製造業が円高で減益。森永康平氏「円高・円安に対する報道が適当すぎる!」
11月13日(水)の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、水曜コメンテーター・経済アナリストの森永康平氏と番組パーソナリティの寺島尚正アナウンサーが、円高で製造業が減益となっているというニュースについて意見を交わした。
今後の日本の景気の行方は、トランプ次期大統領の政策にかかっている。
東京証券取引所に上場する企業の2024年9月の中間決算が大詰めを迎えている。夏場に外国為替市場で円高に傾いたことや、中国の景気低迷の影響などを受けて、製造業の苦戦が目立っている。アメリカのトランプ次期大統領が打ち出す政策による影響も懸念され、先行きの不透明感が強まっている。SMBC日興証券の集計によると、11日までに決算を発表したTOPIX採用企業988社、金融を除く全体の77%の最終利益の合計は、前の年の同じ時期に比べ6.6%減と、4年ぶりに減益となった。また、製造業が10.4%減、非製造業が1.7%減だった。外国為替市場で8月から9月に円高ドル安が進み、9月に一時1ドル139円台をつけた。円高は海外で稼いだ利益を円換算で目減りさせ、業績を下押しする。製造業の減益は自動車などの輸送用機器が3割減となったことが主な要因という。
自動車は認証不正問題による販売台数の減少、米・中など海外市場での価格競争が激化した影響も大きかったとしている。
寺島尚正アナ「円高を要因とする製造業の減益。森永さんはこれはどうご覧になりますか?」
森永康平「これはですねえ、本当に報道が適当すぎると思うのがですねえ、ちょっと前までは『悪い円安だ!』と叩きまくってたのに、円高に振れると今度は『減益だ!』と騒ぎだして、どっちがいいの?っていう話ですよね。どうせ足もとではまた円安が進んでるわけですから、そうするとまた業績が上振れするわけで。じゃあその時には『やっぱ円安で良かったね』っていうのかと思ったら、どうせそうなったらそうなったで、『悪い円安が!』『国益が!』っていうわけですよね(笑)。どうなってんの?っていう……まあ、立場によって、為替の考え方っていうのは全然違うわけですよ。そりゃ製造業で見たら『円高になったら利益が目減りしますよね』って話になりますし、国のマクロ全体で見たら円安の方が結果的に税収だって伸びてるし、GDPだって伸びるわけじゃないですか。これをひとつの立場からすべてを語るっていうのが、明らかに間違っているということが、こういう報道で皆さんわかるんじゃないかな?と思います」
寺島「で、足もとでは再び円安、現在(午前8時現在)見ると1ドル154円64銭ぐらいですね。円安ドル高に振れていて、海外で事業を展開する企業の追い風となりそうです。SMBC日興証券の集計によると、2025年3月期の最終利益見通しの合計は、前の期に比べ4.2%減、中間期から下げ幅が縮小する見通しだということです。アメリカのトランプ次期大統領が掲げる関税引き上げなどの政策が、日本経済に影響を与えるおそれもあるということですが……今後の為替、これはどう推移していくんですかね?」
森永「これはトランプさんの政策が、何を実行して、何は実行しないのかということにかかってくると思うんですが、基本的なスタンスとしては『円安ドル高けしからん』という話なので、円高誘導をこっちに要求してくるかも知れないですし、パウエルさんを再任せず、もっとハト派な議長を選んで利下げを迫るかも知れないですね。その一方でトランプさんがやろうとしている関税だったりとか、移民抑制だったりとか、そういうものっていうのはすべてインフレ政策なので、そうすると金利を下げられないですから、ドル高が続いてしまうわけなんですよね。トランプさんがいっていること、思考していることと、マニフェストとして掲げたこと。このバランス、どれをやってどれをやらないかによって結構このドル円相場が変わって来ると思いますね」
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