「もう勘弁してもらいたいですね……」訪日外国人客数、早くも2023年通年の水準を上回る
10月17日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、訪日外国人の消費額と客数に関するニュースについて意見を交わした。
藤井氏「それだけの観光客を受け入れる容量が日本国家にはないんだから、来てもらっても寧ろ迷惑なんですよね」
訪日外国人の消費額と客数について、1〜9月の累計が2023年通年の規模を上回った。観光庁がまとめた訪日外国人消費額は1〜9月で5兆8582億円となり、同期としては去最高になった。国・地域別にみると消費額が最も多かったのは中国の5177億円で、全体の3割を占めた。2位は台湾の2844億円だった。3位は韓国、4位は米国となった。
7〜9月の1人当たりの旅行支出は22万3000円。円安が追い風となり、19年同期の16万3000円と比べ4割高かった。
寺島アナ「訪日客の消費額と客数が、2023年通年の規模を上回ったという記事なんですが、藤井さん、これは何を感じるでしょうか?」
藤井氏「もう勘弁してもらいたいですね。それだけの観光客を受け入れる容量が日本国家にはないんだから、来てもらっても寧ろ迷惑なんですよね。来てほしくないですね」
寺島アナ「オーバーツーリズム(観光公害)ね?」
藤井氏「オーバーツーリズムの問題もありますから。だって、道路だってたくさん車が来たら混むし、通勤電車だって乗客が増えたら通勤地獄になるし、それと一緒ですよね。だからちょっと来てもらうのは勘弁してもらいたいですよね」
訪日客は月に300万人前後で、関連消費も盛り上がりが続いているという。中国からの訪日客は65万2300人で前年同月からほぼ倍増。地方路線の増便で来訪者が増えた。
7〜9月の消費額を詳しく見ると全体のうち宿泊費が33.7%を占めた。飲食代が21.9%、娯楽などのサービス費は4.7%だった。欧米からの観光客が増えてコト消費が活発になっているという。
買い物代は28.9%の5622億円。比率は19年同期の33.2%よりも低下はしたものの一定のボリュームがある。日本での買い物を好む中国客が回復している。
政府は24年に訪日客数3500万人、消費額8兆円が視野に入るとみている。今後も訪日客数を伸ばし、消費を盛り上げるためにはオーバーツーリズム対策を進め一部地域への集中を解消することや、地方により消費単価の高い訪日客を誘致することが欠かせない。
寺島アナ「地方により消費単価の高い訪日客を誘致することが欠かせないとは言っていますが、うまくできるかどうかってところもありますね」
藤井氏「この8兆円の消費を拡大するのに日本中でめちゃくちゃ苦労しているわけですよ。英語を喋らなあかん、韓国語・中国語を書かなあかん、でも掃除もせなあかんし、いろいろな対策もせなあかんわけですけど、消費税を3%下げたら8兆円なんてすぐ増えるわけですよ、消費が。なんでそれせぇへんねんっちゅう話ですよね」
寺島アナ「個人的に心配なのは、海外客が多くて、行こうかなと思っていた本来の国内客が躊躇してしまわないのかっていうのがね?」
藤井氏「いやぁ、そうですよ。だって、実際に京都ではもう『生活しにくくなったから引越しする』なんていう声もありますからね。外国人が多すぎて、みたいな。住んでいる人がどっか行っちゃうんだから」
寺島アナ「暮らしづらくなっちゃったから……」
藤井氏「そうそう。観光客が逃げていくんじゃなくて住んでいる人が逃げていっちゃうっていう」
寺島アナ「じゃあ未来永劫で観光客が増えるかって、そういうことでもないでしょうしね? 街が壊れていくっていうことになりますもんね」
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