【水谷加奈の劇場型恋愛体質】耳障りな耳触り
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文化放送メールマガジン(毎週金曜日配信)にて連載中のコラム「水谷加奈の劇場型恋愛体質」。水谷アナが、日々の生活で感じたことを心のままに綴ります。
―12月6日(金)配信分―
前回、同音異義語の読み方に関してこのコラムでお伝えしました。
考え始めたらホントに厄介な問題が多いなと思いまして。
たとえば耳障り。耳に障るわけですから耳障りが良いという言い方は間違い。耳障りな、耳障りだという使い方しかないのです。
しかし!耳触りという表記がある辞書もあるのです。しかも例文として耳触りの良い声と掲載していたりして…。
つまり手触り、舌触りと同じだという解釈ですね。
かの夏目漱石の【こころ】にも【その言葉の耳障から言うと、決して猛烈なものではなかった】と出てきていて、
耳障が耳触りの意味で使われているとのこと。
ただ我々アナウンサーは耳触りが良いと原稿に書かれていても、
「耳障りが良いは間違い。アナウンサーとして失格だ」
と思われたくないので
「違う表現にしてよいですか?たとえば耳当たりが良いとか耳に心地よいとか」
と意見したりするわけです。
言葉は意味も読み方も変わっていくものなので、その変化とうまく付き合っていかなくてはいけないのですが、
結局は聞いている人にわかりやすく【伝える】ことが一番大切。
そのためにはきちんと意味を理解して原稿を読む必要があります。
昼ニュースの前に【区市町村(くしちょうそん)からのお知らせ】という長文の原稿を何度も声に出して練習していたところ、
ニュースに出てきた当時の町村文部大臣をちょうそんと読んでしまったのは新人の頃の私です。
意味を理解しないで字面だけを目で追って読んでいたことによる失敗談です。もちろんしばらく報道から外されましたとさ。
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