「自公過半数割れ ~ 一強が終わり、混迷の国会が始まる」
文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)
その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。
文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。
15年ぶりの与党過半数割れとなった衆議院選挙後、連日テレビ番組にはしご出演し、一躍、時の人となっている国民民主党の玉木代表だ。
自民党・公明党の勢力と立憲民主党、どちらも衆議院で233の過半数を得られず、11月11日にも予定される特別国会での首班指名選挙で国民民主党が誰の名前を書くのか、が注目されているからだ。自民党総裁の石破総理も、立憲民主党の野田代表も玉木代表に秋波を送るが、将棋に例えると「勝負は詰んだ」と言える状況にある。
玉木代表は、10月29日の記者会見で、改めて「(自公の)連立入りはない」と述べた上で「選挙で約束した手取りを増やす、国民の懐を潤す経済政策の実現を」と強調。選挙で掲げた年収103万円の壁の引き上げや、ガソリン税のトリガー条項凍結解除を条件に、自民党に部分的な協力をする方針を固めたとみられる。この時点で、野田総理の誕生の芽はほぼなくなったといえよう。
103万円の壁も、トリガー条項凍結解除も、選挙前の自民党にとっては絶対にのめない案件だったが、過半数割れで事情は大きく変わった。「政権を守るためだったらなんでもやる」と、下野を何度も経験した自民党ベテラン議員は言う。
その政権に、国民民主党は参加することを明確に否定している。議席を4倍増させ、617万の比例票を獲得しながら、自公に下手なすり寄り方をすれば、来年の参議院選挙でしっぺ返しを食らうのは目に見えている。さらに微妙な立場でキャスティングボートを握り続ければ、来年夏の参議院選挙まで存在感を維持できるという思惑もあるようだ。
しかし野党のある幹部は「永田町はそう甘くない」と指摘する。現在、自公で過半数まで足りないのは18議席。首班指名までは日が足りず、18議席を埋めることは至難の業だが、自民党はこの先、確実に他の政党に所属している議員や無所属の議員を一本釣りし、過半数まで増やすことをしてくる。そうなった時点で国民民主党は用済みとなる可能性があるという。
自民党と国民民主党、それぞれ思惑通りに進むのか・・・
立憲民主党も野党第一党の意地をどこまで見せるのか・・・
まさに永田町は、一寸先は闇。この先、何があってもおかしくない。