「自民総裁選 抽選で決まった順番 所見発表演説会」
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その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。
文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。
過去最多、9人による戦いの幕が切って落とされた自民党総裁選挙。立候補したのは届け出順に、高市早苗氏、小林鷹之氏、林芳正氏、小泉進次郎氏、上川陽子氏、加藤勝信氏、河野太郎氏、石破茂氏、茂木敏充氏。
届け出順は抽選で決められ、4番を引いた小泉氏は出陣式で「高校野球時代も4番を打ったことがない」と喜び、「4番バッターとして大いにフルスイングしてこいと、その舞台を与えていただいた」と笑顔を見せていた。しかしそのわずか1時間後、所見発表演説会では小泉氏の顔から笑顔は完全に消え、まるで仏像の様に身動きもせず固まっていた。
所見発表演説会は、届け出順に1人10分ずつ持ち時間が与えられ、4番バッターの小泉氏は、緊張のせいか早口。しかも手元の原稿を読みっぱなしの状況で、フルスイングは空振りに終わった感が強い。
一方、小泉氏とともに決選投票に残ると目される石破氏は、届け出順の抽選では8番目。もっと早い番号がほしかったと言いつつ、陣営は「末広がり、縁起がいい」と喜んでいた。
小泉氏が仏像の様に固まっていた一方で、石破氏はというと、笑顔で横を向いたり後ろを向いたり、落ち着きがないというより自由気ままに会場の雰囲気を楽しんでいたという印象。所見発表の演説でも石破節炸裂。総裁選挙5回目の余裕が感じられた。
出馬会見で、討論会などで順番が最後になることに触れ、「『茂木』という名前じゃなければ良かった。あいうえお順で、必ず最後になってしまう」と語っていた茂木氏は、抽選で9番目。あいうえお順でも、抽選でも最後になってしまった。
所見発表は1人10分ずつの持ち時間、茂木氏に順番が回ってきたのは開始から約1時間半後、その間、原稿をチェックしたり、時折あたりを見回したりと、手持無沙汰な様子がうかがえた。
各地の演説会でも、届け出順で行われる。討論会では、順番を入れ替えるなど工夫もあるが、選挙管理委員会はこれだけ候補が多いと、候補者は言いっぱなし、聴衆は聞きっぱなしということになりかねないと危惧している。限られた時間の中、1人の持ち時間を短くするなど工夫も凝らす予定だが、コンパクトにすればするほど、深い議論は遠ざかる。
自民党内からは「選ぶ方も大変だな」という声がもれている。
届け出の時間ではなく、抽選で決まった順番は今後、各候補にどんな影響をもたらすのだろうか。