解散総選挙の前倒しで批判も。石破茂内閣の現状を武田一顕が解説
野村邦丸アナウンサーがパーソナリティを務めるラジオ番組『くにまる食堂』(文化放送・月曜日~金曜日9〜13時)10月2日の放送にジャーナリストの武田一顕氏が出演。「国会王子」の異名も持つ名物記者でもある武田氏が、始まったばかりの石破茂内閣の動きについて解説した。
野村邦丸(パーソナリティ)「石破茂内閣がスタートしました。総裁選を経て石破さんに対する期待はけっこうあったけれど、第一に衆議院を解散して選挙をやるんだ、と。日程について、論戦を経て11月ごろに総選挙、といわれていたけどそうじゃない。話が違うじゃないか、ということで石破さん、ずいぶんと叩かれています」
武田一顕「石破さんが(首相に)なったとしても11月中の総選挙、というのが既定路線だったわけです。なんで2週間早くしたかというのを私もきのう取材しました。1つは予算案です。来年度予算案を組むのに、12月には閣議決定しなければいけません。いま役所が組んでいるのは岸田(前首相)さんのままの予算ですから、組み替えるために1日でも時間がほしい、少しでも早いほうがいい、ということで2週間。11月3日は祝日ですからできない、ということで10月27日に早めた、と聞いています。もう1つ、11月10日は天皇陛下のご日程があって、それも影響したと聞いています」
邦丸「はい」
武田「ただいちばん大きかったのは、自民党内が1日でも早く選挙をしてくれ、という勢いだったこと。『孫氏の兵法』にも“戦に勝つには勢いをつくることだ”という文章があるんですけど、勢いがグワッと盛り上がるとそれに抵抗することができない。石破さんは本来、正論を語ることによって、自民党の中では人気がないけど国民には人気があった」
邦丸「はい」
武田「その石破さんの正論が党内の俗論、俗な論議に押し倒されて、解散を前倒しせざるをえなくなった、というのが実情です」
邦丸「苦渋の決断なんですか?」
武田「予算委員会を行う、と総裁選の間は言っていましたから。石破さんとしてはもう少し遅くしたかった。でも党内がそういう勢いになってしまうと止められなかった」
邦丸「少し遡って自民党総裁選挙。武田さんもずっと取材をされていてました。直(じか)当たりした武田さんからすると、ドロドロした総裁選の結果はどうでしたか?」
武田「私も恥ずかしながら高市(早苗)さんが当選すると思っていました。特に最終盤の10日間ぐらい、高市さんの勢いがすごく伸びていた。それから1回目の投票で議員票も党員票も石破さんを上回った。だから驚きでした。なんで逆転したかというと、自民党の関係者が言っていたんですけど……」
邦丸「誰、誰(笑)?」
武田「閣僚経験者です。その人は高市さんが1回目の投票で1位になったとき、『あ、これで中国と戦争になるかもしれない』と思った、と言っていました。高市さんは中国に対して非常に強い態度です。秋の例大祭が今月、靖国神社であり、そこでもいままでどおり行動する、つまり参拝するかもしれない、と言ったわけです。しかし終戦記念日であれば事実上、来年の8月ですから1年余裕がある」
邦丸「はい」
武田「例大祭となると1週間か2週間で参拝して中国や韓国との関係、経済もガタガタになる。アメリカとの関係もどうなるかわからない。その閣僚経験者は『石破もイヤだけど戦争になるよりはまだいいだろう』と入れた人はかなりいるのではないか、とみています」
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