「自公過半数割れ、変わる国会の風景」
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文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。
衆議院選挙で与党過半数割れとなった影響を受け、衆議院で17ある常任委員長のポストは選挙前の「与党15、野党2」から「与党10、野党7」になった。このうち、国政全般について議論する予算委員会の委員長のポストには立憲民主党の安住前国会対策委員長が就任。野党議員が予算委員長を務めるのは1994年以来30年ぶりのことだ。
野党の存在感が増した国会の状況について立憲民主党の野田代表は15日、今後は従来のように政府与党が決めた国会カレンダー通りには動かないと指摘した上で、「国会の表舞台で審議し、国会審議が実質化するという新しい国会の風景を作り出していく」と強調した。
特別国会の衆議院本会議で、議長席の正面を陣取ったのは第2会派の立憲民主党だった。
議場での議席位置は、慣例で議長に向かって左の席から数が多い会派から順に割り振られるためで、選挙で単独過半数を割り込んだ第一会派の自民党は議長正面の席を失うことになった。
議席の位置は、当選回数が若い議員は前の席が指定されるのが慣例となっているが、今回、参議院から鞍替えし、無所属で和歌山2区から出馬。世耕弘成氏は、衆議院では初当選。最前列に座るのかと思いきや、当選回数が多い議員が座る後方で、当選10回の高市早苗氏の右隣の席となった。自民党会派入りしたとはいえ、無所属状態の世耕氏。参議院での功績や62歳という年齢などを配慮したためだろうか。ちなみに高市氏の左隣は、裏金問題を受け自民党非公認で選挙を戦った平沢勝栄氏。この議席位置についても様々な憶測を呼びそうだ。
風景が変わったのは各政党・会派に所属する議員数に応じて割り当てられる国会内の控室も同様だ。
控室の総面積は約2488平方メートル。衆議院議員の数は465人で単純計算すると、1人当たり約5.5平方メートルとなり、改選前から56議席減らした自民党は控室の面積が約2割減り、その部屋は議席が増えた野党側会派の看板へと架け替えられる。部屋数が減ることについて自民党議員は、「控室の広さと数は力の象徴。選挙で負けた実感がわいてくる」と肩を落とした。
改選前より50議席増となった立憲民主党は、自民党が使っていた総務会長室と政調会長室、政調事務局の部屋を獲得。れいわ新選組も、選挙前は無所属の会と狭い部屋を共同で使っていたが、9議席に増えたことで単独の部屋を確保。
一方、議席4倍増となった国民民主党は、自民党が2012年の政権復帰後から国会対策などに活用してきた部屋の約半分と日本維新の会が記者会見として使っていた場所を得たが、自民党とは控室が隣になることで、国民民主党と自民党との距離感はさらに縮まるのではないかと早速、邪推されている。
移動対象となった控室では、現在片づけの真っ最中。今後、室内の工事などを経て、各政党・会派がそろって新しい部屋でスタートを切るのは来年の通常国会からとなりそうだ。