展」
鳥展は、「一生分の鳥が見られる!?特別展」というキャッチの通り、信じられない数の鳥の標本が展示されていました。鳥展と田中一村展については、またの機会にじっくりと語れればと思いますが、鳥展が開催されているときに、松田道生さんの会が同じ上野の上野精養軒で行われるとは、幹事の方の粋な計らいなのか、ご縁を感じました。
▲上野精養軒の周りも紅葉が美しかった
松田道生さんは、蒲谷鶴彦さんから引き継ぐ形で2006年から2023年まで、文化放送「朝の小鳥」を担当してくださいました。
私がナレーションを担当したのは2019年からなので5年ほどではありましたが、松田さんに本当に良くしていただきました。穏やかで朗らかで、鳥のことならなんでもわかる方なので、収録のときには、身近で聴いた鳥の声や鳥の姿をお見せして、どんな種類の鳥なのか答え合わせをしてもらっていました。ちょうどコロナ禍で、松田さんはご病気のこともあり、外出はリスクが高いということで、長くリモートで収録に立ち会ってくださいました。物事をまさに俯瞰されていて、「コロナ禍も、後で振り返ればこんな時代もあったな。と思うはず」とおっしゃって、リモート収録の様子を笑顔で写真に収めてくださいました。
またコロナで娘の学校が休校になったり大変だったときに、松田さんからいただいた双眼鏡と鳥のガイドブックを持って近所の河川敷に鳥を見に行ったりしたことが、親子の癒しに繋がっていました。
▲向かって左から石川真紀アナウンサー、岡村正章さん、鈴木
「松田道生さんを偲ぶ会」には、日本野鳥の会、山科鳥類研究所、全国愛鳥教育研究会、日本バードカービング協会、出版社の方々など多くの方がお越しになっていました。文化放送「朝の小鳥」からは、松田さんから引き継いで現在収録、構成をしてくださっている岡村正章さんと、私の前に10年以上にわたってナレーションをつとめていた石川真紀アナウンサー、私の三人が参加しました。鳥を愛する門馬プロデューサーは生放送があり残念ながら参加できませんでした。岡村さんが皆さんの前で挨拶され、
「松田さんから引き継いで初めて書いた原稿を送ったとき、松田さんから
『胸がいっぱいで眠れなかったよ』と言っていただいた」
というお話を聴いたときには、私も胸がいっぱいになり、上を向いて涙をこらえました。松田さんは、ちゃんと引き継げたと安心されたのでしょうね。
また岡村さんは、松田さんから「朝の小鳥を引き継いでほしい」と言われたとき、ご夫婦で話し合われたそうです。生半可な気持ちでは引き受けられない。と思われたとのこと。話し合ったうえで引き受けてくださったこと、とても有難いです。
会には「松田さんにお世話になった」という方が沢山いらして、それもお世話になる度合いが、「松田さんのお蔭で人生が変わった」クラスのかかわりなのです。会場いっぱいの方々が思い出話に花を咲かせておられる様子を、きっと松田さんは鳥のようにちょっと上から微笑んで見つめてくれていたのではないかと思います。
岡村正章さんのお気持ちをじっくり伺うことができ、また石川真紀アナウンサーとも再会の機会を与えてくださった松田道生さんの会。松田さんの奥様にもお会いして改めて、文化放送「朝の小鳥」を大切にお届けしていこうと誓いました。
文化放送「朝の小鳥」は日曜朝5:15-5:20 Podcastもあります。
気象予報士 鈴木純子