『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    株価下落でも新NISAは大丈夫?

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    株価下落でも新NISAは大丈夫?

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2024」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

★メールまとめ
最近、驚くほど株価が下落していますが、新NISAをうまく活かす方法ってありますか?

★メール本文
政府は新NISAで投資を勧めているようですがここ数日、悲しいぐらいに株価が落ちています。よく考えてみると、株価って上がることも下がることもあるんですよね。新NISAをうまく活かす方法ってあるんでしょうか。相場ものはシロートは手を出さないほうが良いのでしょうか。

(船橋市 さとうあつし)

どこで税金をかけるのか
NISAって、株などが値上がりしたときに課税されないという仕組みなんですけど、割と株が上がらないときに導入されたんですね。本来は、金の積み立て方の一種なんです。
年金の積み立て方って2つあって、1つは税金払う手前で積み立てちゃって、その代わりもらうときに税金がかかるんだけども、その時は年収が低いから、結局どっちにもかからない…という後から課税のタイプと、それからNISAみたいに自分で所得税払ったあとのお金を貯めるんだけど、もらうときに値上がりした分とか利息とかには課税がされない、後から非課税っていう、この2種類があるんですね。
アメリカではそれをちゃんと両方、用意するんです。

NISAとIDECO導入の背景
日本では最初に課税しない方は「年金」ということになっていて、厚生労働省の管轄です。一方、NISAは株価対策なので金融庁ですが、「対策」だから時限立法っていって、ある程度時間が経ったら終わりにすることになっていたんです。
それが最近、恒久措置ということになって、ずっと続くようになりました。前の方はiDeCo
ってやつなんですけど、これも60歳以上でもやれるようになってきました。おそらく公的年金の支払いを、ずっと遅らせたいからだと思います。
それでこの2つを上手に使うと、人生100年時代の収入源として、いい感じになってるということなんですけど。

株は上がり過ぎだと思う
それにしてもちょっと株は上がり過ぎだと思います。この20年ぐらい見てみると株は2,3倍になってます。でも経済成長は全然、棒で線を引いてみたいに横這いでしょう。給料はそれどころか下がってるんですね。昔は、経済がすごく良くなって、企業が儲かって、株が上がって、給料も上がって、…というのが普通だったんですけど。でも、株だけが上がってるっていうのは…。

悪いことではないけれど
株って、儲かったお金から費用を引いたものなので、それが上がるからって、全体が儲かってるとは限らないんです。それで、経済はどう見ても伸びてないのに、株だけ倍になってる。おかしいでしょう? やっぱり、無理して株を上げている。株は一番上げやすいんです。
実は政策の中で、株を上げるやり方が一番たくさんあるんです。マーケットですので、うまくやれば、株価を上げることはできるんですね。それを安倍さんのときからやってきてる。悪いことじゃないんですよ、それ以外に上げるものがないんだから。上がっていけばそれはそれでいいんですけど。後ろにいろんなものがついてきてないので。やっぱりどこかで、ちょっとしんどくなってきているのが、いまの状況ではないでしょうか。

円安は国の実力差の問題
為替が円安になるのはそういうことなんです。円安になるのは、日本はまだ不景気だから上げられないのに、アメリカが上がるから…って言ってますけど、国と国との実力の差でも、為替って決まるんですよね。だんだん国の実力がたいしたことないので円安になってるって感じが強くなってきていて、一過性のものでもなくなってきています。
そういう中でNISAとどう付き合うか。株は上がったり下がったりはするものなので、長い目で取り組んでいくしかない、ということだと思います。

今日は「新NISAとの付き合い方」について考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。

大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。

家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください

お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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