『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 博報堂「新大人研」3代目所長、安並まりやさんと語る。コロナ禍で変わる「オトナ世代」へのマーケティング(前編)

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 博報堂「新大人研」3代目所長、安並まりやさんと語る。コロナ禍で変わる「オトナ世代」へのマーケティング(前編)

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金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司(青山学院大学教授)さんと、フリープロデューサー残間里江子さんが、楽しいセカンドライフを送るためのご提案をお届けする番組『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』。

この記事では、「大人ファンクラブってどんな番組?」という方のために、コーナー「大人ライフ・アカデミー」をもとに作成された大垣さんのレポートをお届け。ラジオとあわせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。

2021年1月9日の放送は、ゲストをお呼びしてのスペシャル回。博報堂「新大人研」3代目所長の安並まりやさんと、オトナ世代のマーケティングについて語り合いました。オトナ世代のマーケティングは、実はこれまであまり研究が進められてきていなかった分野。しかし、コロナ禍で起きた「ある変化」により、昨今この世代の調査が深められてきていることをご存じでしたか。

充実のお話を、前後編でお届けします。

後編はこちら

安並まりやさん
博報堂シニアビジネスフォース 新しい大人文化研究所所長。2004年博報堂入社。2015年より、新大人研においてシニアをターゲットとしたプラニングや消費行動の研究に従事。2019年5月、当研究所の3代目所長に就任。共著に『イケてる大人イケてない大人―シニア市場から「新大人市場」へ―』(光文社新書)がある。

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●博報堂「新大人研」の若き3代目所長、安並まりやさん

鈴木 本日のお客様は、博報堂「新大人研」3代目所長、安並まりやさんです、よろしくお願いします。

安並 よろしくお願いします。

残間 私は博報堂とは長い付き合いで、一緒に仕事をした時期もありますが、2年前に「新大人研」の所長が安並さんになった時には、団塊ジュニア世代の女性が所長になったということで、新しい可能性を感じましたよ。

安並 ありがとうございます。

大垣 普段このラジオのゲストにいらっしゃる方は、僕や残間さんと同世代の方が多いんですよね。だいたい60代から70代で、安並さんぐらいお若い方に来ていただいたことはありません。ですから、きょうは非常に貴重な機会だなと思います。

●研究が進んでこなかった「シニア」のマーケティング

大垣 安並さんにぜひお聞きしたいんですが、シニアマーケティングって今、どういうターゲティングがなされているんですか。

というのは、数年前に新大人研の統括プロデューサーである阪本節郎さんとお話をしたことがあるんです。そのときに驚いたのが、シニアマーケティングというのはまだ研究がほとんど進められていなくて、50代以上の人間は全員「シニア」と一括りにされて、同じマーケティング手法が取られているということだったんです。これはかなり乱暴ではないかなと思って。

残間 そもそも、50歳からシニアっていうのも、実情に合っていない気がしますよね。今の時代は「高齢者」と呼べるのは85歳ぐらいからじゃないかと思いますよ。

大垣 50歳はまだ若いですよね。

安並 残念ながら今もまだ、50代以上はまとめて「F3」層、「M3」層という呼び方は存在していて、ひとまとめにくくったアプローチしかありませんでした。ただ、最近少し変化のきざしは見え始めました。

というのは、コロナ渦で、インターネットを利用する方が増え、オンラインなどを使ってコンタクトを取れる方が増えてきたんですね。なので、これまでよりも一層、ダイレクトな形で「どういうサービスや商品があれば嬉しいか」という声を聞くことができるようになってきたんです。

●コロナ禍で、大人世代はどんな暮らしをしているのか

大垣 具体的にはどういう調査をされているんですか。

安並 まずは大人世代を対象にした、オンラインを使ってのインタビューですね。それから2020年4月には、約1500人ぐらいの方を対象としたアンケート調査を行いました。コロナ禍における60代以上の大人世代の方々がどういう暮らしをされていて、どんな意識下にあるのかということを見ています。

