『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 定年後再雇用で給料半分は理不尽か
情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。
この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2024」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。
★メールまとめ
定年後、再雇用で働いてます。仕事ができない新人より給料が安いのは、どう考えても理不尽に思えるのですが。
★メール本文
定年後、再雇用で給料が半分になりました。なのに仕事が増えてます。一方、新人さんは初任給が30万近いとのウワサ。間違いなく私より稼いでます。でも、仕事は全然できません。理不尽です。
世の中、こんなものなのでしょうか。
(三鷹市 五木の子守ブタ (62歳))
「ジョブ型」ではない日本
確かにどうなんでしょうねえ。定年までたくさん払ってやったから、っていうことなのかなあ。日本の会社がおかしいのは、「ジョブ型」っていって、「仕事なりの給料」っていうことになってきても、入口だけがそうなってないことです。だって大学生に「ジョブ型」とか言っても、何もできないから。だからそこだけはガバッと、これまで通りに採用してますよね。そのあと7,8年ぐらいかけて、育てていくところまでは、しようがないから会社がやっていく。そこから、昔はみんな家族みたいにして地位も給料も上がっていってたんだけど。今はもう途中で「あなたはこれができる。けどほかはできないから、これなりの給料」って、だんだん脱落していって、それで最後までずーっと残ってた人が偉くなる、そんな風になってきている。それで、給料に関していえば、期待料込みの金額になっているんだと思います。今はすぐ転職しちゃうから、それを防止したいというのもあるでしょう。
定年後の再雇用で給料が減る理由
定年後、給料が半分になっちゃうっていうのは、結局、仕事に給料がついてないからなんです。部長とか課長とかポジションに給料がついてるから、ポジションがなくなっちゃうと減る。肩書がなかった人も半分になっちゃうのは、「部長待遇」とか「部付部長」とかっていうケースが多いんだと思います。給料が高い時は「待遇」になってるんです。それもおかしいんですよね。本来「これをやるからいくら」なんだけど、今でもけっこうな会社がまだ、定年前の最後の給料はそういう「職位」「役職」に連動している。だから銀行なんか行くと、一つの部に部長の名刺を持ってる人が10人くらいいる。だから「ホントの部長はどの人ですか」とか確認しないとならない(笑)。そうなってるから、定年後の給料が減っちゃうんです。再雇用はそういう肩書が一切なくなるからね。
本当は「定年」の制度そのものがおかしい
そういう意味では「定年」があることがおかしいんですよ。でも、最近思うんですけど、もっと良くないのはね、そうやって長年、会社で過ごしてくると、ホントに手に職がつかない。それで給料が急に減って文句を言うと「じゃあお前何ができるんだ」って言われる。でも、それって卑怯ですよね。だから、早めにそうなるんだったら(笑)、さっさと「何ができる」の方をがんばってやっとけば、それなりに納得できると思うんです。会社もそんなことになると思ってなかったんで、みんなしておかしくなってるんですけど。
若い人は「会社」をどう考えているのか
若い人って、こういう現状をどういう風に見てるんでしょうね。一つの会社にずっといたくないっていう子が多いし、すぐ変わっちゃう子もいるしね。3年も経つと入ってきた子がほとんどいない会社もあるらしいけど、本当はそれもおかしい。転職のエージェントは会社を変えてもらわないとお金がもらえないから、「こっちのほうがいいよ」とかやるんだろうけど。だからちょっといま「踊り場」っていうか、働きづらくなってるような気がする。子守ブタさんが男性か女性かわかりませんけど、やっぱり年取ると男は使いづらいと思います。私は男だから言うんですけど、そこに妙なプライドがあるというか。それにしても、本当の「ジョブ型」になるまで、これからどのぐらいかかるんでしょうね。僕らのころからこういう割を食う感じはあったんですけど。ずいぶん年月が過ぎたけど、まだ同じ感じですもんね。
今日は「定年後の給料半分」について考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。
大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。
第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。
東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。
家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。
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パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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