箱根駅伝 第100回大会ハイライト実況

箱根駅伝 第100回大会ハイライト実況

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大正9年に始まった箱根駅伝が、戦禍を乗り越え、迎えた第100回――。記念大会として開催された今大会は、関東以外にも門戸が開かれ全国化された予選会から通常より3枠多い13校が本戦出場権を獲得し、シード校とあわせて23校が出場。
1月1日の能登半島地震を受け開催を危ぶむ声もあった中、1月2日午前8時、色鮮やかな23本の襷がスタートを切りました。

今大会、注目は駒澤大学でした。史上初の2年連続3冠を狙う駒澤大学は、ここまで史上最長タイの学生駅伝5連勝中。また、前回99回大会の4区から三大駅伝で先頭を走り続け、21区間先頭で襷リレーを継続する中箱根を迎えています。

駒澤の1区は篠原倖太朗(3年)。チームの勢いそのままに、18km手前、ともに先頭を走っていた駿河台大のスティーブン・レマイヤン(1年)を六郷橋の上りで突き放すと、そのまま区間賞を獲得。篠原は1区歴代2位の好タイム、トップでの襷リレーでした。王座奪還を目指す青山学院大学は36秒差の9位。10年ぶりに箱根路に返ってきた松葉緑のユニフォーム・東京農業大学は高槻芳照から並木寧音へ、ともにチームを引っ張ってきた4年生同士の襷リレー。優勝候補の一角・中央大学はエース級の溜池一太を1区に配置しましたが、19位と出遅れました。

2区でも駒澤は独走。キャプテン鈴木芽吹(4年)は一度も他の背中を見ることなく、1時間06分20秒と歴代9位の好タイムをたたき出し、トップで3区へ襷リレーしました。しかしこの2区、鈴木よりもよかったのが青山学院大学・黒田朝日(2年)でした。9位でもらった襷を2位まで押し上げ、トップ駒澤から22秒差で襷リレー。黒田は鈴木をもしのぎ、歴代4位(日本人2位)の1時間06分07秒と驚異的なタイムで区間賞を獲得しました。中央大学・吉居大和(4年)は区間15位、チーム17位で襷をリレーし、学生三大駅伝を走り終えました。

3区では駒澤大学と青山学院大学の激しい先頭争いが繰り広げられます。学生長距離界最速ランナー、駒澤・佐藤圭汰(2年)から22秒差でスタートした青山学院の駅伝エース・太田蒼生(3年)は、序盤から突っ込み驚異的な追い上げで7kmすぎに佐藤圭汰の背後にぴったりとつくと、抜きつ抜かれつをしながら並走を続けます。10km以上続いた競り合いを制したのは太田蒼生でした。18kmすぎにサングラスを外すとロングスパートをかけ、佐藤圭汰を突き離し、笑顔で襷リレー。太田のタイム59分25秒は史上2人目の60分切りで、イェゴン・ヴィンセント(2020年、東京国際大)の記録に次ぐ歴代2位の快記録でした。

徐々に雨が強くなった4区、トップを走り続けたのは青山学院の佐藤一世(4年)。佐藤は歴代7位の1時間01分10秒で走り切り、区間賞を獲得しました。4秒差でスタートした駒澤・山川拓馬(2年)は佐藤の快調なペースについていくことができず、区間6位と粘りながらもその差を1分26秒まで広げられてしまいました。
城西大学は3位を守ったままエースが待つ5区への襷リレー。東洋のエース・松山和希(4年)は区間2位の走りで順位を1つ上げました。中央大学のキャプテン・湯浅仁(4年)はチームの悪い流れを断ち切る区間3位の好走でチームを18位から13位へと押し上げました。区間4位は二宮が地元の國學院・辻原輝(1年)、初の三大駅伝出走で故郷に錦を飾りました。5000m高校記録を持つスーパールーキー、順天堂・吉岡大翔(1年)は区間8位。また、中央学院の黒岩勇禅(2年)は同校陸上部OBの父から給水を受け、区間6位で走り切りました。