大垣 1500人はすごい数ですね。

安並 ありがとうございます。この調査は博報堂だけでなく「趣味人倶楽部」というSNSの会員サービスを手がける株式会社オースタンスと共同で行った調査なんです。「趣味人倶楽部」には会員の方が35万人ほどいらっしゃるんですが、その方々におうかがいしました。

残間 どんな結果が出ているんでしょう。

安並 アンケート調査とインタビューのどちらでも結果として出てきたのが、大人世代の方々のオンライン化が進んでいるということです。

コロナに関連する情報をどうやって収集しているかというのを調査のたびにうかがっているのですが、テレビについで多いのがインターネットなんです。しかも、ネットで情報収集をされる方は全体の8割以上ということで。

残間 ちなみに、回答者の最高齢は何歳ぐらいだったのですか?

安並 80代です。これまで、これぐらいの世代の方々が情報収集をされるときというのは、テレビ、新聞、それから雑誌というような紙媒体が一般的だったんですよね。今回2位にインターネットがきたというのは、結構すごい結果だなというふうに思っていまして。

インタビューでは、具体的にどんなサイトで情報収集をされているのかも聞いてみたのですが、ある方は、ジョンズ・ホプキンズ大学のサイトでコロナ罹患者に関する統計をチェックしているということでした。

大垣 かなりしっかりした情報源ですね。

安並 そうですね。その一方で、日常的な感染予防対策について調べている方もいらっしゃいますし。

こういう時期ですから、知りたい情報というのは人によって本当にさまざまですよね。そういう意味では、テレビや新聞などのマス情報よりも、インターネットのほうが各人のニーズを満たすメディアとして適しているのではないかというふうに思います。

●ポイントは「恥をかきたくない」?! 大人世代、デジタルツールとの向き合い方

大垣 Zoomでのインタビューはどうですか。慣れるまでに時間がかかったりしませんか。

安並 それが、一度使い方をレクチャーすると、皆さん慣れて使いこなしていらっしゃいますね。

先ほどの「趣味人倶楽部」では、オンライン会議の講習会を定期的に開催されているんです。これまでに1000人ぐらいの方に会議ツールの使い方をレクチャーされたそうですが、生徒の皆さんは受講されてから、新たなデジタルへの扉が開いているとうかがっています。

残間 それ、分かります。私の周りでも、一度使い方を把握した方は、どんどん使いこなしていっています。この前なんかはお寿司の写真をバックグラウンド画像に設定している人がいて、「この写真、なんですか」って私が聞いたら、「この間、寿司スクールに行って僕が作った寿司です」と。

安並 それから、コロナ渦でも、オンライン会議を使って趣味を続けられる方も多いですよね。

残間 安並さんからすると、大人世代の方がZoomを使いこなすのって意外ですか。

安並 少し意外でしたね。ただ、一度使って慣れてしまえば習慣化するんだな、ということも分かってきました。

残間 そうなんです。この世代の、新しい技術との付き合い方っていうのはまず第一に「恥をかきたくない」っていうことが大きいんですよ。

70代だって新しいものは好きなんですよ。でも、使い方を逐一子供に教わるのも嫌だし、かといって周囲に「知らない」とも言えないし。だから、さっきの講習会みたいに教えてもらう機会があるといいんですよね。

安並 それから、コロナ禍で、みんなが新しく使うようになったツールを、みんなで習ったというのも大きいですよね。

残間 確かに、そうですね。

鈴木 このあとも、まだまだお話をうかがっていきます。

後編へ続く

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大垣さんが代表理事を務める「移住・住みかえ支援機構(JTI)」では、国が保証している安心・安全の賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。マイホームをJTIが借り上げ、空室時も賃料をお支払い。第二の年金として家を活用できます。

コロナ後の新しい暮らしに、ぜひマイホーム借上げ制度のご利用をご検討ください。

マイホーム借上げ制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

 

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