『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)所長・古田貴之さんと、人工知能のこれからを考える[後編]

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)所長・古田貴之さんと、人工知能のこれからを考える[後編]

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金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司(青山学院大学教授)さんと、フリープロデューサー残間里江子さんが、楽しいセカンドライフを送るためのご提案をお届けする番組『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』。

この記事では、「大人ファンクラブってどんな番組?」という方のために、コーナー「大人ライフ・アカデミー」をもとに作成された大垣さんのレポートをお届け。ラジオとあわせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。

2021年3月13日の放送は、ゲストをお招きしてのスペシャル回。千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)の古田貴之所長は、災害用ロボットから自動掃除機まで、さまざまなロボットを作り出しています。人工知能やディープラーニングといった技術がもてはやされる社会に対して、古田さんが思うこととは。

前編はこちら。

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●最先端の技術を掃除機に使う?! その真意とは

大垣 古田さんは2020年に、パナソニックと共同でロボット掃除機を発表されてますよね。

古田 RULOですね。

RULOには、記事前編でお話ししたCanguRoと同じような、最先端の自動操縦技術が搭載されているんですよ。どこに何が落ちているかを人工知能で見て、障害物があれば、体をモーターでググッと上げて乗り越えてくれます。

大垣 そんなに賢いものを掃除機に入れるって、ちょっともったいない気がしますけど・・・。

古田 うーん。僕が思っているのは、技術者が技術について語っているうちはダメで、その技術をサービスに使わないといけないということです。

それに、ロボット掃除機って床のタオルとかにつかえて止まってしまったりするでしょう。掃除機に掃除をさせる前に掃除が必要だったりして、不便なんですよ。

大垣 なるほど、普通の道路を走らせるよりかえって難しいかもしれませんね。RULOは走りながら障害物の場所を学習していくんですか。最初にプログラミングされた通りに動くだけじゃなくて。

古田 そうです。

大垣 じゃあ、例えば私の、本が散乱していて足の踏み場もないようなひどい部屋でも、徐々に学習して掃除してくれるように・・・。

古田 なります。

大垣 素晴らしいですね(笑)。

ロボット掃除機をつくるとき古田さんが考えたこと

古田 RULOを作ったときも「革新的なものを作りたい」という思いがありました。CanguRoを作ったときと同じですね。

多くの日本企業って、いつの間にか改良しかできなくなっているじゃないですか。

大垣 確かに。言っちゃ悪いけど、RULOを販売しているパナソニックなんてその典型ですよ。古田さんは答えにくいと思いますけど。

古田 いや、実は本当にそうだと思うんですよ(笑)。

昔は安くて良いものを作れば世界で戦えたんですけど、今はもう、そういうことは他の国がやってしまっている。日本は諸外国に真似のできないような、高度な技術の入った商品を作らないといけないんです。

なのに、最近は、株価の上がり下がりや失敗を恐れて、新しいことをしなくなってしまった。

大垣 経営者の思考がサラリーマン的になっちゃったんですよね。

RULOは無給で開発した!? 古田さんのお金への考え方とは

残間 ラジオのリスナーの方からすると、古田さんがパナソニックのことを批判して大丈夫なのか、と思う方もいらっしゃるかもしれませんよね。私も聞いて驚いたんですが、実は古田さんは、個人としてはRULOの開発時にパナソニックからお金をもらっていないんですよね。

古田 そうですね。お金をもらったら対等じゃないから。

残間 古田さんと以前お話ししたとき、「お金は、たくさんはいらない。必要な分の1.3倍あればいい」っておっしゃっていて、なるほどなと思ったのを思い出します。

古田 そう、そう。お金って、1.0は嫌だけど、倍はいらないねと思って。

動的なデータを取得し、人々の暮らしを変えていく

古田 なぜ無償ででもRULOを開発したいと思ったかというと、一つはさっきの「革新的なことをしたい」というのが大きな理由です。

それから、もう一つの理由は、ロボット掃除機が、家の中に入って、人の行動情報を集めることのできる数少ないロボットだから。

人間の日々の行動って、データが非常に取りにくいんですよ。日々、時々、刻々と変わる、ダイナミック(動的)なデータですから。

でも、それを取得して解析することができれば、さまざまなサービスに発展させることができます。

で、取得するとしたら、その場所はやっぱり家ですね。家って、人が最も長く付き合うものでしょう。「家を見ればその人が分かる」なんて言いますよね。

データを価値にする分野は、これから伸びていく

古田 取得したデータを使えば、たとえば見守りや防犯、健康に関するサービスが提供できます。

RULOなら、家の中を掃除して回ることで、家の中に侵入者が入ってきたり、誰かが倒れていたりしたらそれを伝えるような機能が作れます。

それから以前私は、ある住宅メーカーと共同で、バイタルセンサーを埋め込んだ家を開発したことがあります。生活しているだけで健康診断をしてくれるAIシステムなんです。

大垣 私はそんな家、ちょっと嫌かも・・・(笑)。すみません。

古田 (笑)。うちの妻も「体重がバレる」って怒っていましたけどね。

でも、こういう「データを価値にする」分野はこれから伸びていきますし、すでに大手企業はロボット技術やセンサー技術に乗り出しています。例えばAppleは、「Mチップ」というモーションチップをiPhoneの中に入れて、情報を収集しています。

そういうわけで、RULOを開発することは、これからの日本の家電業界への一撃になるな、と思ったのです。

大垣 なるほど。

家にまつわるデータ解析を、サービスにつなげる

大垣 実は私も、家にまつわるデータを利用したサービスを作っている最中なんです。

目下取り組んでいることは「今後50年間の家の価値を決める計算技術を確立させる」ということなんですが。

古田 おお、すごいな。でも、価値を決めるためのデータを取るのが大変そうですね。

大垣 そうなんです。社会科学系のデータっていうのは、機械を使って自動で収集するのが難しい分野なんですよ。でも、15年間地道に収集を続けてきて、ようやく技術として確立できるレベルまでデータが集まってきました。この技術で、日本人の「家を買う」という行為が変わるのではないかなと期待しています。

古田 いいですね。先ほども言いましたが、技術はサービスに使われなければ意味がないわけですから。

大垣 今度一緒に、何かしましょう。

古田 ぜひ。

鈴木 さて、そろそろお時間になってしまいました・・・。

古田 もう終わりですか? これから高齢者の話をしようと思ったのに。

残間 是非またお越しください。やっぱり、古田さんは最高ですね。大垣さんとも話が合って、良かったですね、大垣さん(笑)。

鈴木 今回は、未来ロボット技術研究センター所長、古田貴之さんをゲストにお呼びしましたありがとうございました。

一同 ありがとうございました。

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大垣さんが代表理事を務める「移住・住みかえ支援機構(JTI)」では、国が保証している安心・安全の賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。マイホームをJTIが借り上げ、空室時も賃料をお支払い。第二の年金として家を活用できます。

コロナ後の新しい暮らしに、ぜひマイホーム借上げ制度のご利用をご検討ください。

マイホーム借上げ制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

 

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大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ

大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ

土 6:25~6:50

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