山上り5区でも青山学院は強さを見せます。若林宏樹(3年)は区間2位の走りで、2位駒澤との差を2分38秒まで広げ、2年ぶりの往路優勝を果たしました。往路タイム5時間18分13秒は、96回大会で同校が記録した5時間21分16秒を3分以上上回る圧巻の往路新記録でした。
駒澤も往路新記録の5時間20分51秒で2位。3位には往路最高記録となった城西大学。城西は“山の妖精”山本唯翔(4年)がかつてほぼ同じコースで今井正人が記録した1時間09分12秒にせまる1時間09分14秒で、自らの区間記録を32秒更新する区間新記録を樹立しました。
青山学院の圧倒的なタイムを受け、10分以上の差が付いた復路一斉スタートのチームは史上最多タイの16校となり、シード圏内8位の大東文化大学すらも一斉スタートとなりました。

1月3日午前8時。雨上がりの箱根・芦ノ湖をスタートしたフレッシュグリーンの襷は、この6区も快走。箱根初出走・野村昭夢(3年)が区間2位の走りで2位駒澤との差を広げました。6区の区間賞は往路9位で一斉スタートとなった法政大学、武田和馬(3年)。3度目の山下りで初の区間賞獲得、チームの順位を7位に上げました。また、中央大学の浦田優斗(3年)が区間5位の走りでチームをシード圏内10位に、創価大学・川上翔太(1年)はかつて兄が走った6区を区間3位で駆け抜け、チームを5位まで押し上げました。

エース級のランナーが多く配置された7区で区間賞を獲ったのは中央大学・吉居駿恭(2年)。中央は箱根前に体調不良者が続出しチームとしては万全で挑むことができなかった箱根路でしたが、この7区で意地を見せました。体調不良からの不調で一時は箱根メンバー入りが危ぶまれた帝京大学・小野隆一朗(4年)は最後の箱根で区間2位。のちのシード獲得に大きく貢献する走りを見せました。
一方、箱根予選会日本人トップの東京農業大学・前田和摩(1年)は区間13位の箱根デビューとなりました。

独走を続ける青山学院大学は8区・塩出翔太(2年)と9区・倉本玄太(4年)が続けて区間賞を獲得。この2人は世羅高校出身の先輩後輩同士。「襷をつなごう」と語り合った仲でした。また、倉本にとっては最初で最後の箱根路で、父と交わした箱根出走の約束を果たしました。
青山学院は9区終了時点で2位駒澤との差を6分23秒まで広げ、優勝を確実のものにしました。

一方、熾烈を極めたのはシード争い。6区、7区でシード圏内に入っていた中央大学は8区・阿部陽樹(3年)が体調不良の影響があり区間22位、シードを確実にする配置と思われた大東文化大学も8区、ピーター・ワンジル(3年)が区間23位と苦戦。帝京大学は7区小野の区間2位に続き、8区の島田晃希(2年)が区間8位でチームをシード圏内に押し上げました。
9区終了時点で、シード圏内10位の東海大学から、11位大東文化が4秒、キャプテン・山本雷我(4年)の5区での好走が光った国士舘大学は12位で34秒差、13位の中央大学1分09秒差と、勝負はアンカー区間に持ち込まれました。

優勝は3区からトップを譲らなかった青山学院大学。往路、復路ともに優勝で、総合10時間41分25秒の大会記録で2年ぶり7度目の優勝を果たしました。「2年連続三冠」の偉業に挑んだ駒澤大学は2位、3位には大学史上初の箱根表彰台となった城西大学でした。

10区で岸本遼太郎(2年)が区間賞を獲得した東洋大学は4位。10年ぶりの箱根路を駆けた東京農業大学は22位でした。

白熱したシード権争いをものにしたのは大東文化大学でした。10区佐々木真人(3年)が順位を1つ上げ10位で大手町のフィニッシュに飛び込むと、仲間と抱き合い涙。一方、東海大学が10区で順位を落としシードを逃す結果となりました。国士舘大学はシード権の見える位置で戦ったものの総合12位、体調不良者が続出した中央大学は総合13位、往路10位だった順天堂大学は復路で順位を落とし総合17位となりました。

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