日銀の「アメリカ経済を気にする日本の金融政策」の問題点

日銀の「アメリカ経済を気にする日本の金融政策」の問題点

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11月19日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、日銀の植田総裁が語る追加利上げについて意見を交わした。

自国の経済状況が中心でアメリカは参考程度なら分かるけど……

日本銀行の植田和男総裁が講演先で、追加利上げを念頭に「金融緩和の度合いを少しずつ調整していくことは、息の長い成長を支え、物価安定目標を実現していくことに資する」と述べた。

追加利上げの判断時期について、「先行きの経済・物価・金融情勢次第だ」とし、経済・物価情勢を見極めた上で判断する姿勢を強調した。その上で、「毎回の金融政策決定会合で経済・物価の現状評価や見通しをアップデートしながら、政策判断を行っていく」と語った。

(寺島アナ)「田中さん、この発言はどう受け止めますか?」

(田中氏)「株価の値上がりが好きな人もいるので言っておきますけど、今年の3月に日経平均は4万円台だった、それを持って“植田日銀の利上げは支持された”とか変なこと言う人もいましたけど、結局いま4万円以下をずっと経過しているわけです。しかも乱高下のふり幅が大きく上がったり下がったり。今日4万円でも明日3万8千円になっても全然不思議じゃない」

田中氏はその背景に植田総裁による日本銀行の金融政策を指摘する。

(田中氏)「植田さんの記者会見の要旨も見ましたけど、アメリカ経済をすごく気にしているんですよ。常識的な範囲、自国の経済状況が中心であってアメリカは参考程度なら分かるんですが、話を聞くとアメリカ経済の先行きに非常に重きを置いている印象でした。結局は為替レートを見ると暗に強調しているんです。“インフレ目標達成のために為替レートの利用もあり”という議論もたしかにあります。でも今みたいにインフレ率が徐々に下がっていくなかで、利上げをしつつアメリカとの関係である為替レートを同時に見る、という訳の分からない姿勢で為替レートを参考にしてインフレ目標を達成するなんて、そんなアクロバティックなこと言っている経済学者は日本にしかいませんよ?残念ながら私の尊敬すべき人が言っていますけど、考えを改めた方がいいです」

田中氏は日本の実体経済と日銀の方針の温度差を指摘。

(田中氏)「実体経済を見て欲しい。いま企業の倒産件数が増えて、さらに企業のコスト高を自分たちの売る商品の値段に転嫁することができなくなっている。それは明らかにデフレ型経済なんです。コストをちゃんと価格に載せないと、切っていくのは人件費です。そういったデフレ型経済が徐々に忍び寄るなかで植田さんが何を言っているかというと、“アメリカを見ろ”と。ボーイズビーアンビシャスじゃないんだから。もうけっこうな年齢なんだから自分の国内を見ろ、と言いたいです」

 

〈出典〉
日銀の植田和男総裁、追加利上げは「物価安定目標の実現に資する」…「米でインフレ再燃リスクも」 | 読売新聞 (https://www.yomiuri.co.jp/economy/20241118-OYT1T50078/)

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