『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 投資信託や株よりもたくさん資産を増やせる?! 年金制度の仕組みとは
金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司(青山学院大学教授)さんと、フリープロデューサー残間里江子さんが、楽しいセカンドライフを送るためのご提案をお届けする番組『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』。
この記事では、「大人ファンクラブってどんな番組?」という方のために、コーナー「大人ライフ・アカデミー」をもとに作成された大垣さんのレポートをお届け。ラジオとあわせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。
2021年1月23日の放送は、年金について。「払い損になる」という危惧や不安の声もあがる年金ですが、実際、年金の保険料はどの程度信頼できる制度なのでしょうか。お金の専門家である大垣さんが解説します。
_______________________________________
●年金と投資、どう違う? どっちがお得?
突然ですが、皆さんに質問です。ここにAさんとBさんがいると考えてください。
Aさんは現役時代、ずっと年金を支払い続けていましたが、投資信託など、他のお金を増やす手段は取っていません。
一方のBさんは、「年金は払った分が返ってこないから」と思い、一度も年金保険料を支払ったことがありません。でも、年金と同じ額だけを、毎月投資信託で積み立てていました。
はたしてAさんとBさんで、将来、お金を多く受け取れるのはどちらでしょうか。
将来に向けての資産づくりにはいろいろな方法がありますよね。年金や投資信託、預金や貯金をする、はたまた箪笥貯金なんかもあります。
これらの方法の中で一番お得なのは、実は年金なんです。ちょっと意外じゃないですか? というわけで、先程の質問の答えは、年金を支払い続けていたAさんです。
●年金の内訳は、保険料と○○でできています
年金がお得であると言い切ることができるのはなぜかというと、民間機関には絶対に取れない二つの手法を使うことができるからです。
まず最初の手法は「税金の投入」です。
年金以外の資産運用方法、たとえば投資で増えていく金額というのは、自分が投資したお金から、通常、せいぜい数パーセント程度です。ときどきは減ってしまうこともあります。
一方の年金は、投資信託とは違って、「これだけ払ったらこれだけの額が支払われます」というのが決まっていますよね。払い込んだお金が運用によって増えるか減るかにかかわらず、出口で支払われる金額は一定なわけです。
なので、運用によって減ってしまった分については、税金で補填をして支払うことになっています。つまり、ほとんどの人は、払い込んだ分よりも多い金額をもらえることになるんですね。
●亡くなってしまった人が積み立てたお金の扱い方、年金と投資の違いとは?
年金が取っている手法の二つ目は、亡くなった人の積み立てたお金を分配するものです。
実は、年金の原資のうち、かなりの額を占めているのは「早く死んで年金を受け取れなかった人が、亡くなるまでに積み立てたお金」なんですよね。身も蓋もないですが。
年金制度では、早くに亡くなってしまった人の積立金については、他の人の支払いに回すことにしています。
この方式、言葉を選ばずに言えば、非常に「利回り」がいいのですが、民間では絶対にこういう方式を取ることはできません。
なぜかというと、例えば、私と残間さんと鈴木さんで共同でお金の積み立てをしたとしましょう。
このとき、もしも亡くなった人の積み立てたお金を分配していいとすると、「お金を受け取る直前に誰かが死ねば、その人の積み立てたお金を全て残った人たちが受け取れる」というような発想が出てきてしまいますよね。
公序良俗に反するから、この方式は取れないわけです。
●それでも揉める年金制度。結局、信頼してもいいの?
というわけで、税金の投入と、亡くなった人の積み立てを分配する手法が使えることによって、年金は非常に「お得」な資産形成方法になっているんです。
ただ、この記事を読んでも、まだ年金制度に懐疑的な人もいるのではないでしょうか。テレビやインターネットのメディアではよく、年金制度が崩壊する、といったことを言っている人がいますからね。
では、「年金制度が崩壊する」という議論で実際に何が危惧されているかというと、これは、「運用ができなくなる」とか「支払いができなくなる」というようなことではなくて、「今よりも受取額を少なくするかどうか」ということが問題視されているんです。
確かに、年金は、今のままでは制度の維持が難しいのは事実です。将来、受給額が少なくなるというのも、ほぼ確実でしょう。ただし、重要なのは、それを加味した上でもやはり年金は老後の資産形成手段としてはかなり利率がよくて安定しているということです。
もちろん、年金だけで老後の資産が安泰かと言われればそうとも言い切れない時代ですが、年金は、そこまで言われるほど悪いものでもないんですね。
というわけで今回は、年金の基本的な仕組みについてお話してみました。
_______________________________________
大垣さんが代表理事を務める「移住・住みかえ支援機構(JTI)」では、国が保証している安心・安全の賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。マイホームをJTIが借り上げ、空室時も賃料をお支払い。第二の年金として家を活用できます。
コロナ後の新しい暮らしに、ぜひマイホーム借上げ制度のご利用をご検討ください。
マイホーム借上げ制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
関連記事
この記事の番組情報
大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
土 6:25~6:50
楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…