『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 ハンコ全廃の流れに思うこと。実印に施された「ある工夫」のすごさとは?
金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司(青山学院大学教授)さんと、フリープロデューサー残間里江子さんが、楽しいセカンドライフを送るためのご提案をお届けする番組『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』。
この記事では、「大人ファンクラブってどんな番組?」という方のために、コーナー「大人ライフ・アカデミー」をもとに作成された大垣さんのレポートをお届け。ラジオとあわせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。
2021年1月2日の放送は、ハンコ文化への批判に大垣さんが思うこと。コロナもきっかけとなって、近年進んでいる「脱ハンコ」の風潮。最近は便利さ・楽さが重視されていますが、実は不便さにも、理由や利点があるのかも?
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●「脱ハンコ」の風潮、賛成? 反対?
今回の放送では、コロナ渦でどんどん進み始めている「脱ハンコ」の風潮について考えました。
近年、デジタル庁が新設されたり、ハンコを廃止する流れが政府に出てきたりしていますよね。
手続きが楽で早く終わるようになるのはいいことです。一方で、少し大丈夫かなと思うこともあります。便利になりすぎる世の中のいい点・悪い点について、少し考えてみましょう。
たとえばハンコの話でいうと、認印と実印がありますよね。認印は、押したときにどちらが上になるか分かるように、削りや目印が入れてあります。でも、実印にはそういう目印って、実はないんです。皆さんもぜひ、ご自分のハンコを見て確認してみてください。
目印がないと、押すときに上下を確認しなければいけなくなりますよね。そこで少し時間がかかる。その余計にかかる時間で、本当にこのハンコを押していいのかを今一度自分の中で確認するのだと、私は親や上司から教わりました。
つまり、不便さにも理由があるのです。
今後、あらゆる手続きがどんどんインターネット上で済むようになっていくと、そういう「待てよ」と考える瞬間がなくなってしまうのではないかな、と思うんです。
●便利さと不便さを共存させた社会があってもいいのでは
番組内で残間さんは「ハンコは、全廃するのでも、現状のまま何もしないのでもなくて、いろいろな選択肢が選べるようになればいい」とおっしゃっていました。
世の中が便利になっていくのはすごくいいことですよね。私自身も、パソコンやインターネットはほとんど黎明期から「業務に取り入れるべきだ」と思っていましたし、今でも自分でプログラミングを書いていたりします。
ただ「何もかもが楽になったほうがよい」というのは違うのかなと思います。最近はそんな考え方をする人も多いようですが。
あえて不便にしてあることはあまり便利にせず、立ち止まって考えることも、ときには必要ですよね。ハンコで考えると、認印は便利で手軽な一方、実印はあえて不便さを残しています。そういう便利さと不便さを共存させる「工夫」は、これからの世の中でも残していったほうがいいのかなと思います。
●社会全体が大きい変化を経験している今だからこそ、自分で自分の身を守る
コロナ渦で、社会はどんどん変化しています。今までは非常に慎重に進められていたものが、ポンと話が進んでしまったりする。いい面もあれば、少しいきすぎてしまうときもあるのかもしれません。
もちろん、これからの脱ハンコの流れは変えられないでしょうから、今後は自分で自分を守る意識がよりいっそう重要になります。ハンコのように、実は気づかないところで先人の「工夫」みたいなものに守られていた面もあるでしょうから。
というわけで、2021年最初の大人ライフアカデミーでは、便利になりすぎる社会の良し悪しについて考えました。
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この記事の番組情報
大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
土 6:25~6:50
楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…