ノーベル化学賞、AI研究者ら3人へ 藤井氏「ニヒリズムなノーベル賞だなと感じましたね」
10月10日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、2024年のノーベル化学賞に関するニュースについて意見を交わした。
藤井氏「ノーベル賞も資本主義によって汚染されて歪められたんかなっていうふうに思いましたよね」
爆発的に普及が進む人工知能(AI)に、2日連続でノーベル賞が贈られることになった。ノーベル化学賞には米ワシントン大のデイビッド・ベイカー教授と、英グーグル・ディープマインド社のデミス・ハサビス最高経営責任者、同社の研究チームのジョン・ジャンパー氏の3人を選んだと発表した。
ハサビス氏とジャンパー氏は「アルファフォールド」と呼ばれるAI=人工知能モデルを開発した。たんぱく質は種類の異なる複数のアミノ酸がつながり、さらに複雑に折りたたまれることによって機能するが、その立体構造の解明は長年にわたり、難問とされてきた。
「アルファフォールド」はすでに形がわかっているたんぱく質のアミノ酸のつながり方をAIに学習させることで、折りたたまれた状態の立体構造を高精度に予測することができ、これまで、多くの研究者が特定した2億個のたんぱく質の構造を予測することに成功した。
開発したグーグルの存在感を示した一方で、科学研究の世界でもAIや、「ビッグテック」と呼ばれるIT大手との向き合い方が問われ始めている。
寺島アナ「『ノーベル賞ウィーク』と呼ばれますが、その日その日で色々決まってきますね。今回、お伝えした通り、人工知能にノーベル化学賞が贈られることになったということです。AIの進化でノーベル賞もかなり様相が何か変化してきているっていうことなんでしょうかね?」
藤井氏「どうなんですかね。僕は古いタイプの研究者だからかもしれませんけど、世の中の真実っていうのは、宇宙ができて百億年とかで、これからも何十億年も何百億年も……まぁ宇宙の未来はわからないですけど、それだけの悠久の時間の中で、そこには神から与えてもらった真理というものがあって、人間というのは盲目のような存在だけれども、それでも全知全霊をかけて研究を重ね、神が与えたこの宇宙に埋め込んだいろんな真理を発見していくわけですよ。それが真理かどうかっていうことはわからないから、発見されてから20年くらい置いといて『やっぱりこれは真理としか言いようがないよな』というものについてノーベル賞を与えるというのが僕のイメージ。で、これは多くの研究者が持ってるイメージで、場合によっては多くの一般の国民の方も持ってるようなイメージだと思うんですけど。AIって要するにあれでしょ? めっちゃ速いコンピュータ使って、新しいアルゴリズムを開発して『こんなんできましてん〜』って話でしょ?アホちゃうかって思いますよね。いや、すごいことですよ? ぼくはシミュレーション研究やってるからよくわかるんです、こういうの。数学的に問題を解くときは二つの方法があって、解析的に解く方法と数値的に解く方法っていうのがあるんですよ。僕はまぁどっちかっていったら、数値的に解く方法をたくさん研究やっていましたけど、ちょっとバカみたいな研究だなとは思ってましたよ。でも、それは役に立つからやっているだけで、そういうものっていうはノーベル賞の対象にはしないんですよ。ところが、これはそっちに(賞を)やってしまってるわけでしょ? 要するにAIって資本主義のものじゃないですか。だからもうノーベル賞も資本主義によって汚染されて歪められたんかなっていうふうに思いましたよね。無宗教的なニヒリズムなノーベル賞だなと僕は感じましたね」
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